【HDD】なぜハードディスクはある日突然「カッコン」と死ぬのか──"触れないはず"のヘッドと、浮上3ナノの世界
ゆっくり情報科学ちゃんねる
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【HDD】なぜハードディスクはある日突然「カッコン」と死ぬのか──"触れないはず"のヘッドと、浮上3ナノの世界
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ご視聴ありがとうございます。
深夜のサーバー室に響く「カッコン、カッコン」という不穏な異音。それは、ハードディスクが致命的な損傷を負い始めているサインかもしれません。この音が鳴り止まなくなったHDDは、通電を続けるほどデータ復旧の可能性を自ら下げてしまうことがあります。実際に、復旧不能になった個体を開けてみると、本来データを記録しているはずの膜が広範囲にわたって削り取られ、下地のガラスが透けて見えるという、衝撃的な光景が広がっていることがあります。
しかし、HDDの読み書きを行うヘッドは、円盤に「絶対に触れないように」設計されているはずです。では一体、何が、どのようにして、その大切な記録面を削り取ってしまうのでしょうか? そして、わずか数ナノメートルという極限の隙間を浮上しているはずのヘッドに、一体何が起きているのでしょうか?
この動画では、データ復旧の希望を打ち砕くHDDの物理的な損傷、特に「触れないはず」のヘッドが円盤を削ってしまうという不可解な現象のメカニズムと、その背後にある空気と摩擦の物理、そして「浮上3ナノ」という極微の世界で何が起きているのかを、ゆっくりと解説していきます。
■ 視聴者からの補足
現場を知る皆さんのコメントのおかげで、動画がより正確になります。ありがとうございます。
・RAMAC という名前は二つあります。動画で扱ったのは1956年の IBM 305 RAMAC(円盤部分は IBM 350)です。1990年代半ばの「RAMAC Array」は、小型のディスクを RAID で束ねて大型機用の 3390 型ディスクとして見せた、別の製品です。
・円盤の土台(基板)はアルミとガラスの2種類です。ノート用の2.5インチはガラス、デスクトップ用の3.5インチはアルミが多く使われてきました。壊すときに、曲がる円盤はアルミ、割れる円盤はガラスです。
・落下を検知してヘッドを逃がす仕組みは、2003年の IBM ThinkPad の「Active Protection System」が代表例です。本体側の加速度センサーが揺れや落下を感じると、ヘッドを退避させます。のちに、センサーを HDD 自体に内蔵した製品も出ました。
・空気で浮くHDDは、気圧が低い高地では浮く力が落ちます。そのため、多くの機種で動作できる高度の上限(3,000m前後)が決められています。ヘリウムを封入した密閉型は外の気圧の影響を受けません。
・今回は「ヘッドと円盤の隙間」に話を絞ったため、2005年ごろから製品化された垂直磁気記録(記録密度を大きく伸ばした技術)には触れていません。
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実機の写真には「実機写真」、当時の資料には「資料」、当チャンネルがデータから作図したものには「再現図」のタグを付けています。
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数字・年表・図解はAIに描かせず、事実シートからプログラムで作図しています。
■ 画像出典(Wikimedia Commons)
・Hard disk drive platter, Samsung MP0402H.jpg|Mk2010|CC BY 4.0
・Hard disk drive platter, Western Digital Caviar 250Gb WD2500AAKS.jpg|Mk2010|CC BY 4.0
・Actuator arm assembly of a hard disk drive.jpg|Mk2010|CC BY 4.0
・IBM75GXP Failed Disks.png|Ken Sallot / Tom Gardner|PD
・BRL61-IBM 305 RAMAC.jpeg|U.S. Army Red River Arsenal (BRL Report No.1115, 1961)|PD
・RAMAC 305 disk.JPG|Deep silence (Mikaël Restoux)|CC BY 2.5
・IBM 1311.jpg|Ebertakis|CC0
・Hard Disk Actuator.ogv|Fletcher6|CC BY 4.0
ゆっくりしていってね!
※この動画は【東方project】を基にした二次創作です。
東方Projectの二次創作ガイドライン
https://touhou-project.news/guideline/
※ゆっくり魔理沙、ゆっくり霊夢はきつね様の画像を使用しています。
https://ci-en.net/creator/34363/artic...
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■ 第8〜10章の要点(ざっくり)
・ヘッドと円盤の「距離」は二つある。素子から磁性層までの磁気的間隔(約10nm)と、実際に空いている気体の隙間。膜(保護膜・潤滑膜)で半分以上が埋まり、空気が通る隙間は一桁nmしかない
・常温1気圧の空気分子は、次にぶつかるまで平均65nmほど飛ぶ。隙間がそれより狭いと、分子は壁から壁へそのまま渡ってしまい、学校で習う「切れ目のない流れ」の式が合わなくなる
・そのまま設計すると圧力が計算より立たず、ヘッドは狙いより低く飛ぶ。1988年に福井茂寿・金子礼三が「気体がどれだけ流れるか」の部分を分子の運動から作り直し(分子気体潤滑)、今の浮上設計はその上に乗っている
・出荷時の隙間はものさしでは測れないので、ヘッドを熱で膨らませてわざと触れさせ、触れた点を基準に決めた分だけ戻す(タッチダウン較正)。HDDは「触れる境界を測って、その手前で回る」装置
■ チャプター
0:00 オープニング
2:52 第1章 この箱は密閉されていない
8:03 第2章 自分では浮けなかった円盤
10:59 第3章 隙間という門
14:12 第4章 風を送るのをやめた日
17:33 第5章 円盤に着地していた頃
20:29 第6章 空気の物差しを割る
22:37 第7章 ガラスが見えた円盤
26:48 第8章 ほとんど隙間ではない
30:01 第9章 空気を空気として扱わない
33:05 第10章 触れる境界を測る機械
38:24 第11章 外気とつながる穴が消えた
40:39 エンディング