東大数学・京大数学を語る本
中学受験!どっちがどっち!?数理教育研究会
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東大数学・京大数学を語る本
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東大数学と京大数学。
同じ最難関大学の数学でも、その問題の「奥」にあるものを見ていくと、かなり違った世界が見えてきます。
今回は、
『語りかける東大数学―奥深き理工学への招待―』
林 俊介 著
『語り合う京大数学―奥深き数学の森へ―』
林 俊介・古賀 詔一 著
の2冊を詳しく見ていきます。
タイトルだけを見ると東大・京大の受験参考書のようですが、中身は普通の過去問解説とはかなり違います。
東大の問題から「理工学の世界」へ。
京大の問題から「大学数学の世界」へ。
受験問題を入口に、その背後にある数学・理工学まで掘り下げていく非常に濃い2冊です。
【語りかける東大数学】
『語りかける東大数学―奥深き理工学への招待―』では、東大の過去問を題材に、一問を25分で解いて終わるのではなく、その問題をさらに深く考えていきます。
特徴的なのが、問題の背景にある「理工学的な意味」を見せてくれること。
たとえば、
・ロボットアームの動く範囲
・木材を効率よく切り出す問題
・石油タンクから液体が流出する問題
など、抽象的な数学の問題を現実の理工学的テーマと関連付けながら解説しています。
東大、特にかつての後期試験などには数学と物理・工学の境界にあるような問題もあり、この本の切り口と東大数学との相性の良さを感じます。
【解法ではなく「思考過程」を見せる】
さらに面白いのが、解答の完成形だけを示していないことです。
「まずこう考えた」
「この方法で進めてみた」
「しかし、これはあまり賢い方法ではなかった」
「そこで別の方針を考えた」
というように、実際に問題を考える過程そのものが再現されています。
途中式もかなり細かく書かれており、最初から最短解法を知っている人がスマートに解説するタイプの本ではありません。
受験参考書では、
「この問題はこのテクニックで一発!」
という見せ方もありますが、この本はむしろ逆。
真正面から問題に取り組み、苦しい方法も実際に試したうえで、
「なぜ次の解法に移ったのか」
まで見せてくれます。
東大数学らしい「問題を処理していく力」を、かなり生々しく見ることができる本です。
【語り合う京大数学】
そして第2弾、
『語り合う京大数学―奥深き数学の森へ―』
こちらは驚くほど方向性が変わります。
林先生と古賀先生の共著で、担当した部分にはそれぞれH・Kの印が付いています。
東大版が理工系的だったのに対して、京大版は一気に「数学科」の世界へ。
第0章から大学数学の専門書のように記号や表記法が整理され、ヤコビアンまで登場します。
【林先生と古賀先生でも色が違う】
林先生担当部分では、
・外積
・角運動量
・面積速度一定の法則
・エントロピー
など、数学と物理・理工学の境界にあるテーマが登場。
一方、古賀先生担当部分では、
・陰関数定理
・ラグランジュの未定乗数法
・ヤコビアンによる変数変換
・Lpノルム
・体論
・ガロア理論
など、かなり数学科寄りの内容へ進んでいきます。
京大の入試問題を入口にしながら、いつの間にか大学数学の本を読んでいるような世界に入っていきます。
【京大数学の奥にある数学】
京大の問題は、問題文自体は短くシンプルなものが多くあります。
しかし、その背後を見ると非常に数学的な構造が隠れている。
たとえば2023年度京大文系数学の「分母を有理化せよ」という一見単純な問題も、この本では体論や最小多項式という視点から掘り下げています。
受験生なら計算問題として解いて終わるところを、
「なぜこんな計算ができるのか」
「数学としては何が起こっているのか」
というところまで進んでいく。
『奥深き数学の森へ』というサブタイトル通りの本です。
【東大版と京大版の違い】
今回2冊を並べてみると、それぞれの大学の問題の特徴とも非常にうまく対応しています。
■語りかける東大数学
東大過去問
↓
問題をどう処理していくか
↓
試行錯誤・思考過程を再現
↓
理工学的な背景へ広げる
「理工の世界まで語る東大」
■語り合う京大数学
京大過去問
↓
問題の背後にある構造を見る
↓
大学数学の概念へつなげる
↓
数学そのものを深く掘る
「数学の森まで潜る京大」
同じシリーズ的な立ち位置にありながら、かなり違う本になっています。
【普通の東大・京大対策本ではない】
注意したいのは、この2冊は、
「これをやれば東大数学の得点がすぐ上がる」
「京大数学の頻出テクニックが身につく」
というタイプの参考書ではないことです。
むしろ大学受験問題を入口に、
「この問題の裏側には何があるのか?」
を知りたい人のための本です。
【こんな人におすすめ】
・数学そのものが大好きな高校生
・東大・京大の問題をもっと深く知りたい人
・数学だけでなく物理・工学にも興味がある人
・理学部数学科を目指している高校生
・数学オリンピックなどに挑戦するレベルの人
・大学数学を学び始めたものの、具体例が欲しい大学生
・高校数学と大学数学のつながりを知りたい先生・社会人
特に『語り合う京大数学』はかなり専門的なので、普通の受験参考書と思って読むと驚くと思います。
一方で、大学で習う抽象的な概念を、高校数学・入試問題レベルの具体例から眺められるという意味では、大学生にとっても面白い本です。
【チャプター】
00:00 ドデカミン「夜は楽しまナイト!」
01:15 東大数学、京大数学を語る本
01:48 今回紹介する2冊
03:54 『語りかける東大数学』
05:36 東大問題を理工学の世界につなげる
06:46 石油タンク問題と東大後期
07:32 林先生の思考過程を丸ごと再現
09:16 受験テクニックから始めない
10:10 正八面体の問題も真正面から解く
11:17 東大版は普通の解法本ではない
12:55 『語りかける東大数学』は誰向け?
13:20 『語り合う京大数学』
15:30 第0章から大学数学の世界
16:24 林先生は理工系、古賀先生は数学科
17:04 陰関数定理まで入試問題から掘る
18:09 ヤコビアンで本格的に変数変換
18:51 Lpノルム、エントロピーまで登場
19:45 京大問題の学問的な背景
19:57 有理化の問題を体論から見る
20:51 『語り合う京大数学』は誰向け?
23:05 東大版と京大版の決定的な違い
23:56 普通の受験参考書ではありません
24:25 数学が大好きな人におすすめ
東大版は、問題を解く過程とその先にある理工学へ。
京大版は、問題の背後にある数学そのものへ。
どちらも「大学受験数学」という入口から、普段の参考書ではなかなか見ることのできない世界まで連れていってくれる本でした。
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