J.-B. Singelée: 1er Quatuor, op.53 -Éditions Adolphe Sax, 1858/サンジュレー:四重奏曲 第1番(アドルフ・サックス、1858年出版)
Heita Yui / Saxophonist
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J.-B. Singelée: 1er Quatuor, op.53 -Éditions Adolphe Sax, 1858/サンジュレー:四重奏曲 第1番(アドルフ・サックス、1858年出版)
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J.-B. Singelée: 1er Quatuor, op.53 - Éditions Adolphe Sax, 1858 / Double quatuor
J.-B. サンジュレー:四重奏曲第1番(アドルフ・サックス、1858年出版/ダブルカルテット)
00:10 1er mouvement/第1楽章:Allegro
06:37 2e mouvement/第2楽章:Adagio
12:31 3e mouvement/第3楽章:Scherzo
14:49 4e mouvement/第4楽章:Final
【収録】
Saxophone, Paris 1860s
サクソフォーン・アンサンブル黎明期の世界
2026年9月14日(月) スペースDo(管楽器専門店ダク 地下)
笹尾 淳一(Jun-ichi Sasao / Soprano Saxophone)、坂口 大介(Daisuke Sakaguchi / Soprano Saxophone)、菊地 麻利絵(Marie Kikuchi / Alto Saxophone)、福安 航大(Kota Fukuyasu / Alto Saxophone)、齋藤 瞳(Hitomi Saito / Tenor Saxophone)、近田 めぐみ(Megumi Chikada / Tenor Saxophone)、由井 平太(Heita Yui / Baritone Saxophone)、月岡 穂南(Baritone Saxophone)
アドルフ・サックスが1858年に出版したサンジュレー作曲の《四重奏曲 第1番 作品53》。現代のものとは異なる当時の楽譜を使用し、倍管の8人による演奏など、現代では忘れ去られた演奏慣習を、同時代資料から想定される演奏形態で再現しています。
<以下、コンサートプログラムからの転載>
ジャン=バティスト・サンジュレー
《協奏的大四重奏曲 作品79》、《四重奏曲 第1番 作品53》
現代では、四重奏と名のつく作品は、4人で演奏するのが常識と言って差し支えないでしょう。しかしそんな常識を覆す楽譜と資料が、サンジュレー作曲の《協奏的大四重奏曲 作品79》と《四重奏曲 第1番 作品53》に存在しています。
アドルフ・サックスが出版した楽譜にはわずかな箇所ではありますが、1パートに二声部、divisiの表記がある箇所があります。そして、『パリ音楽評論誌』1861年12月1日号には、パリ市庁舎でのコンサートについて、次の記述があります。
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さらに、アドルフ・サックス氏のクラスに所属する音楽院の軍人学生たちが、サンジュレー氏作曲のサクソフォーンのための協奏的四重奏を演奏しました。サクソフォンの甘美な音色は、この楽器がまだ新しく、聴衆の大半にとって目新しいものであったため、驚きと感動を同時に呼び起こしました。演奏は素晴らしく、ソプラノのデネス氏、ボナンジュ氏、アルトのラパセ氏、ドゥカロンヌ氏、テノールのモレ氏、セルタン氏、バスのアイケルマンス氏、ゲラン氏といった若い芸術家たちが、それぞれのパートを見事にこなしているのを聴いていると、彼らがわずか18か月しか授業を受けていないとは、まったく想像もできませんでした。
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この記事中では「協奏的四重奏(quatuor concertant)」と記載されており、記事の翌年に出版された《協奏的大四重奏曲 作品79》であると推測されます。四重奏作品にも関わらず、各パートに2名、計8名の奏者の名前が明記されているのです。
ちなみに、当時のフランス軍楽隊の編成規定を見ると、1854年以降の制度上、サクソフォーンはソプラノからバリトンまで各2名ずつ計8名という配置が取られていました。さらには当時の新聞記事において、サックスのクラスの軍人学生が8人や12人といった編成で、ベートーヴェンなどの弦楽四重奏曲の編曲版を演奏していたという記録も残されています。これらから、軍楽隊などでの実戦的な演奏の修練という意味も含め、少なくともサンジュレーの四重奏作品においては、4人を上回るダブルカルテット(8人編成)などでの演奏が当時実際に行われていたと考えられます。
(中略)
そして、1858年にやはりアドルフ・サックスが出版した《四重奏曲 第1番 作品53》は、現存するサクソフォーン四重奏曲の中では、最も古いものとされています。現代において演奏される楽譜は、ほとんどが20世紀の巨匠であり、19世紀のサクソフォーン作品を再発見したジャン=マリー・ロンデックスによる校訂(編曲)によるもの。ロンデックスはメトロノーム記号の追加やdivisiの削除、アーティキュレーションの補足や、そして一部のフレーズをユニゾンから掛け合いへと改変するなど、時に大胆な改変を加えました。そこには現代のサクソフォーンに適した機動性、そしてサンジュレーの音楽を現代的に翻訳した加筆が加えられていると言えるでしょう。逆にその加筆を除外して、アドルフ・サックスのオリジナルの楽譜を見てみると、そこにはヴァイオリン奏者でもあったサンジュレーの、ボウイングをも想起させる音価の扱いも見えてきます。
本日の《協奏的大四重奏曲 作品79》と《四重奏曲 第1番 作品53》は、そうした当時の演奏慣習の一つであったと考えられる、ダブルカルテットでお聴きいただく試みです。古典派から初期ロマン派へと連なる器楽的な書法と、当時流行していたイタリア・オペラ的な色彩感が、各パートが2名に重なることによって、さらにその響きが立体的に浮かび上がる、その19世紀のサクソフォーンアンサンブルの思想も体験いただけると幸いです。
J.-B. Mohr: Quatuor -Éditions Adolphe Sax, 1864/J.-B. モール:四重奏曲(アドルフ・サックス、1864年出版)の動画はこちら
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この公演・演奏に至る、19世紀のサクソフォーン音楽の研究内容はこちら
https://note.com/heitayui_sax/m/m53f0...