カナダから渡韓した患者さん、術後10ヶ月検診|顎矯正後の顎ラインのくぼみを自家骨で再建
中央大・李教授の輪郭再建ラボ
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カナダから渡韓した患者さん、術後10ヶ月検診|顎矯正後の顎ラインのくぼみを自家骨で再建
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こんにちは。韓国・中央大学校病院 口腔顎顔面外科の李義龍(イ・ウィリョン)です。
以前ご紹介したカナダの患者さんが、術後10ヶ月の検診のため再び韓国に来られました。術後間もない頃はまだ腫れが残っていましたが、腫れが引いて顔がどう変わったのか、そして10ヶ月で実際にどれだけ骨ができたのかを、CT断面までお見せします。
■ 顎を前に出すと、横のボリュームは必ず犠牲になる
• 下顎前進手術(BSSO)後、外から見てわかるほどの下顎下縁のくぼみが生じる割合は約12.5%と報告されています。前進量が大きいほど、時計回りの回転が大きいほど、近位骨片の位置異常や舌側皮質骨の分割があるほどリスクが高まります。
• オトガイ形成(前進)後には、約72.5%で下縁にノッチ(段差)が生じたという1988年の報告があります。欧米では砂時計のようにくびれることから「hourglass deformity(砂時計変形)」と呼ばれます。
• 顎を後ろに下げる場合は重なる骨を削ればよいのですが、前に出す場合はそうはいきません。必ず横のボリュームを犠牲にして前に出るため、前進量が多いほど体部はくぼみます。これは前進手術という術式そのものの限界であり、執刀医の問題ではありません。
• 外傷や切除による欠損ではなく「前進の結果」として生じる欠損なので、私はこれをpseudo-defect(偽性欠損)と呼んでいます。
■ オニオンバッグ法(Onion Bag Method)とは
• くぼんだ部分を塊のプロテーゼで埋めるのではなく、3DプリントしたPCLで「殻(コンテナ)」だけを作ります。
• その中に患者さん自身の骨(腸骨)を砕いて入れ、BMPや他家骨を混ぜてボリュームを増やし、顎に固定します。
• 玉ねぎネットに入った玉ねぎのように見えることから、オニオンバッグ法と名付け、海外の論文や学会でもこの名前で紹介しています。
■ 患者さんの情報とお悩み
• 36歳男性、カナダ在住。動画の公開をご快諾いただいた患者さんに心より感謝いたします。
• 2018年、小さい顎(下顎後退)の改善のため、下顎前進手術とオトガイ前進術を受けられました。
• 改善したいこと4つ:①左右非対称 ②砂時計状(オメガ型)の顎のくぼみ ③以前のプレート・スクリューの除去 ④細い顎先を広くしたい。
■ CT所見
• 輪郭手術(エラ削りなど)で削りすぎたことによるくぼみではありません。
• 下顎全体の前進によって下顎角の前に一つ、オトガイ前進によって体部にもう一つ、二か所のくぼみが重なり、顔全体が砂時計のように深くくぼみ、左右非対称も見られました。
■ 手術計画と経過
• 左右の骨形態を3Dで設計し、手術ガイドを作製したうえで、オニオンバッグ法(PCL+自家骨)で顎全体を再建しました。
• 6年近く入っていた長いスクリュー6本のうち5本を除去しました(1本は残存)。除去だけで1〜2時間かかる大変な工程です。
• 「固定材の除去を先に別の手術で済ませてから来ていただこうか」と考えたこともありましたが、手術・剥離・費用・時間の負担を考え、一度の手術で終えることを選びました。
■ 術後5週〜2ヶ月
• くぼみは大きく改善しましたが、腫れが残り、笑ったときにやや不自然さがある時期でした。
■ 術後10ヶ月 ― 機能
• 唇や顎の感覚異常なし、神経損傷の症状なし。
• 前顎の再建量が多いと起こりうる下唇の下垂や口が閉じにくいといったオトガイ筋の機能障害もありません。話すときに下の歯が見えることもなく自然です。
• 最も大切な腸骨(骨盤)の採骨部も、歩く・走るなどの日常動作に全く支障はありませんでした。
• 患者さんご自身も、非対称はほとんどなく、機能面・見た目ともに大変満足していると話されました。
■ 術後10ヶ月 ― CTで見る骨の再生
• CTでPCLを除いて新しくできた骨だけを表示すると、術前後の重ね合わせでも正面からでも、左右対称にしっかり骨ができています。
• 本物の骨かどうかは断面を見なければわかりません。外側は皮質骨、内側は海綿骨(骨髄)という正常な骨と同じ構造ができており、骨髄のパターンも元の骨と非常によく似ています。
• 私の観察では、時間が経つほど皮質骨は厚くなっていきます。
• 感染などのイベントがなければ、吸収率は多くの場合10%を超えていません(100%を保証するものではありません)。
■ 術後10ヶ月 ― 顔の変化
• 腫れが引き、バランスの取れた左右対称の顔になりました。
• 笑うと両側がくぼんで鋭く見えていた印象が、柔らかく穏やかな印象に変わりました。
• 斜め45度では、耳の下から顎先まで途切れのないフェイスラインが続き、以前透けて見えていた顎下腺の輪郭も見えなくなりました。エラから顎先まで二段のカクつき(二次角)なく滑らかにつながっています。
■ まとめ
1. 下顎・オトガイの前進は横のボリュームを犠牲にします。前進量が大きいほど偽性欠損は避けにくくなります。
2. このくぼみは、プロテーゼではなく「自分の骨」で再建できます ― PCLの殻+自家骨のオニオンバッグ法。
3. 10ヶ月後のCT断面で、皮質骨と海綿骨を備えた正常構造の骨が確認されました。
4. 術後5週〜10ヶ月の腫れの引き方の参考にしてください。
※結果や回復の経過には個人差があります。
■ お問い合わせ
オンラインのビデオ相談は行っていませんが、写真やCTをメールでお送りいただければ、拝見してご意見をお伝えします。
📧 davidjoy@cauhs.or.kr
李義龍 教授|韓国 中央大学校病院 口腔顎顔面外科
FACEDESIGNER · Digital-Bio Face Design Lab · One Surgery, Zero Worry.
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