谷川俊太郎を偲んで「くらやみ・さようなら」ーバリトン、尺八、箏、コントラバスのためにー【第20回邦楽器とともに⑤】ー20周年記念 PART IIー
日本歌曲協会
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谷川俊太郎を偲んで「くらやみ・さようなら」ーバリトン、尺八、箏、コントラバスのためにー【第20回邦楽器とともに⑤】ー20周年記念 PART IIー
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<第20回邦楽器とともに ー20周年記念 PART IIー>より(動画)⑤
2025.10.1(水)東京文化会館・小ホール
映像制作 公益財団法人日本伝統文化振興財団
谷川俊太郎を偲んで
くらやみ
さようなら ―バリトン、尺八、箏、コントラバスのために―
詩:谷川俊太郎
曲:前田智子
歌:福嶋勲(Br)
箏:木田敦子
尺八:田辺頌山
コントラバス:白土文雄
【解説】
谷川先生には私の個展に4度朗読に来てくださいました。
「くらやみ」では最後の部分に「くらやみにはくらやみのちからがひそんでいる。そのちからを使って心の宇宙を旅したい」とあります。生きるとは誰もが始めと終わりがわからない。その恐怖が知らぬ間にいろんな闇を生み出します。その闇を不安と感じるか。闇と共に生きていくのだ。と覚悟をもつのか。この詩を読んで私は、どんなことが起こっても引き受ける勇気が与えられた気がします。
「さようなら」は、「ぼくもういかなきゃなんない どこへいくのかわからないけど」という一節が私に響いてきました。「どうしてなのか」でも「いかなきゃなんない」と詩は語りかけます。人は何でいこうとするのか。そしていく先もいく理由も自分で決めてまた自分で苦しむ。そんな自分の姿が見えていない。本当はただただあるがままにおまかせに歩いているのに。もっともっと自分を超えた大きいものの中で生きているのではないか。この詩はそう私に問いかけている気がします。 (曲 前田智子)
くらやみ
くらやみはおそろしい
いつのまにかこころにしのびこんでくる
でんきをつければへやはあかるくなるけれど
くらやみはこころからなくならない
くらやみにはなにがいるのだろう
めにはみえないのに
みみにもきこえないのに
こころはなにかにさわっている
そのなにかとなかよくなりたい
それはわたしのこころのなかにいるのだから
わたしといっしょにいきているのだから
それをおばけやゆうれいといっしょにしたくない
わたしはくらやみをすきになりたい
ひかりにちからがひそんでいるように
くらやみにもくらやみのちからがひそんでいる
そのちからをつかってこころのうちゅうをたびしたい
さようなら
ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
おかあさんごめんなさい
おとうさんにやさしくしてあげて
ぼくすききらいいわずなんでもたべる
ほんもいまよりたくさんよむとおもう
よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない