なぜ200メートルの木は存在しないのか|木が水を運ぶ限界
世界の取扱説明書
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なぜ200メートルの木は存在しないのか|木が水を運ぶ限界
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木は根から水を吸い上げている——そう教わります。けれど、木にポンプはありません。心臓にあたる器官も、動く部品も、ひとつもない。それでも水は地上116メートルの葉に届いています。押し上げているのではなく、上から引かれているからです。そして引かれている水は、気圧より低い圧力の中にいます。理屈のうえでは、すでに沸騰していなければおかしい状態です。本動画は、木が水を運ぶ仕組みを、圧力の定義から高さの限界まで、実測値と一次論文だけで掘り下げます。
▼ 目次
0:00 オープニング — なぜ200メートルの木は存在しないのか
2:05 第一章 ポンプでは、届かない — 大気が押し上げられるのは10.33メートルまで
3:37 第二章 マイナスの圧力とは、何か — 手のひらに乗る100キログラム
6:18 第三章 断裂しないのは、なぜか — 泡の核と、水素結合
8:33 第四章 引いているのは、太陽である — 半径10ナノメートルが生む15メガパスカル
10:41 第五章 なぜ、そこで止まるのか — 122メートルから130メートル
11:49 おわりに 張りつめた、水の糸
▼ この動画で分かること
・大気が水を押し上げられるのは10.33メートルまでで、116メートルの木には11倍以上足りないこと
・したがって木の水は押されているのではなく、葉から上に引かれていること
・引いているのは、葉から水が蒸発したあとに残るへこみ(メニスカス)であること
・圧力にマイナスがあるとは「押されていない、引かれている」という意味でしかないこと
・気体を含まない水だけを引くと、気泡の生じる余地がなく、圧力が0を下回れること
・セコイアの頂上では、およそマイナス1.9メガパスカル=大気圧の19倍の張力がかかっていること
・その水は理屈のうえでは常温で沸騰していなければおかしく、断裂していて当然の状態にあること
・それでも断裂しないのは、泡の核になる傷も気体の粒も道管にないからであること
・水は実験で、およそマイナス26メガパスカルまで耐えること(木の中の値とは桁がひとつ違う)
・根から吸った水のうち光合成に使われるのは1、2パーセントで、残りは蒸発して失われること
・つまり木は水を運ぶ仕事をしておらず、通り道を用意して太陽に引かせているだけであること
・系統も大陸も違う木が、どれも100メートル前後で止まっていること
・その壁の位置が122メートルから130メートルと見積もられていること
▼ 主な出典
・Koch G. W., Sillett S. C., Jennings G. M. & Davis S. D. (2004) The limits to tree height. Nature 428, 851-854
・Briggs L. J. (1950) Limiting negative pressure of water. Journal of Applied Physics 21, 721-722
・Dixon H. H. & Joly J. (1894) On the ascent of sap. Annals of Botany 8, 468-470
・Guinness World Records「Tallest tree living」(ハイペリオン/Sequoia sempervirens)
・Sillett S. C. による2006年の実測(115.55メートル)/2019年時点で116.07メートル
・Centurion(Eucalyptus regnans, タスマニア)2018年のレーザー実測 100.5メートル
・Menara(Shorea faguetiana, サバ州)巻尺による実測 100.8メートル
▼ この動画で言い切っていないこと
・10.33メートルは1気圧・水の密度1000・重力9.8で計算した値です。温度や標高で少し動きます
・マイナス1.9メガパスカルは116メートルの高さから導いた見積もりで、個体の実測値ではありません
・ブリッグスの実験値はきれいな水を用いたものです。木の中の水はそこまで純粋ではありません
・122メートルから130メートルは、葉の性質の高さ方向の傾きから外挿した値です。実際にその高さの木が観測されたわけではありません
・気孔を開く理由は二酸化炭素の取り込みですが、蒸散には温度を下げる働きもあります。本動画では扱っていません
・1872年に132.6メートルのユーカリが報告された記録がありますが、検証されていないため採用していません
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