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【難問】【概要欄あり】2026年東大英語1A(要約)を喋りながら解いてみた

Cymbal

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【難問】【概要欄あり】2026年東大英語1A(要約)を喋りながら解いてみた

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Cymbal
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改良版答案の解説: 2026年の問題は、「ノイズ型」とでもいうべきか、あまり文意の理解の役に立たない引用や謎かけのような記述が大量に含まれる文章でした(そう言い切っていいと思います)。それらをバッサリ切って、paradoxに関する一文を安直にまとめた結果、スッキリと理解しやすい答案が作れてしまいました。そうでもしないと今年は、他人に読ませられるという意味でまともな答案は作れないと思います。 ここで、フロイトに関する予備知識は「わけの分からないことを言った学者である」という庶民的なレベルで活用されています。この文章もどうせわけの分からないことが書いてあるんだろうというわけです。また、understatementというときにフロイトが「控えめな」学者だという理解はしづらいと思います。そうではなく、人間をあまり立派なものとして扱わないという意味ですね。 もちろんどの年も、ある程度の“常識”がないと文章の読解自体ができませんが、今年はその“常識”が特定の理論だったところが目立ったといえそうです。フロイトについては、大学に行くなら知っておいてもよいとは思いますが、私はむしろ大学に入ってから、社会学の授業か何かで詳しく習った気がします。高校生が、この方向の知識を頑張って覚えようとする必要はないと思いますが、とにかく不安だというのであれば、他に丸山眞男やマックスウェーバーなどの理論に触れてみてはどうでしょうか。 答案1(動画内で書いたもの):フロイトの著作は、好悪を問わず人々の強い反応を引き起こす。なぜなら、それは人間性への幻滅を誘うにもかかわらず、人間への強い関心に根差して書かれているからである。(80字) 答案2(過去問を解いてきた後の改良版):フロイトの著作は、好悪を問わず人々の強い反応を引き起こす。なぜなら、それは人間への幻滅を誘うと同時に、人間を興味深いものに感じさせるからである。(72字) (補足1:コミュニケーションについて) 動画の中で「主張が分かれば要約できる」みたいなことを言いましたが(13:35-)、この文章の中には、この文章を読んだだけだと分からないようなことも書かれていました。そこで、回答の字数制限や、抜粋文であること(後に詳しい説明が続かないこと)を理由に、分からなかったところは論旨に影響しないと判断して、無視して答案を作成してしまっています。それって「分からないまま要約してしまった」のでは?とも思われますが、そうではなく、字数制限や抜粋文という試験特有の事情も兼ね合わせることによって「分かった」ということなんだろうと思います。 試験を含め、人間同士のあらゆるコミュニケーション(横文字が不安な人は「通信」と訳してもよし)は常にそういうふうに行われます。つまり、純粋な情報だけのやり取りではなく、それが行われる周辺状況を兼ね合わせることで「分かり」合いながら進んでゆく。もっと強く言えば、そのコミュニケーションの置かれた状況を考慮することが「分かる」ための必須条件ですらあると思われます(社会学などでこんなテーマを書いた分かりやすい新書などもあったと思いますので、探してみてください。例えば菅野仁『友だち幻想』(ちくまプリマー新書、2008年)など)。 試験の場合は、出題者に質問できず、1往復でコミュニケーションを完結させないといけないのが難しいともいえるかもしれませんが、それは同時に「必要ならば質問を返す」責任もなく、一回のやり取りで分かった範囲で答えればよいのでむしろ楽なんだともいえるかもしれません(大人の仕事だと、ここが難しい場合があります)。 それにしても、今回は単に書いてあることをまとめただけではなく、私の側のフロイトに関する予備知識を活用したりもしながら理解していったわけなので、英語の試験としてはやはり難しい問題だったんだろうと思います。 (補足2:相談について) 動画の中で「著者には言いたいことがある」というようなことも言いましたが、実は、著者自身は自分が言いたいことを明確には分かっていません。ほとばしる何かを伝えたくて(あるいは締切に追われて)もがくように文章を書いたわけです。さらに、文章は入試問題のために書くのではないのですから、それを切り取って入試問題にしたらどんな答えになるのかということを著者は考えたことがあるはずがないのです。国語の問題文に採用された著者が「自分の文章が使われた入試問題を解いてみたけど、正解できませんでした」という嫌味な冗談を言っているのを聞いたこともあるでしょう。 そこで、「(良い)読者」の登場となります。文章を読み解いて、なるほど、あなたがこの文章でおっしゃっているのは、このようなことですねと要約してあげます。