【十一秒だけ、どちらでもない】日本だけが買った機体
かたちの理由 日本の防衛技術
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【十一秒だけ、どちらでもない】日本だけが買った機体
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かたちの理由 日本の防衛技術
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滑走路の端に止まった機体。翼の両端のエンジンが、真上を向いています。
そのまま垂直に浮き上がる。ここまではヘリコプターです。
ところが、エンジンが前へ倒れはじめます。毎秒八度。
九十度倒れきるまで、およそ十一秒。
倒れきった瞬間、それはもうヘリコプターではなく、ただの飛行機です。
では、その十一秒のあいだ、この機体は何なのでしょうか。
羽根は斜めを向き、翼はまだ速度が足りない。どちらの力も足りない区間です。
この機体を導入した国は、アメリカを除けば世界で日本だけ。十七機。
木更津に暫定配備され、佐賀へ移り終えたのは二〇二五年八月十二日でした。
羽根の直径は十一・五八メートル。最大離陸重量は二十七・四トン。
同じ重さを運ぶ大型ヘリコプターの羽根は、十八メートルほどあります。
なぜ、これほど小さい羽根で、同じ重さを持ち上げているのか。
そして、その無理は、どこに出ているのか。
ヘリコプターは、空気を下へ投げて浮きます。
浮く力には投げる速さが一回効き、必要な出力には二乗で効く。
だから「たくさんの空気をゆっくり」が正解で、大きな羽根が要る。
ところがこの機体の羽根は、前を向いてプロペラにならなければなりません。
地面に当たらない。胴体に当たらない。先端が音速に近づかない。
三方向から押さえ込まれた答えが、十一・五八メートルでした。