忘却の騎士|たとえ忘れても、守りたい人がいる【Fantasy MV】
幻奏物語 | Fantasy MV
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忘却の騎士|たとえ忘れても、守りたい人がいる【Fantasy MV】
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人を斬るたび、記憶をひとつ失う。
呪いを止めるには、剣を捨てればいい。
それでも女騎士セレスは、逃げ遅れた人々を守るために剣を取る。
大切な人のことも、共に過ごした日々も、戦うたびに遠ざかっていく。
それでも彼女が手帳に残した、最後の願いとは――。
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■タイトル
『忘却の騎士』
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Short Story
人を斬るたび、記憶をひとつ失う。
それが女騎士セレスにかけられた呪いだった。
最初に消えたのは、幼い頃に飼っていた犬の名前。次は故郷の家の形。その次は、母の声だった。
呪いを調べた呪術師は、呪いを解く方法は見つからなかったと告げた。剣を握るだけでは何も起きない。人を斬った瞬間、記憶をひとつ失う。どの記憶を奪うかは選べない。だから、剣を捨てて戦場を離れれば、これ以上記憶を失わずに済む。それが呪術師の出した結論だった。
セレスは、剣を捨てなかった。
国境の村々に敵軍が迫っていた。兵の数は足りず、村人たちは逃げる時間さえない。セレスが戦場に立てば、助かる者がいる。立たなければ、確実に命を落とす者がいる。
彼女は誰より強い騎士ではなかった。ただ、危険な場所へ先に踏み込み、退く人々のために最後まで道を守ることができた。前の戦いでは、敵の斥候を引きつけている間に、村の子どもたちを森へ逃がした。帰還した彼女は、助けた子どもの顔を忘れていた。
「あなた一人が戦わなくても、国は滅びません」
幼なじみのユリウスは、出陣のたびにそう言った。彼はいつもセレスの隣にいて、彼女が自分で手帳に記録するのを見守り、戦場ではその手帳を預かっていた。
「国は私一人がいなくても続くわ。でも、今夜助けを待つ人たちは、私を待っている」
セレスは兜をかぶった。
戦いのあと、彼女は手帳を開いた。そこには自分の字で、短い記録が並んでいる。
――犬の名はリッタ。白い耳。
――故郷の家の窓は青。母は歌うとき、少し音を外す。
――ユリウスは嘘をつくと右の眉が動く。
最後の行を読んで、セレスは彼を見た。
「私たちは、どこで出会ったの?」
「村の井戸のそば。君が落とした靴を、僕が拾った」
「そんなことまで書いたのね、私」
「君が忘れたくないって、自分で書いたんだ」
セレスはページをなぞった。文字の形は自分のものなのに、そこにある思い出は知らない誰かの話のようだった。知識として読めても、懐かしさは戻らない。ユリウスが自分を大切にしてくれたことだけを、彼女は彼の表情から推し量るしかなかった。
「嘘をついたの?」
「いや。今のは本当だ」
右の眉は動いていなかった。セレスは笑った。手帳に書かれた思い出は、頭では理解できても、胸の奥までは戻ってこない。それでも彼女は、ページを閉じる前に、ユリウスの顔をしばらく見つめた。
やがて敵軍は王都へ続く峠に迫った。敵将を討てば、兵は退く。だが、そこへ至るには何人もの敵兵を斬らなければならない。セレスが失う記憶は、もうほとんど残っていなかった。
出陣の前夜、ユリウスは彼女の剣を握る手をつかんだ。
「国ではなく、自分を選んでください。あなたが僕を忘れてしまうくらいなら、僕は――」
「あなたのことを忘れるのが怖い」
セレスは、彼の手に自分の手を重ねた。
「だから、きっと私は、あなたを愛しているのでしょうね」
ユリウスは答えられなかった。
その夜、二人は見張りの火を囲んだ。ユリウスは昔の話をしたが、セレスが笑うたび、彼の声は少しずつ曇った。彼女は覚えていないことを謝った。彼は「君は何も悪くない」と返した。セレスは手帳に記録を足さなかった。忘れたくない夜も、書けば他人事になる気がしたから。
セレスは剣の柄に結ばれた青い糸をほどき、彼の手に握らせた。
「もし私があなたを忘れて、あなたを誰かと尋ねたら、思い出させないで。私たちの思い出は語らず、私が守ろうとした人のひとりだとだけ答えて。あなたが生きていると分かれば、それでいいの」
ユリウスは、糸を握りしめたままうなずいた。
翌朝、セレスは峠を越えた。矢が鎧を打ち、剣が腕を裂いた。敵兵の目に浮かぶ恐怖を見ても、彼女は足を止めなかった。後ろには、まだ逃げきれていない人々がいる。それでも彼女は進んだ。ひとり斬るたび、世界から何かが消えていく。父の顔。騎士になった日の誓い。初めてユリウスと見た海。
最後に、敵将が倒れた。
角笛が鳴り、敵兵たちは武器を捨てて退いた。峠の向こうから味方の旗が現れる。村々を襲う軍勢は、もういない。
その瞬間、セレスは最後に残っていたひとつの記憶――ユリウスが幼なじみで、自分の愛する人だったという記憶を失った。
戦争は終わった。
歓声に迎えられ、王都へ戻ったセレスは、門の前で待つ青年を見た。彼は泣きそうな顔をしていたが、彼女の前で騎士の礼をした。
「あなたは、誰ですか?」
青年は一度だけ目を閉じ、それから微笑んだ。
「あなたに命を救われた者です。あなたが守ろうとした人のひとりです」
セレスは手帳を開いた。最後のページに、見覚えのない自分の字があった。それは、最後の夜より前に書かれた一文だった。
――この人を忘れても、この人が生きる国を守りたい。
彼女はその一文を読み、青年を見た。
「よかった。あなたが生きていて」
その言葉に、ユリウスはとうとう顔を伏せた。
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制作
企画・原案・編集:あめきち
ショートショート制作:あめきち:ChatGPT
作詞:あめきち:ChatGPT
作曲・歌唱:Suno
イラスト制作:GPT Image 2.5
動画生成:DomoAI / Seedance
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AIについて
AIを使った創作には、さまざまな意見があることも理解しています。
自分にとってAIは、頭の中にある景色や物語、音楽のイメージを、外の世界に形として出してくれる創作のための道具です。
AIにすべてを任せるのではなく、どんな物語を作りたいかを考え、選び、修正し、組み立てながら作品にしています。
このチャンネルでは、AIを隠さず、創作ツールのひとつとして活用しています。
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