すると、著者も、なるほど自分はそういうことを考えていたのかと初めて理解するのです。 これは、一般に「相談」といわれる活動に似ています。相談に来る人は、自分に何か悩みがあるということを感じてはいるものの、それが一体どのような問題なのかを明確に把握できていません。そこで、ああだこうだと話すなかで、相手が、つまりこういうことで悩んでいるんだねと理解を示すと、相談者はそれだけでスッキリしてしまったりするわけです。 さらに進んで、その悩みを解決させる具体的な指導まで引き受けてしまう人のことを社会では「コンサルタント」「カウンセラー」などと呼んだりします(これらの言葉自体、日本語に訳せば「相談を受ける人」という意味でしょう)。彼らは問題を解決させるということで、本当に解決するかはさておき、報酬を取りますが、実際には、解決しなくても、何に悩んでいるのかが分かるだけでも十分な価値があることだと思います。 今回の文章も、後半はダジャレ(understatement/under our statements)が出てきたり(28:39)、文学的な表現も使われて、わけが分からないことになっていました。どうにかしてフロイトの魔力を説明したい!と言葉を総動員してもがいているわけですね。それをスッキリさせてあげるのは、諦めではなく、良い読者(要約者)の仕事だと言ってもいいと思います。 (補足3:出題形式を理解して、求められる回答を考える) 今回の問題文は難しかったと思いますが、結局、事前には難易度すら分からないような課題に対し、割り当てられた短い時間で、必ず一応の形の付いたものを提出していくことが、振り返ってみれば一番高く評価される=合計点が高くなる、ということです。たぶん、仕事と同じです。東大卒は出世しやすいです。 一応の形の付いたものを提出するということは重要です。なぜなら、論述形式で出題されているということ自体が、自分で答案の形を付けるという要求を含んでいるからです。記号問題で済むのなら、記号問題で出題することが大学側としてもずっと簡単です。実際、記号で出題されている問題もたくさんあります。そうなっていない問題では、何らかの理由で受験生に自力で文章を書かせる必要があるということなのです(もちろん、試験という状況設定自体が非日常的なので、採点者も最大限優しく答案を読み取らざるを得ないはずですが)。 この英語大問1についていえば、東大英語全体の構成からして、明らかに文章の論理構造の理解を問う問題なのですから、まずはそこを分かっているかを判定するための論述式であることが明らかです。したがって、文章のどこかに出てきた単語を訳して並べたというだけでは足りず、そう並ぶべき理由に基づいて並べないといけません。 言葉を圧縮して羅列したような答案例は、文中の要素をできるだけ多く答案に盛り込むことで「要約せよ」との要求に答えようとするものだと思われますが、なぜそのように並べたのかが答案から伝わらないとしたら、先ほど書いた大問1の趣旨に応えていません。文章の構成を完璧に反映した圧縮答案があれば、首席レベルの点が付くでしょうが、今回の問題文を完璧に把握するのは、無理でしょう。各予備校の解答速報は、完全答案を狙わなければならないという予備校特有の立場から、読んでも容易に意味がわからない圧縮答案になっています。それはそうならざるを得ないのですが、実力の足りない受験生は、予備校答案を見ても合格点がどこにあるのか分からないと思います。 一般的受験生にとっては、今年の難しい問題文に対し、例年の大問1の趣旨を頼りに「フロイトの著作は人を引き付ける。なぜなら〜だからだ」という論理構造だ、という基本的な理解を示してさっさと立ち去ることが一番大事だったということだと思います。これだけなら、1段落目と2段落目の各冒頭だけ分かれば書けるのに対し、これを超える段落内容の補充については、皆バラバラで、小さな得点差しかつかないと思われます。逆に、ここを失うと全く意味不明の答案に陥るリスクが大きいので(こう考えると「フロイトの著作」で書き始めよという指示は優しさから追加されたように見えます)、合否という点では白黒がつきやすい問題だったのかもしれません。 予備校答案も、よく見るとこの論理構造はちゃんと示してあるものが多いようですが、某社の解答速報は「(2段落目の要約)、(1段落目の要約)。」と繋いだものになっていました。あえて第2段落を先に持ってきているところには何らかの意図がある可能性はあり、それが「(理由)、(結果)。」という関係を示す意図である可能性もあるものの、採点者の立場からすると、いずれも可能性止まりであり、そうハッキリと書かれているわけではないので、点をあげてよいか悩むと思われます。予備校だからさすがに分かって書いているのだろうと思えるものの、この問題ではまさに論理構造の理解が問われている以上、受験生としては、少なくとも「から」「ので」を使うなど、論理構造をハッキリと示す書き方をすべきだと思われます。 (補足4:訂正)「好悪」は本当は「こうお」と読むらしいです。それと、"It is among ..."の文も、強調構文ではなくて、普通の形式主語でした。 February 27, 2026. (補足欄も一応完結:2026年3月7日) (補足欄の全体を改訂:2026年5月12日) (この後要約問題を10年分ほど解いてみた経験を踏まえて改良版答案を追加するなど:2026年7月22日)