「年収800万円で頭打ち」は、測り方が作っていた
論より原典
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「年収800万円で頭打ち」は、測り方が作っていた
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論より原典
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「年収800万円を超えると、幸福度は頭打ちになる」。よく見かける話である。
出てくる平らな線は、2本ある。1958年から1987年にかけて所得が5倍になったのに幸福度が横ばいだった、という日本の線。そして2010年の論文の「年収7万5000ドルで頭打ち」という線。
どちらも、何を、どう測った線なのか。内閣府の調査票と、論文の質問の作りから確かめる。
そして日本語の「800万円」は、どこで生まれた数字なのか。
00:00 その数字は、どこから来たのか
01:44 2種類の幸福
03:59 その数字は、推定されていない
06:10 所得は5倍になった
08:57 その線は、どこから来たのか
11:32 調査票をひらく
13:11 18.3%から、4.4%へ
15:13 分けて見ると、線は上がっていた
18:19 はい、か、いいえ
21:34 敵対的協働
24:01 何が効いていたのか
27:19 日本は、今
29:25 そもそも、小さい
── このチャンネルについて ──
当チャンネルでは、巷で言われていることを原典まで遡って確かめていく。
よければチャンネル登録を。
── 参照した一次資料 ──
番号(DOI)は doi.org で引ける。
[日本の一次統計 — この回の中心]
内閣府. 国民生活に関する世論調査(昭和33年2月調査). https://survey.gov-online.go.jp/s32/S33-02...
内閣府. 国民生活に関する世論調査(第6回・昭和38年1月調査). https://survey.gov-online.go.jp/s37/S38-01...
内閣府. 国民生活に関する世論調査(第7回・昭和39年1月調査). https://survey.gov-online.go.jp/s38/S39-01...
内閣府. 国民生活に関する世論調査(昭和45年1月調査). https://survey.gov-online.go.jp/s44/S45-01...
内閣府. 国民生活に関する世論調査(平成4年5月調査). https://survey.gov-online.go.jp/h04/H04-05...
内閣府. 満足度・生活の質に関する調査報告書2025. https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/m...
[「頭打ち」を言った論文]
Kahneman D, Deaton A. High income improves evaluation of life but not emotional well-being. Proc Natl Acad Sci U S A 2010;107(38):16489-93. doi:10.1073/pnas.1011492107
[日本の線を確かめ直した論文]
Stevenson B, Wolfers J. Economic growth and subjective well-being: reassessing the Easterlin paradox. Brookings Pap Econ Act 2008;Spring:1-87. doi:10.1353/eca.0.0001
Stevenson B, Wolfers J. Subjective well-being and income: is there any evidence of satiation? Am Econ Rev 2013;103(3):598-604. doi:10.1257/aer.103.3.598
[パラドックスを論じた側]
Easterlin RA. Does economic growth improve the human lot? Some empirical evidence. In: David PA, Reder MW, eds. Nations and Households in Economic Growth. New York: Academic Press; 1974:89-125. doi:10.1016/B978-0-12-205050-3.50008-7
Easterlin RA. Will raising the incomes of all increase the happiness of all? J Econ Behav Organ 1995;27(1):35-47. doi:10.1016/0167-2681(95)00003-B
[覆した論文と、決着させた論文]
Killingsworth MA. Experienced well-being rises with income, even above $75,000 per year. Proc Natl Acad Sci U S A 2021;118(4):e2016976118. doi:10.1073/pnas.2016976118
Killingsworth MA, Kahneman D, Mellers B. Income and emotional well-being: a conflict resolved. Proc Natl Acad Sci U S A 2023;120(10):e2208661120. doi:10.1073/pnas.2208661120
[取得したが、台本では使わなかったもの]
Schneider JW, Aagaard K, Andersen JP, et al. Through the secret gate: a study of member-contributed submissions in PNAS. Scientometrics 2024;129:5673-87. doi:10.1007/s11192-024-05115-y
[取れなかったもの]
Jebb AT, Tay L, Diener E, Oishi S. Happiness, income satiation and turning points around the world. Nat Hum Behav 2018;2:33-38. doi:10.1038/s41562-017-0277-0
日本語で「800万円」という数字がいつ、誰の手で、どのレートで換算されたのかは、たどれなかった。動画の中でもそう言っている。
ジェブら2018年の論文は購読制で入手できず、参照していない。日本語で流通している「800万円」がこの論文ではなくカーネマンとディートン 2010年に由来することは、解説記事を実際に読んで確かめた。
── お断り ──
原文は確認していますが、解釈や要約に正確でない部分が含まれる可能性があります。
誤りにお気づきの際はコメントでご指摘ください。訂正は固定コメントでお知らせします。
この動画は「お金は幸福と関係ない」と主張するものではありません。
低所得の側では、話が違います。同じ頭痛でも、月収1000ドル未満の人は70%が気分の落ち込みを報告し、月収3000ドル以上の人では38%でした。2010年の論文は「お金の不足は、感情的な苦痛と低い人生評価の両方をもたらす」と結論しています。
また、特定の研究者や発信者を批判する意図はありません。検証しているのは、数字が受け渡されるあいだに何が落ちるか、という読み方のほうです。
投資や家計についての助言もしていません。
── 使用素材 ──
VOICEVOX:ずんだもん
VOICEVOX:四国めたん
立ち絵: 坂本アヒル 様
BGM: SO-001 / フリーBGM・音楽素材MusMus https://musmus.main.jp