【病院消滅の危機】「生まれた地域で命の格差があってはならない」8割を超える公立病院が厳しい経営…年間8000人が頼る日本最北の救命救急センターも10億円弱の赤字…模索する“命の砦”に密着
HBCニュース 北海道放送
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【病院消滅の危機】「生まれた地域で命の格差があってはならない」8割を超える公立病院が厳しい経営…年間8000人が頼る日本最北の救命救急センターも10億円弱の赤字…模索する“命の砦”に密着
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地方の医療を担ってきた公立病院が、いま危機に瀕しています。“命の砦”をどう守っていくのか。北海道北部にある、最北の“救命救急センター”に密着しました。
◆《名寄市立総合病院“救命救急センター”の現場では…》
名寄市立総合病院 救急科 鮎田真佳医師
「突然、倒れたというところから、カー出ようかなと思っているんですけど、出てもいいですか?あ、わかりました。カーを出ます!」
北海道北部にある名寄市立総合病院には、日本最北の“救命救急センター”があります。その現場に立つ、救急科の鮎田真佳医師。キャリア3年目です。地元の消防から『女性が草取り中に倒れた』との一報が飛び込みました。
名寄市立総合病院 救急科 鮎田真佳医師
「エコーいれた。ヒアリングしてないです」
ドクターカーに乗り込み、看護師と共に患者が待つ現場へ向かいます。
名寄市立総合病院 救急科 鮎田真佳医師
「駅前方面です」
救命救急の現場では一刻を争います。患者がいる場所で救急車と合流し、すぐに救命救急センターに運び、処置に当たります。
名寄市立総合病院 救急科 鮎田真佳医師
「じゃあ、何回か座っているところから立って、モノを運んでいたら、目の前真っ暗に?あっていますか?うん、わかりましたよ。こうやって倒れたのって初めて?前もあった?」
鮎田医師らが処置を進めている間に、別の患者が運ばれてきます。
搬送して来た消防隊員
「ふだんは車いすの移動も、ご自分の力で移動できていたんだけれど、きのう辺りから怪しくて…。きょうは動かすと、痛くて動けないということで…」
医師や看護師ら、救命救急センターの医療スタッフは、速やかに状態を把握し、対応を判断します。
◆《年間8000人を受け入れる“命の砦”…病院は10億円弱の赤字も》
名寄市立総合病院 救急科 鮎田真佳医師
「触りますよ。ここ痛いの?もっと下、ここ?痛いところ、なんで痛くなったのか画像の検査とりたいです。最近、画像の検査、撮っていました?」
24時間365日。最北の救命救急センターには、年間およそ8000人もの患者が運び込まれます。
北海道北部の名寄市は人口2万4000人ほど。名寄市立総合病院は、約300の病床を持ち、四国4県に匹敵する道北全域をほぼカバーしています。北海道内6つのエリアに置かれた、高度医療を必要とする患者らを受け入れる“三次医療圏”の拠点病院です。ただ、地域医療を取り巻く厳しさは、ここも例外ではありません。
名寄市 加藤剛士市長
「10億円弱の赤字になりそうな見通しであります。この状況が、あと1年、2年と続くと、もう病院は看過できないような厳しい状況になる。これは病院だけでなく、自治体の財政にも大きな影響を及ぼしかねない、危機的な状況だというふうに思います」
◆《救命救急は地域のインフラ…だが公立病院の8割以上が赤字》
2015年に救命救急センターに指定。ドクターヘリの搬送を受け入れや、ドクターカーも運用しています。日本最北の“救命救急センター”の現場。いつ、どこから、どんな患者が運ばれてくるのか、予測することはできません。
名寄市立総合病院 救命救急センター 砂田大貴センター長
「救命救急なので(ここは)電気や水道と同じインフラ。田舎でも当然そういったものは、当たり前に使えることが求められていると思っています」
“命の砦”である、高度な究明救急医療。ところが、自治体が経営する病院にとっては大きな負担です。いま全国の公立病院では、8割以上が赤字経営に陥っています。
