【第37話】店長になったら、残業代が消えた|名ばかり管理職と残業代
レイの法廷【アニメで判例解説】
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【第37話】店長になったら、残業代が消えた|名ばかり管理職と残業代
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【第37話】レイの法廷
▼この動画のショート版(2〜3分)
• 【第37話】店長になったら、残業代が消えた #Shorts
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――「被告における店長は、その職務の内容、権限及び責任の観点からしても、その待遇の観点からしても、管理監督者に当たるとは認められない」。全国3,802店を展開するハンバーガーチェーンの店長は、就業規則で「管理監督者」とされ、残業代の規定が外されていました。60日以上の連続勤務、月100時間を超える残業。裁判所は、肩書きではなく実態で線を引きました。
店長は昭和62年に入社し、平成11年に店長に昇格。各営業時間帯に必ず「シフトマネージャー」を置く会社の勤務体制のもとで、その役をこなせるアルバイトが足りない時間帯は店長自身が店に立つほかなく、平成16年7月には30日以上、同年11月から翌年1月には60日以上の連続勤務となりました。店長の基準給は月31万円で固定、評価手当と固定額の賞与を加えても、最下位の評価の店長の年額賃金(579万2,000円)は、残業代の付く一つ下の職位(ファーストアシスタントマネージャー・平成17年の平均年収590万5,057円)より低く、4割を占める評価の店長でも差は年44万6,943円でした。店長は会社を相手に、2年分の未払の割増賃金517万2,392円、同額の付加金、慰謝料300万円などを求めて訴えました。
東京地裁(平成20年1月28日・民事第19部)は、労働基準法41条2号の管理監督者について「経営者との一体的な立場において、同法所定の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を付与され、また、賃金等の待遇やその勤務態様において、他の一般労働者に比べて優遇措置が取られている」者という趣旨から、①職務内容・権限・責任 ②勤務態様 ③待遇の三つで判断するとし、店長の職務・権限は店舗内の事項に限られること、シフトマネージャー不足で長時間労働を余儀なくされ労働時間の裁量がなかったこと、待遇が管理監督者にふさわしいとはいい難いことから、管理監督者に当たらないと判断。割増賃金503万4,985円と付加金251万7,493円の支払を命じました(慰謝料は認めず)。
この回は、法律の骨組みから順に整理します。労働基準法1条(最低基準)・32条(1日8時間・週40時間)・37条(割増賃金)・41条(適用除外)・114条(付加金)を画面に出し、「管理監督者」という条文の言葉が、なぜ肩書きではなく実態で判断されるのかを見ます。
似た裁判: 最二小判平21.12.18(ことぶき事件・管理監督者でも深夜割増賃金は請求できる)/東京地判立川支部平23.5.31(コンビニ型チェーンの店長・直営約700店で正社員の3分の2が店長・管理監督者に当たらない)/厚生労働省 平成20年9月9日 基発第0909001号「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(「名ばかり管理職」への対処)。そのうえで、第35話の電通事件(長時間労働と健康の責任)との道の違いも整理します。
論点: 誰が誰に何を求めたか(割増賃金・付加金・慰謝料)/労働基準法41条2号「監督若しくは管理の地位にある者」の意味/三つの物差し(権限・勤務態様・待遇)/肩書きではなく実態/付加金の額(5割)/慰謝料が認められなかった理由/管理監督者と深夜割増/その後(会社の対応・国の通達・時効の改正)
▼目次
00:18 冒頭――「今日で、六十日目」
01:01 この動画で分かること
01:26 開廷・第三十七話
01:34 物語 昭和62年入社、平成11年に店長
02:35 30日・60日の連続勤務と残業月100時間超
03:02 店長の給料と、部下との逆転
04:24 店長は会社を訴えた
04:34 法律の基礎(労働基準法1条・32条・37条)
05:20 41条「管理監督者」と付加金
06:36 裁判の骨組み(誰が・誰に・何を)
07:05 争点――店長は管理監督者か
08:08 裁判所の物差し(権限・勤務の実態・待遇)
09:30 判断①権限
10:00 判断②勤務の実態
10:48 判断③待遇と結論
11:38 東京地裁 平成20年1月28日――割増賃金と付加金
12:35 似た裁判(最高裁の深夜割増・コンビニ店長・厚労省の通達)
15:21 当てはめ――あなたの店長は
16:48 その後――会社・和解・法改正
17:29 今日のポイントと、問い
18:28 次回予告・エンディング
【補足(法律上の注記)】
・人物は役職(店長・上司)で呼び、氏名は使っていません。店舗の描写は架空です。「日本マクドナルド事件」は一般に使われている判例名です。
・読み: 割増賃金(わりましちんぎん)/付加金(ふかきん)/管理監督者(かんりかんとくしゃ)/裁量(さいりょう)/労務管理(ろうむかんり)
・控訴審(東京高裁)は平成21年3月18日に和解し、会社が店長を管理監督者に当たらないと認め約1,000万円を支払ったこと、会社が平成20年8月から店長を管理監督者から外したことは、報道(社会保険労務士法人エールのニュース 2009年3月・ITmedia オルタナティブブログ 2009年3月)によります。和解調書は公開されていません。
・厚生労働省の通達(基発第0909001号)の本文は取得できておらず、動画では同省のQ&Aページの説明の範囲で述べています。
・労働基準法37条の月60時間超の5割以上(平成22年4月施行・中小企業は2023年4月)と、賃金請求権の時効(2年→当分の間3年・令和2年4月施行)は、判決の後の改正です。判決当時の時効は2年でした。
・この判決は「被告における店長」についての判断で、すべての店長が管理監督者でないと述べたものではありません。
※人物は役職の仮名です。事実関係は判決文等に基づく再構成・脚色を含みます。
▼出典(判例・一次資料)
・東京地方裁判所判決 平成20年1月28日(平成17年(ワ)第26903号 賃金等請求事件)
・最高裁判所第二小法廷判決 平成21年12月18日(集民232号825頁)/東京地方裁判所立川支部判決 平成23年5月31日(平成20年(ワ)第1102号)
・労働基準法(e-Gov法令検索)/厚生労働省「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について(平成20年9月9日付け基発第0909001号)」に関するQ&A
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制作: JurisCode.AI