【精神科医が解説】不安が止まらない=不安障害?違いと共通点をチェック
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
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【精神科医が解説】不安が止まらない=不安障害?違いと共通点をチェック
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不安と不安障害の違いを、対策も含め精神科医が解説します。
#精神科 #不安障害 #不安
(1)はじめに
(2)不安と不安障害
(3)不安と不安障害には違いがある
(4)各種の不安障害で見られる特有の症状
(5)不安や不安障害ではどうしたらいい?
①不安障害なら薬物療法を検討
②薬以外の様々な方法(不安全般に有効)
(6)まとめ
一般的な不安と不安障害は同じでしょうか?一見症状は同じですが、不安障害では社会生活の困難が目立つなどの違いがあります。一方で一般的な不安でも、リラックス法や「考えすぎない習慣」などの「薬以外の対策」は共通して有効性を期待します。
ご質問「不安だと不安障害ですか?」について、精神科医が9.5分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
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(1)はじめに
今回は「不安だと不安障害ですか?」というご質問にお答えします。結論から申し上げますと、「強い困難がある場合のみ不安障害に該当しますが、対策には共通点もあります」というのが答えになります。
多くの方が日常的に感じる不安と、医学的な治療が必要な不安障害には明確な違いがあります。この違いを理解することで、適切な対処法を選択できるようになるでしょう。
(2)不安と不安障害
まず「不安」について振り返ってみましょう。不安とは、将来の危険などを予測したときに生じる緊張を伴う不快な感覚のことです。強くなると考えすぎや体の不調につながり、生活にさまざまな影響を与えます。しかし、多くの人が生活の中で自然に体験し、その後自然に改善していくことも多いものです。
一方で「不安障害」は、強烈な不安が続くことで生活に強く影響が出る精神疾患です。症状の出方や場所などで細かく分類されますが、治療法には共通点が多くあります。特に回避行動が目立つと、社会生活に大きな影響が出ることがあります。
代表的な不安障害には4つのタイプがあります。まず「社会不安障害」は人前や対人場面での強い不安が特徴です。「パニック障害」は急な心身の不調であるパニック発作を繰り返します。「全般性不安障害」は様々な物事への慢性的な不安の持続が見られます。そして「強迫性障害」は強迫観念と確認行為が特徴的です。
(3)不安と不安障害には違いがある
不安があるからといって、必ずしも不安障害とは限りません。不安と不安障害は同じではないのです。両者は主な症状である「不安」では共通していますが、一般的に多く体験される不安と比べて、障害として位置づけられる不安障害の方が該当する範囲は狭くなります。
細かくは各種の不安障害ごとに診断基準がありますが、最も大きな違いは社会生活の困難です。不安障害と一般的な不安との主な違いを見てみましょう。
まず「社会生活の困難」があります。仕事や対人交流ができなくなるなど大きな影響があり、重度になると引きこもりになることもあります。
次に「過剰な苦痛や制御困難」が挙げられます。本来想定されるより不安が過剰かつ苦痛で、コントロールも難しくなります。
さらに「持続期間の長さ」も特徴的です。不安の状況が去っても持続しやすく、数カ月以上続くことも多いのです。
例えば全般性不安障害では、様々な物事に慢性的に強く不安を感じます。一般的な不安とは程度や期間で見分けることができ、一般で想定されるよりも過剰な不安が様々な場面で発生し、疲労や睡眠不足などで生活への影響も強くなります。基準上は6か月以上、一般には年単位とかなり長く続くため、一見比較的軽めに見えても影響は強くなる可能性があります。
(4)各種の不安障害で見られる特有の症状
特定の不安障害では、それぞれに特有の症状が現れます。不安障害は実際には細かく分かれており、それぞれに特徴的な症状があります。こういった特有の症状が出ている場合、一般的な不安よりも不安障害がある可能性が高くなります。ただし、その場合でも障害に該当するような社会生活の困難や苦痛などが診断には必要です。
**パニック障害**では、パニック発作の反復が代表的です。急な心身の不調であるパニック発作を繰り返すことが特徴的で、主に電車など閉じた場所で急な不安や恐怖とともに、動悸やめまいなど様々な体の強い不調も生じます。電車などを回避しすぎると通勤困難などの生活困難が生じます。
**社会不安障害**では、対人場面の強い不安が代表的です。特に人前で強い不安が生じることが目立ち、慢性的に不安が出ることも多い一方で、集まりなどでパニック発作類似の強い発作が出ることがあります。人への回避をしすぎると、孤立や引きこもりなどの生活困難が生じます。
**強迫性障害**では、強迫観念と確認行為が特徴的です。頭に浮かんで離れない「強迫観念」が続き、それを打ち消すために手洗いなどの確認行為が出ますが、それがしばしば過剰になって生活に影響します。不安障害の中でも薬が効きにくく、生活への影響も強い傾向があるため注意が必要です。
**分離不安障害**では、別れへの強い不安がよく出ます。親など大事な人物との別れで強い不安が出るもので、以前は子どもの疾患と言われていましたが、実際には大人の例も少なくないことが最近分かってきています。一人暮らしができず、時に相手を巻き込むなど影響が強まる場合があります。
**限局性恐怖症**では、特定の物事への不安や恐怖が特徴的です。高所などの特定の物事に限っての強い不安や恐怖が目立ち、他の不安障害と比べて範囲が限定的なのが特徴です。影響は恐怖の対象と生活・仕事との関係次第で、薬の効果は乏しいことが多く、慣らす「脱感作」も苦痛を伴います。内容によってはそれを避ける回避が現実的な場合もあります。
(5)不安や不安障害ではどうしたらいい?
