糖を取りすぎた体の末路 | 糖の正体
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糖を取りすぎた体の末路 | 糖の正体
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いま、あなたの血管を流れている糖は、全部で4グラムほどです。角砂糖1個ぶんもありません。
それなのに脳は1日に120グラムを使う。単純に割れば、その池は40分ほどで総入れ替わりです。
体はこの4グラムを執拗に守ります。足りなければ意識が飛ぶから——と説明されます。
けれど体は、糖が多すぎるときにも同じくらい必死になる。燃料が増えて死ぬ、というのは奇妙な話です。
この動画は、その奇妙さから始めて、糖という分子そのものを見にいきます。
▼ 目次(チャプター)
0:00 オープニング — 血に流れている糖は、角砂糖1個ぶんもない
2:29 第1章 甘い、は糖の定義ではない — 反応する端を1つ持った鎖
5:14 第2章 輪にたたむ — 鎖に戻っているのは10万個に2〜3個、それでも39京個
7:57 第3章 なぜブドウ糖なのか — 15種類を測った1981年の実験
11:10 第4章 粒の数で決まる — 貯金をほどくと浸透圧が18%上がる
13:44 第5章 それでも焦げる — メイラード反応とヘモグロビンA1c
17:12 第6章 果糖は、なぜ血を流れないのか — 架橋は10倍速い
20:07 第7章 向きが一つ変わると、食べ物でなくなる — ご飯と紙
22:41 第8章 水の代わりになる糖 — ネムリユスリカとトレハロース
27:00 第9章 甘さは、糖の性質ではない — 稀少糖とイズモリング
30:19 おわりに — 水によく似た、反応する端を輪に隠せる分子
▼ この動画で分かること
・糖には反応しやすい端(アルデヒド)が1か所あり、生き物はその端を鎖の途中とつないで輪にしていること
・水に溶けた糖のうち輪が切れて鎖に戻っているのは0.0026%(10万個に2〜3個)だが、血中の4グラムで数え直すと39京個にのぼること
・鎖に戻る割合は糖ごとに約30倍も違い、その序列でブドウ糖がいちばん反応しにくい側に立っていること(Bunn & Higgins 1981)
・六炭糖の燃焼熱は互いに0.3%しか違わないので、「よく燃えるから選ばれた」では説明がつかないこと
・体が糖をつなげて貯めておく理由は効率ではなく浸透圧で、400グラムをほどくと体液の浸透圧が18%上がること(自分で計算)
・パンの焼き色と同じ反応が体温でも進み、その記録が消えないまま赤血球に120日残るのがHbA1cであること
・平均血糖が1.44倍になるだけで、いちばん安全なはずの糖が20年かけて体を壊すこと
・果糖が血糖値を上げないのは安全だからではなく、肝臓が全身へ流させていないこと
・果糖はブドウ糖と同程度の速さで結合するが、タンパク質どうしをつなぎ留める「架橋」は10倍速いこと(McPherson 1988)
・ご飯と紙は材料がどちらもブドウ糖で、違いはつなぎ目の向き(αかβ)1つだけであること
・乾いても死なないネムリユスリカは体の水の97%を失い、トレハロースを38マイクログラムためた個体だけが全部生き返ったこと
・トレハロースがなぜ守れるのかは、いまも3つの説が並んだまま決着していないこと
・砂糖の70%の甘さで熱量が10分の1のD-アルロースが、甘さと燃料が別ものであることを示していること
▼ 主な出典
・Bunn H. F. & Higgins P. J. (1981) Reaction of monosaccharides with proteins: possible evolutionary significance. Science 213, 222-224
・Hayward L. D. & Angyal S. J. (1977) A symmetry rule for the circular dichroism of reducing sugars, and the proportion of carbonyl forms in aqueous solutions thereof. Carbohydrate Research 53, 13-20
・Zhu Y., Zajicek J. & Serianni A. S. (2001) Acyclic forms of [1-13C]aldohexoses in aqueous solution. J. Org. Chem. 66, 6244-6251
・Wasserman D. H. (2009) Four grams of glucose. Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab. 296, E11-E21
・Maillard L. C. (1912) Action des acides aminés sur les sucres: formation des mélanoïdines par voie méthodique
・Rahbar S. (1968) An abnormal hemoglobin in red cells of diabetics / 総説: Arch Iran Med 16 (2013)
・Nathan D. M. et al., A1c-Derived Average Glucose Study Group (2008) Translating the A1C assay into estimated average glucose values. Diabetes Care 31, 1473-1478
・McPherson J. D., Shilton B. H. & Walton D. J. (1988) Role of fructose in glycation and cross-linking of proteins. Biochemistry 27, 1901-1907
・Cornette R. & Kikawada T. (2011) The induction of anhydrobiosis in the sleeping chironomid: current status of our knowledge. IUBMB Life 63, 419-429
・Hinton H. E. (1960) Cryptobiosis in the larva of Polypedilum vanderplanki. J. Insect Physiol. 5, 286-300
・林原/丸田和彦によるトレハロース生産酵素の発見(1992)と工業化(1994)
・何森 健・深田和宏「イズモリング」Glycoforum 27A17
・d-allulose, a versatile rare sugar: recent biotechnological advances and challenges (2022)
▼ この動画で言い切っていないこと
・「ブドウ糖が主要な燃料になったのは輪の形が安定だからだ」とは断定していません。1981年の論文自身が「一部よるのかもしれない」と書いており、いまも証明されていません
・果糖の架橋が10倍というのは試験管の中の話です。人の体で10倍のことが起きる証明ではありません
・果糖と代謝疾患の因果は、いまも研究者のあいだで割れています
・トレハロースがなぜ生き物を守れるのかは未解決です。水置換説・ガラス化説・水捕捉説が並んでいます
・HbA1cから平均血糖を出す式には当てはまりの限界があります(r²=0.84)。同じ値でも人によって幅が出ます
・「1日160グラム」は教科書がよく使う見積もりで、測定値ではありません
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音楽: 'Origami' by Scott Buckley – released under CC-BY 4.0. www.scottbuckley.com.au
#糖 #生化学 #大人の学び