「私は本当に犯人ではない」暴力団幹部に無罪判決『餃子の王将』社長射殺事件【報道ステーション】(2026年10月16日)
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「私は本当に犯人ではない」暴力団幹部に無罪判決『餃子の王将』社長射殺事件【報道ステーション】(2026年10月16日)
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13年前の事件に判決です。『餃子の王将』を展開する『王将フードサービス』の社長だった大東隆行さんが射殺された事件で、京都地裁は16日、殺人などの罪に問われていた暴力団幹部に無罪を言い渡しました。
■暴力団幹部の男に無罪判決
西川篤志裁判長
「主文、被告人は無罪。被告人が実行犯であることに合理的な疑いが残る」
社会に衝撃を与えた銃撃事件。実行犯とされた田中幸雄被告(59)は、無罪を言い渡されると、落ち着いた様子で2~3回うなずきました。
事件が起きたのは2013年12月。早朝の住宅街で、王将フードサービスの当時の社長・大東隆行さんが銃で撃たれ、死亡しました。
■経営の危機を救った“カリスマ”
看板商品の餃子を筆頭に、様々な中華料理を提供する、餃子の王将。現在、全国に700店舗を展開していますが、かつて不動産取引で巨額の負債を抱え、経営危機に陥っていた時期があります。その立て直しの陣頭指揮を執ったのが、4代目社長の大東さんでした。
王将フードサービス 大東隆行社長(当時)
「王将が優れているのは心・ハートがあるんや、絶対に。上の者は常に熱き心を持たなあかん。熱き力がなかったら何がなるねん」
時に、自ら調理場に立って餃子を焼き、新たに出店するとなれば、その店で味を確かめる。現場主義を貫き、社員からは“カリスマ”と呼ばれる経営者でした。その大東さんのルーティーンが、早朝の掃除でした。
王将フードサービス 大東隆行社長(当時)
「店を回った時に、本社が汚かったら『何や』と注意しても説得力がない」
事件当日も、掃除をするため、早朝に出勤したところを狙われたとみられます。
■逮捕まで9年 焦点は“たばこ”
発生から9年。事件は大きく動きます。
京都府警の会見(2022年10月)
「本日、午後2時14分。福岡県下において、本件被疑者として田中幸雄56歳、発生当時47歳、男性1名を逮捕しました」
逮捕されたのが田中被告。福岡にある特定危険指定暴力団『工藤会』傘下組織の幹部で、別の事件で服役していました。
田中被告が浮上した理由の1つ。それは、現場付近に落ちていた2本のたばこの吸い殻です。吸い口から田中被告と同じDNA型が検出されました。
逮捕されてから黙秘を続けていたとみられる田中被告。初公判で無罪を主張しました。
田中被告
「私は決して犯人ではありません。“決して”が付きます。任侠(にんきょう)道を志す者として濡れ衣の1つや2つ甘んじて受け入れますが、センセーショナルな事件までは到底承服できません」
直接証拠がない中、田中被告が本当に犯人なのかどうかが争われました。検察が立証の軸にしたのが、たばこの吸い殻が現場付近に残されていたことでした。検察側は「田中被告が犯行直前の緊張感で、たばこのDNA型から自身が浮上するかもしれないと意識していなくても、おかしなことではない」などと主張。
弁護側は、現場付近でたばこの灰や火種が検出されておらず「念入りに工作をしていた人物が、吸い殻を2本も犯行現場に残しておくとは考え難い」と第三者が持ち込んだ可能性を指摘しました。
■「私は本当に犯人ではない」
終始、無罪を訴え続けた田中被告。審理の最後にも。
田中被告(最終陳述で)
「私は本当に犯人ではありません。傍聴席にいる一人ひとりの肩をつかんで犯人じゃなかとばい、犯人ではないと伝えて参りたいです。私は犯人ではありません」
そして、裁判所が無罪と判断した主な理由も、たばこの吸い殻でした。
西川篤志裁判長
「吸い殻は被告人が喫煙したものと認められるが、別の真犯人が持ち込んだ可能性が否定できない」
たばこは別の場所で吸われたもので、何者かによって現場まで運ばれた可能性が否定できないと指摘。被告が実行犯であることに合理的な疑いが残ると判断しました。
さらに、事件については。
西川篤志裁判長
「いかなる依頼者や組織が関わり、いかなるルートで実行犯に指示命令がなされたのかといった、犯行全体の実像に結び付くような事実が一切解明されていない」
田中被告は、別の事件で服役中の身です。判決後、弁護士を通じて心境を明かしました。
田中幸雄被告のコメント
「裁判官の判決の言葉に溜飲が下がるとともに、この4年の垢が洗い流された気持ちになりました。それでも犯人と思われた時点で人生が変わるし、失ったものも戻ってきません。検察も人間ですから間違うこともあります。過ちは過ちとして、勇気を持って振り出しに戻って過ちを正され、真犯人を追っていただきたい」
大東さんの30年来の友人は。
亡くなった大東さんの長年の友人
「まさか無罪とはね…なるとは思っていなかったから。無罪になるような闇の深い事件なんでしょうね。こうなったら私自身も何が何だか分かりません。やっぱり驚いたのと同時に…真犯人を見つけるまで、府警もいちから頑張ってほしい。そうしないと報われない。これはもう本当の謎の事件。いわゆる迷宮入りの事件になってしまうのかなと。恐らく、これから真犯人を探り出す、そのような証拠も何もないと思います」
京都地検は「検察官の主張が受け入れられず残念である。判決内容を精査し、上級庁と協議の上、適切に対応したい」とコメントしています。
■無罪判決“間接証拠”どう判断?
田中被告が「私は犯人ではない」と否認し、全面対決となった今回の裁判。目撃証言など、犯行を直接的に裏付ける証拠はなく、検察側は複数の間接証拠を積み上げて立証を試みました。そのうちの3つが『たばこの吸い殻』『不審な軽自動車』『防犯カメラ映像』です。
まず、現場付近で見つかった、たばこの吸い殻から田中被告と一致するDNA型が検出されたこと。2つめは、犯行の準備に使ったとされる軽自動車は、田中被告が幼なじみに借りた車だと主張。3つめは、事件前日、被害者の自宅付近の防犯カメラに映っていた人物の「体格や歩き方が田中被告に似ている」と主張していました。
しかし、いずれの主張も認められませんでした。
吸い殻については「被告が喫煙したもの」としたうえで、別の実行犯が持ち込んだ可能性もあり、田中被告が犯行時に落とした吸い殻とは断定できない。軽自動車についても、当時、被告が借りていた車と同じ可能性は高いが、他に同様の車が全国に1190台あるなど、不審車両と、被告が借りていた車が同一とは断言できない。さらに、防犯カメラに映る人物についても、映像上、人物が正確に判明せず、鑑定の精度も低いなどとして、被告の可能性は限定的としました。
以上のことなどから、京都地裁は「いずれも犯罪の証明がない」と結論付け、無罪としました。
この事件は今後どうなるのでしょうか。元大阪地検検事の亀井正貴弁護士に聞きました。
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
「『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の大原則に則った判決。拳銃で急所を狙い撃ちした“プロ”による犯行であり、証拠も乏しく、検察の立証は難しかった。今後は、検察側からすると、仮に控訴して無罪判決を覆すには新たな証拠が必要だが、物的証拠は時間が経っていて難しい。事件関係者の新証言などを出さない限り、有罪だと立証するハードルは高いのでは」
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp