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薄氷の黒曜宮 ヴェール・ドゥ・ジーヴル

サライ

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薄氷の黒曜宮 ヴェール・ドゥ・ジーヴル

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サライ
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ヴェール・ドゥ・ジーヴル 白く閉ざした その奥へ 扉の銀に 指を滑らせ 誰にも告げず 回廊をゆく 磨いた床に 裾がひるがえり 鏡の中では まだ揺れている 花を模した 霜の細工に 触れれば戻る あの日の温度 忘れたはずの 扉の重さを この手は今も 覚えていた 壊れぬようにと 閉じた世界で 枯れることさえ 許さずにいた 白い花びら 一枚落ちて 止めていた季節が 傾く うすらいの黒曜宮 白をまとった 黒の静寂 美しいまま 閉じ込めたもの その名を もう一度呼ぶ ヴェール・ドゥ・ジーヴル ほどけてゆく 霜の織り目 傷ひとつない昨日に 明日を 閉じ込めないで [Verse 2] 誰も座らぬ 長椅子の端 置いた手袋 片方だけ 迎えるために 並べた椅子を いつから数えなくなったのだろう 黒い柱に 額を寄せて 冷たさだけを 確かめていた ここには何も 奪いに来ない 何も訪れない それだけなのに 守れたものと 失くしたものを 同じ言葉で 呼んでいたのね 透ける氷に 耳を近づけ 閉ざした日の続きを 聞いた うすらいの黒曜宮 白に沈んだ 黒の輪郭 美しいまま 閉じ込めたもの その手を もう一度取る ヴェール・ドゥ・ジーヴル ほどけてゆく 霜の織り目 傷ひとつない昨日に 私を 閉じ込めないで 鍵をかけたのは 私だった 迎えに来たのも 私だった 扉の向こうに 誰もいなくても 開ける理由は もうあるの 黒い手袋を ここに置いて 冷たい取っ手を 素手で握る うすらいの黒曜宮 白をほどいて 黒は艶めく 美しいまま いられなくても この手で 続きを選ぶ ヴェール・ドゥ・ジーヴル 頬をすべる 最後のひとひら 傷ひとつない昨日へ さよなら 扉を開けて ヴェール・ドゥ・ジーヴル 濡れた大理石に 足跡が 続いてゆく