平曲「城南離宮」
川瀬健一
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平曲「城南離宮」
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川瀬健一
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「城南離宮」。平家物語巻3-19。鳥羽離宮に押し込められた後白河法王の様子を描いた句。正月の拝賀にも誰も訪れない寂しい日々を送る中でも、御所の天皇からは密かに「出家して流浪の旅を送りたい」との手紙が送られ、法王からは「あなたが御所にいて下さってこそ吾身の行く末も見えるというもの」との返書が送られ天皇も涙した。清盛からは今後の政治は天皇自ら親裁と伝言があったが、天皇は関白と宗盛とで良きに計らえと言って取り合わなかったという。
この映像は、2026年9月27日の川崎長尾平曲会第49回のライブ映像。40分。
<聞きどころ>
「城南離宮」はとても美しい句。
冒頭から「中音」で始まる。賢王と言われた人々は古来孝行を大事にした。法皇が鳥羽に押し込められる事態において天皇が賢王の先規に乗っ取った行動をとられた事は素晴らしいことだと、朗々と美しく歌い上げる。冒頭から「中音」で語り上げる珍しい句。
「口説」にて内裏より鳥羽殿に密かに御書あり、「先例に従って山林流浪の行者になりたい」との天皇の意思が述べられたと淡々と語る。次いで「折声」⇒「指声」に移り、「あなたが位についておられるのが唯一の頼み」と法皇の返書の内容を強調して語り、「初重」に移って天皇がこの手紙を顔に押し当てて涙を流したと語る。
ついで一転して「三重」に移り、「君は船、臣は水」と朗々と語り、保元平治の頃は入道相国も君を支える側だったが、安元治承には君を蔑ろにすることは古い史書の語るとおりだと、法皇押し込めという事態の悲しさを朗々と語り上げる。
また低音部に一転して「初重」にて二条天皇を支えた貴人たちも今はこの世におらず、今居る古き人と言えばと後白河院政を支えた人々の名を静かに挙げ、一転「折声」⇒「指声」の特徴的な節に移って、後白河院政を支えたこの人びとも何もできず世を逃れて大原や高野に隠棲していると嘆く。
さらに「呂」⇒「初重」でおどろおどろしく昔も賢人の多くが世を離れ鄙に遊んだと語り、「指声」⇒「口説」⇒「初重」と節を替えつつ、高野に居る宰相入道成頼が「保元平治の乱れこそあさましと覚え共、なおこの先いかなることが出現するやらん」と嘆いた様を切々と語り終える。
そして「素声」⇒「口説」の節に替えて天台座主の交代と清盛が福原に戻ったことを淡々と伝え、11月23日に前右大将宗盛が参内して入道相国が福原に戻ったことを伝えると主上は、「法皇が譲られた世ならば政務をとるがそうでないので、関白と宗盛で相談して行え」と政務を投げ出したと淡々と語り終える。
最後は「中音」⇒「初重」⇒「三重」⇒「初重」⇒「中音」の節にて、法王は城南の離宮にて寂しく冬を越し、年も改まって治承4年となった美しく歌い上げて終わる。
詳しい解説は
https://plummink10.sakura.ne.jp/heike...
を参照のこと。