北海道の太平洋側にある室蘭市。今年2月、市立室蘭総合病院の閉院を明らかにしました。
室蘭市 青山剛市長
「病院事業会計の経営状況は数年の間に、室蘭市が財政再生団体に転落する危機的な水準に…」
診療報酬や薬価は公定価格で、病院の事情で値上げは許されません。人口減少や高齢化による、医療ニーズの変化。医師や看護師らの不足も深刻です。病院消滅という事態が、地方では現実になろうとしています。
救命救急の現場で年間およそ8000人の患者を受け入れる名寄市立総合病院。どうやって“命の砦”を守るのか。もはや、待ったなしの状況です。
◆《地元市長「地域で“命の格差”があってはならない…公立病院の使命」》
名寄市 加藤剛士市長
「生まれた地域によって“医療の格差”、“命の格差”があってはならないのだろうと思いますので、そこは公立病院の役割であり、使命であると考えています」
そこで選んだのは、隣町の士別市立病院との機能集約です。救命救急や周産期医療などの『高度医療』が必要な患者は、三次医療圏の拠点である名寄市立総合病院が担当します。士別市立病院は、リハビリなどといった『回復期』などの患者を中心に担います。共倒れしないための取り組みです。
名寄市 和泉裕 病院事業管理者
「高度医療というか、非常に急性期の手がかかる、いろいろな医療の安全に関わる、いろいろな医療機器が必要、医療従事者が必要というものは、人手も物もすごくかかるわけです」「慢性期、自分の家には帰れないけれど、少し療養が必要っていう場合は、診療密度が非常に少ないわけです。そうすると、医療従事者は少なくて済む。だから、そこを分担するということなんですよ」
取材中、名寄市立総合病院の救命救急センターに、士別市立病院から患者が運ばれてきました。腎臓内の炎症悪化で、より高度な治療が必要と判断されたのです。
名寄市立総合病院 救急科 鮎田真佳医師
「辛そうだった患者さんが、元気に“よくなった”と言って退院されたときは、すごくうれしいです」
暮らしている場所によって、命を諦めることがあってはならない。縮む医療の中、生き残りをかけた公立病院の模索が続いています。
世永聖奈キャスター)
地域の医療機関が役割を分けることで、薬や医療機器の共同購入など、公立病院にとって、経営的な負担軽減にもつながります。同じような取り組みは、オホーツクなど、ほかの地域でも始まっています。
堀啓知キャスター)
北海道上川地方の北部の場合、3つの病院でうまく連携して、診療内容が食い合わないように分担しているとのことですが、6月1日、医療機関の大きな収入源である診療報酬が改訂され、12年ぶりに引き上げられました。ただ、引き上げ幅は約3パーセントなので、これで病院の経営が、すぐ立ち直るというレベルでは、当然ありませんが、鶴岡さんはVTRどうご覧になりましたか。
HBC野球解説者 鶴岡慎也さん)
やはり10億円弱の赤字が、毎年、出るっていうのは衝撃的でした。医療費については、私たちの負担も増えますが、そこは理解して払っていくバランスをとることが、大事と感じましたよ。
堀啓知キャスター)
病院がなくなってしまえば、町で暮らす人を維持することも難しくなっていくわけが、福島さんはどう感じましたか。
タレント・マラソンランナー 福島和可菜さん)
どの業界もいま、人手不足で大変ですが、医療現場となると命に関わるわけですから、このままでいくと病院が維持できないっていうお話ありました。医療機関がなくなってしまっては手遅れですから、早い段階から、どう対応していくかを考えながら、具体的な仕組みを進めていかないと、取り返しがつかないことになってしまうと、すごく思いました。
堀啓知キャスター)
今回は、キャリア3年目の女性医師のかたを中心に取材しましたが、地方で働く医療従事者の育成であったり、若い人材に来てもらう環境の維持であったりも、考えていく必要があります。“命の格差”が生じないためにいま、何ができるんでしょうか。公立病院の現場では“やれることは全部やる…”そんな模索が続いています。
《HBCテレビ「今日ドキッ!」2026年6月1日(月)放送》