葵物語三部-泥の巫女-
ジゴクアンプリファイア
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葵物語三部-泥の巫女-
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ジゴクアンプリファイア
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◇まえがき◇
旅を続ける巫女、葵。
病に伏せる幼子を前に、彼女は夜を徹して鈴を鳴らした。
一つも間違えぬように。
たくさん祈れば、きっと届くと信じて。
――――――――――
村から村へ 歩いてゆく
頼まれるまま 鈴を鳴らす
病める者には 祈りを捧げ
また次の村へ 歩いてゆく
三日も熱の 下がらぬ子
医者は遠く 薬もない
小さな息を 傍らに聞き
母から習った 祈りを捧ぐ
夜が更けても 鈴を鳴らした
一つも間違えぬように
たくさん祈れば きっと届く
そう信じて 朝を待った
朝が来て鈴が止まり
小さな息も止まっていた
ごめんなさい ごめんなさい
もっとちゃんと 祈れていたら
白い衣に 泥が飛ぶ
頬にもひとつ 泥が飛ぶ
それでも深く 頭を下げた
私の祈りが足りなかった
川辺に降りて 衣を洗う
何度擦っても 染みは残る
「お母さまに見られたら
怒られるなぁ」
水面に映った 泥の巫女
両の頬を ひとつ叩いた
次はもっと 丁寧に
次はもっと 長く祈ろう
きっと神々は 見てくださる
きっと祈りは 届くはず
落ちない泥を 袖に残して
葵は再び 歩き出す
もっと多くの人を
救えるように
辿り着いた 平安京
病の声が 道を満たす
軒先に並ぶ 見覚えのある札
懐の一枚 強く握った
この術を 覚えられたなら
もっと多くを 救えるはず
札を書いた 陰陽師を求め
都の人波 駆けてゆく
帝に仕える 高名な者
旅の巫女には 会えぬ者
それでも尋ね それでも探し
ようやく見つけた ひとつの手立て
銭を集めれば 会えるという
ならば集めれば それでいい
先生に会い 術を習い
もっと多くの人を救う
泥の染みが残る 白い衣のまま
葵は都へ歩いてゆく
やることが
分かったから
ただ
それだけだった
――――――――――
◇あとがき◇
祈っても救えなかった。
祈りそのものを疑うのではなく、
「自分の祈りが足りなかった」
そう考えました。
人を救いたい。
その願いだけは、まだ何一つ濁っていません。
けれど白い衣には、
もう泥の染みが残っています。
◇小説版ジゴクアンプリファイア◇
https://kakuyomu.jp/users/jigoku_amp/...
歌では表現しきれない部分が詳細に読めます
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