雨天標本
yuel
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雨天標本
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yuel
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「……この雨を
記憶の栞にしておこう」
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「雨天標本」
lyric
雨音が窓を叩くたび
遠い日の匂いがした
濡れた傘いつかの街角
名前もない午後のこと
しまったはずの記憶ほど
雨に濡れて蘇る
忘れたふりをしていた
あの日の続きを探してる
透明な瓶にそっと
ひとつずつ閉じ込めた
笑い声も 泣き顔も
もう 戻れない温度も
君といた日々を褪せないように
小さな瓶にしまっておく
触れれば壊れてしまいそうな
あの日の欠片を抱きしめて
降り止まない雨の向こう
知らない季節が過ぎていく
忘れることが優しさなら
僕はまだ優しくなれない
窓辺に残った水滴が
街の輪郭をぼかしてく
あの日見た景色さえも
少しずつ知らない場所になる
時間は何も奪わずに
ただ遠くへ連れていく
だからせめてこの雨を
記憶の栞にしておこう
透明な瓶の底には
言えなかった言葉たち
「またいつか」なんて声も
まだ消えずに残ってる
君といた日々を綺麗なままで
閉じ込めておけたなら
傷ついたことも 寂しさも
愛した証に変わるだろう
濡れた街角あの日の僕が
今もどこかに立っている
手を伸ばしたら届きそうで
それでももう触れられない
もしも忘れてしまったら
僕は何を僕と呼べるだろう
失くしたものを数えるように
残った欠片に名前をつけた
雨の日だけ開く 標本箱
そこには確かに君がいる
もう会えなくても
もう話せなくても
あの日々は 消えないから
君といた日々を 褪せないように
この胸の奥にしまっておく
いつか僕が歩けなくなっても
あの温度だけは 忘れない
雨が止んだら 空を見上げて
知らない明日へ歩き出そう
忘れなくていい 忘れなくても
僕は僕のまま 生きていける
雨天標本 最後の一滴
瓶の底へと落ちていく
「さよなら」じゃなく「ありがとう」を
そっと過去へ 蓋をした