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【深さ三千メートルの岩に張りついた金色の「卵」を、科学者たちが二年半かけて顕微鏡とDNAで調べたら、巨大イソギンチャクの置き去りの底だった】アラスカ湾の黄金の球体——本体はどこへ行ったのか

真夜中の資料室

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【深さ三千メートルの岩に張りついた金色の「卵」を、科学者たちが二年半かけて顕微鏡とDNAで調べたら、巨大イソギンチャクの置き去りの底だった】アラスカ湾の黄金の球体——本体はどこへ行ったのか

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2023年8月、アラスカ湾の深さ三千メートルを超える海底で、無人潜水機が岩に張りついた金色の球を見つけました。卵か、カイメンか、宇宙人の物かと世界中で話題になりましたが、正体は二年半以上わかりませんでした。顕微鏡で見つかった刺す細胞と、DNAをまるごと読む解析で突き止められた答えは、巨大な深海イソギンチャクが残した「底の膜」でした。今夜は、その調べものの道すじと、まだ分からない「本体の行方」をたどります。 0:00 深海の金色の球 0:37 二〇二三年八月の潜航 1:09 きいろい帽子 1:41 三つの見立て 2:15 黄金の卵と呼ばれて 2:46 体のない標本 3:33 顕微鏡の手がかり 4:02 読めないDNA 4:29 全部を読む 4:58 太平洋のもう一つ 5:31 巨大イソギンチャク 6:09 体の下の金色の膜 6:39 置き去りの底 7:17 残された金色の膜 ■ この回で扱うこと ・2023年8月30日、NOAA船オケアノス・エクスプローラーと潜水機ディープ・ディスカバラー ・生中継で世界が見た、白いカイメンのあいだの金色のドーム(直径10cm強・根元近くの穴) ・撮影係が最初につけた呼び名「きいろい帽子」 ・最初の三つの見立て(死んだカイメンの根元・サンゴ・卵の殻) ・「黄金の球体」「黄金の卵」という見出しと、人魚やイルカの卵という冗談 ・スミソニアン自然史博物館の中にあるNOAAの分類の研究所と、口も腸も筋肉もない標本 ・膜の表面に並んでいた刺す細胞スピロシスト(平均70マイクロメートルあまり) ・結果がはっきりしなかった最初のDNA検査と、住みついた微生物のDNA ・DNAをまるごと読む解析と、1万7千あまりの文字のミトコンドリアDNA ・2021年に中部太平洋のハウランド島・ベーカー島近くで採られた「双子」の標本(99.9%一致) ・持ち主=巨大な深海イソギンチャク、レリカンサス・ダフネアエ(体の直径約30cm・触手は2m近く・確かな記録は約30件) ・南極の海で採られた本体の、何層にも重なった底の膜と、その中の金色の一枚 ・置き去りの底と、そこに暮らしていた微生物の群れ ■ 扱いについて 黄金の球体は卵ではなく、中に育つものも見つかっていません。「宇宙人の物」という声は冗談・憶測として紹介しただけで、根拠はありません。最初の決め手は顕微鏡で見つかった刺す細胞で、最初のDNA検査は付着した微生物のDNAが混ざって結論が出ませんでした。正体を示した論文は2026年4月に公開されたもので、まだほかの専門家の審査を受ける前の段階(査読前)です。球体は生きた組織そのものではなく、イソギンチャクが岩に張りつく底の面から出した膜の残りと考えられています。上にいたはずの本体が死んだのか、別の場所へ移ったのかは分かっておらず、体をちぎって増える途中だったという解釈も、論文が挙げる可能性の一つにとどまります。水深は2023年のNOAAの発表で約3,300m、論文の記録で3,250mあまりです。映像の潜水機の写真は別の航海のもので、発見の瞬間ではありません。 【主な参照】 ・Auscavitch, S. R., Reft, A., Collens, A. B., Mah, C., Best, M., Benedict, C., Rodríguez, E., Daly, M. & Collins, A. G. (2026)「The Curious Case of the Golden Orb – Relict of Relicanthus daphneae (Cnidaria, Anthozoa, Hexacorallia), a deep sea anemone」bioRxiv(査読前) https://doi.org/10.64898/2026.04.17.7... ・NOAA Ocean Exploration (2023)「Unidentified Golden Specimen Captures Public Imagination」 https://oceanexplorer.noaa.gov/news/o... ・NOAA Ocean Exploration (2026)「Mysterious Golden Orb Identified!」 https://oceanexplorer.noaa.gov/?p=25905 ・Daly, M. (2006)「Boloceroides daphneae, a new species of giant sea anemone from the deep Pacific」 ・Rodríguez, E. ほか (2014)「Hidden among sea anemones: the first comprehensive phylogenetic reconstruction of the order Actiniaria」PLoS ONE #深海 #深海生物 #海の謎 #真夜中の資料室 【画像出典】 ・Relicanthus daphneae golden orb / NOAA Fisheries / Public domain(研究室で調べられた黄金の球体の実物) ・Relicanthus daphneae 2016 / NOAA Ocean Exploration, Deepwater Exploration of the Marianas / Public domain(2016年、マリアナ諸島周辺で撮られたレリカンサス・ダフネアエ) ・Expn7312 (25854388108) / NOAA Photo Library / Public domain(レリカンサス・ダフネアエの触手) ・Relicanthus daphneae / National Oceanic and Atmospheric Administration / Public domain(海底のレリカンサス・ダフネアエの全身) ・NOAA R337 Okeanos Explorer / NOAA職員(氏名表記なし) / Public domain(NOAA船オケアノス・エクスプローラー) ・Deep Discoverer manipulator arm NOAAS Okeanos Explorer (R 337) 25 April 2015 / NOAA Office of Ocean Exploration and Research, Exploring Puerto Rico's Seamounts / Public domain(2015年プエルトリコ沖の別の航海での潜水機の作業で、発見の瞬間ではありません) 音声: VOICEVOX(四国めたん / ずんだもん)/ 立ち絵: 坂本アヒル様 / BGM: 甘茶の音楽工房 / 効果音: 効果音ラボ / 背景動画: Pexels