【外国語を一度も習っていないのに、外国の訛りで話し始める】外国語アクセント症候群——変わったのは発音ではなく、聞いた側が付けた国の名前だけだった
真夜中の資料室
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【外国語を一度も習っていないのに、外国の訛りで話し始める】外国語アクセント症候群——変わったのは発音ではなく、聞いた側が付けた国の名前だけだった
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1941年、ドイツ占領下のオスロで、空襲の破片が頭に当たった30歳の女性がいました。回復して話せるようになった彼女に、周りの人はこう言いました。「ドイツ人みたいな喋り方をする」。
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彼女は国外に住んだことがなく、ドイツ語を習ったことも話したこともありません。それでも占領下のノルウェーで、店に品物を売ってもらえなくなったと記録されています。
この症状は「外国語アクセント症候群」と名付けられました。ただし、その名前が正確だったことは一度もありません。最初の報告とされる1907年のフランスの例は、外国ですらなく同じ国の別の地方の訛りでした。
実際に変わっているのは、声の高さ・長さ・強さ——プロソディと呼ばれる節回しの部分です。母音がわずかに伸びる、子音の前にほんの少し間が入る、強弱の置き場所がひとつ横にずれる。いずれもミリ秒単位のずれで、特定の外国語の規則に沿ったものではありません。
そこが芯です。母語の規則から少し外れた音を聞いた人が、頭の中で近いものを探して国名を当てはめている。だから答えは聞く人によって違います。2006年に報じられた英国の例では、同じ一人の声がジャマイカ訛り、フランス系カナダ訛り、スロバキア訛りと、ばらばらに呼ばれました。
【この動画で扱ったこと】
・1941年オスロの症例と、占領下で受けた扱い
・1907年フランスの最初期報告が「外国」ですらなかったこと
・1907年から2016年までで脳損傷によるもの112例という希少性
・原因の内訳(脳卒中が約5割、頭部外傷が1割強、腫瘍が数パーセント)
・損傷部位が左右・脳幹・小脳とばらつき、点ではなく回路で考えられていること
・変化の実体がプロソディであり、ミリ秒単位のずれであること
・国名を割り当てているのは話者ではなく聞き手であること
・2006年英国の報道例で、挙がる国名が揃わなかったこと
・心理的要因による型が、損傷による型と区別して報告されていること
・回復例と長期化例の差、言語聴覚療法による訓練
・患者の多くが訴える「自分の声ではない」という喪失
※特定の患者を同定できる情報は扱っていません。心理的要因による型についても「演技」とは扱っていません。
主な参照:
・Monrad-Krohn (1947) によるノルウェーの症例報告
・Pierre Marie (1907) の報告に関する後年の検証
・外国語アクセント症候群の症例レビュー(1907-2016)
・Wikipedia "Foreign accent syndrome" および参照文献
音声: VOICEVOX(四国めたん / ずんだもん)
立ち絵: 坂本アヒル様
BGM: 甘茶の音楽工房
効果音: 効果音ラボ
背景動画: Pexels
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