①不安障害なら薬物療法を検討
不安障害の場合は影響が強く、かつ脳の不調の要素も示唆されるため、薬の使用が検討されます。特にパニック障害等では効果を期待しますが、生来の不安の要素が強い場合は、なかなか効きにくい場合もあります。発作的な強い不安に対して頓服薬を使って対応する場合もあります。
不安障害で使う主な薬には以下があります。まず「抗うつ薬(SSRI)」は、続けることによって不安の改善を図るもので、他の対策の実践の土台にもなります。「抗不安薬」は飲むとすぐ効きますが、あくまで対症療法で、依存に注意しつつ頓服薬として主に使います。「漢方薬」は比較的軽症で副作用が気になる場合などに使われることがあります。
②薬以外の様々な方法(不安全般に有効)
薬以外の対策は不安全般で効果を期待します。不安に慣らす「脱感作」をはじめ、薬以外にも不安克服への対策があります。不安障害では薬と並行して行われますが、一般的な不安でも薬以外の対策は有効性を期待できます。一方、薬と比べるとすぐには効果が出にくく、地道に繰り返して身につける面が大きいという特徴があります。
**不安に慣らす脱感作**:不安なことに対して回避する代わりに、あえて直面することで慣らす方法です。不調な時に強い負担で行うと逆効果になるため、調子のいい時に絞って、非常に軽めのところから徐々に慣らすことが必要です。負担が大きい方法であるため、通院していない方であればカウンセリングを受けながら行うなど、一定の対策を取ることが望まれます。
**不安を和らげるリラックス法**:不安や緊張の逆になるリラックスを意識的にすることで不安を和らげます。呼吸法やストレッチなど様々な方法がありますが、相性もあるため自分に合った方法を探すことが大切です。脱感作を行うときの土台としての役割もあります。
**考えすぎるをやめる**:不安になると様々なことを先読みして考えすぎて、さらに悪循環になりやすいものです。不安から先読みして考えそうになったら、それに気づいて一歩引いて考えから離れることが重要です。離れにくい場合は、身近な別のことに集中することで考え過ぎから抜ける方法もあります。
**不安を感じ取り制御する**:強い不安では、自分がどう感じているか分からないまま混乱することが多いものです。対策として、日頃から自分がどう感じているかを感じ取ることを習慣にしていきます。すると不安が強まったときにそれを認知して、混乱する前に対策しやすくなります。
**土台としての自己肯定**:自己肯定感が低いと、ストレスに圧倒されやすく、不安に対しても圧倒されやすくなります。徐々にでも自己肯定感を高めることで、不安に圧倒されにくくして影響を減らします。合う環境を選びながらも、小さな成功体験を徐々に積み重ねて、自己肯定感を上げていくことが大切です。
**土台としての体調管理等**:体調不良や疲労、ストレス過多があると不安も強く感じられて影響されやすくなります。日頃からの疲労やストレス面も含めた体調管理の継続が土台の対策になります。環境との相性も不安に影響する面が大きいため、その影響が強い場合は環境調整も選択肢になります。
(6)まとめ
不安障害での主な症状である不安は、実際多くの人が経験する不安とは一見見分けがつきにくい面があります。不安障害の「障害」の根拠は「社会生活への大きな影響」にあります。
不安障害では、特有の症状が出るか、全般的かつ慢性的に困難が出てくることがあります。もし不安障害であれば薬物療法が適応になりますが、一方で薬以外の「脱感作」や「リラックス」など、薬以外の対処法は不安障害に限らず不安一般への効果も期待できます。
大切なことは、自分の状況を正しく理解し、適切な対処法を選択することです。不安が日常生活に大きな影響を与えている場合は、専門家への相談を検討することをお勧めします。
こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
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#精神疾患 #精神科医
【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。