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【AI事件簿】会議に出たら、上司が偽物だった

AI観測所

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【AI事件簿】会議に出たら、上司が偽物だった

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2024年1月、香港。ある会社の担当者に「秘密の取引がある」というメッセージが届きます。 本人は、あやしいと思っていました。研修で習ったとおりの、教科書に載るような文面です。 そのあとビデオ会議が設定されます。画面には本社の財務トップがいて、同僚も何人かいました。 会議のあと、担当者は送金します。香港ドルで2億、日本円でおよそ38億円。 画面の中で本物だったのは、担当者ひとりだけでした。 この事件は「AIに見破られなかった話」として広まりました。でも記録を並べていくと、 別のものが出てきます。担当者は疑っていました。本社に確認もしています。答えも返ってきました。 疑いも、確認も、手順も、全部そこにありました。 そして金は一度に動いていません。15回に分けて、5つの口座へ送られています。 つまり、手を止める機会が14回あった。それでも止まりませんでした。 偽物の材料は、盗まれたものではありません。講演、決算の説明、採用の動画。 会社が信用のために自分で公開していた顔と声です。鍵をかけ忘れたのではなく、 かける場所がなかった。 見破れなかった事件ではなく、順番の事件だった。それが今日の結論です。 ▌OBSERVATION 09 ── 目次 0:00 会議に出たら、本物は自分だけだった 2:37 十五回 4:45 拾われた顔 7:59 疑っていた 10:29 三か月後の名前 14:37 確認の順番 ▌今日の持ち帰り ── 「順番」を見る4か所 ・顔と声を見るのが、確認より前になっていないか(前にあると、確認は形だけになります) ・確認の答えが、疑いを消す側に働いていないか(この件では、確認は正しく行われています) ・一度の判断が、そのあと何回ぶんの作業を素通りさせるか(15回のうち、迷ったのは1回目だけです) ・手順書に「順番」が書いてあるか(たいてい書いてありません。誰も決めていないものは、直せません) 顔を出して仕事をしている人ほど、材料は多く出回っています。社長も、政治家も、 顔を隠したら仕事になりません。やめられない側に材料がある、という形の話です。 ▌この動画で断定していないこと ・「1回目で信じて、あとの14回は作業になっていた」は、こちらの見立てです。担当者の心境は  報じられていません。事実として確認できるのは、確認が送金より後ろにあったことだけです。 ・日本円の「約38億円」は、当時のレートで換算した各紙の表記です。為替で動く数字です。 ・何日かけて15回送ったのかは分かっていません。動画中でも「そこは分からん」と言っています。 ・金が戻ったのか、いまどこにあるのかも表に出ていません。 ・被害企業が2024年5月に自ら社名を明かした理由は、こちらの想像だと動画中で断っています。 ・終盤の「確認は人から手続きへ動く」は予想です。実測ではありません。 ▌出典 ・CNN.co.jp「AI偽造の『同僚』とテレビ会議、38億円送金 香港企業がなりすまし被害」(2024年2月5日)  https://www.cnn.co.jp/world/35214839....  ※日本円での被害額と、ビデオ会議の出席者が本人以外すべて偽物だったという骨格はここです。 ・CNN「Finance worker pays out $25 million after video call with deepfake 'chief financial officer'」  (2024年2月4日・香港警察の公表)  https://edition.cnn.com/2024/02/04/as...  ※香港ドルで2億(約2,560万米ドル)、複数人が偽物だった会議としては香港で初、という記述はここです。 ・South China Morning Post(2024年5月16日・被害企業がArupだと明らかにした報道)  https://www.scmp.com/news/hong-kong/l...  ※15回に分けて5つの口座へ送金、という内訳の出どころです。   ⚠️ 現在このURLは404を返します(記事が移動したか、購読者向けに閉じられています)。   金額と会議の構成については上のCNN2本で同じ内容を確認しています。 ・トレンドマイクロ「ディープフェイクを用いた動画通話による詐欺」(2024年3月)  https://www.trendmicro.com/ja_jp/rese...  ※手口の技術的な裏取りに使いました。動画では技術の中身には踏み込んでいません。 ・2024年10月の27人逮捕(約4,600万米ドル・押収スマートフォン137台)/2025年1月の31人逮捕  ※各紙の報道によります。一次発表のページは特定できませんでした。動画では「別の事件」と   明示したうえで、人数と金額だけを使っています。 ▌動画で使わなかったが、確認した事実 ・会見の時点で6人が逮捕されていた(逮捕の話は10月・1月のほうにまとめました) ・2025年1月の逮捕は、台湾・シンガポール・マレーシアの被害者を狙ったグループだった ・日本でも同種の中国系AI詐欺(約8,500万円)が報じられている ――― このチャンネルは、言われていたことと実際の落差を、原典に当たって確かめています。 分からないことは分からないと言った上で、それでも予測を出します。