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ホッキョクグマに転生したら最悪だった件

パーフェクトプラン

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ホッキョクグマに転生したら最悪だった件

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「おめでとうございます。あなたはホッキョクグマに転生しました」。いま生きているクマでいちばん大きく、オスなら三百五十キロから六百五十キロ、特大の個体で八百キロ。軽自動車一台ぶんです。転生ガチャとしては当たりに見えます。それでもあなたは、一生おなかを空かせ続けます。まず、あなたの体には通帳が一つしかありません。皮下の脂肪です。母は半年以上、飲まず食わずで雪の中の産室にこもり、体重の四割前後を失いながらあなたを産みます。あなたが飲んでいるのは母の体重そのもので、巣穴を出るときの十キロから十五キロは、母の残高をあなたの体へ移し替えた数字にすぎません。次に、その通帳へ入金できる日が限られています。入金できるのは氷のある季節だけ。氷はアザラシに手が届く唯一の床だからです。そして、その氷の上での成績はこうです。座って待ち、うまくいくのは百回に二回もありません。残りの九十八回は、氷の上に座っていただけになります。なぜ追いかけないのか。理由はあなたの毛にあります。ここで、よく知られた二つのイメージが同時にはがれます。あなたは白くありません。毛には色がなく、一本ずつ見れば半透明で、白く見えるのは光が散っているからです。皮膚は黒。鼻先も爪も黒い。そして「透明な毛が光を皮膚まで運んで体を温める」という説は、実際に光を通して測った結果、否定されています。毛は、ただの毛です。ただしその毛と脂肪は熱を逃がしません。だから動くとすぐ熱くなり、全力なら時速四十キロを出せる体でありながら、野生で時速五キロを超えることはめったにありません。地上最大の肉食動物の実効速度は、人のはやあるきです。あなたは追いかけないのではなく、追いかけられません。氷が解ければ陸に上がります。ベリーも草も鳥も骨もあります。見つければ食べられます。それでもカナダで二十頭を追った調査では、二十頭のうち十九頭が三週間で平均およそ二十一キロ痩せていました。食べていて、収支は赤字です。首輪のカメラで測った研究では、実際の消費はそれまで考えられていた量より六割ほど多く、調べた個体の半分以上が赤字でした。氷を追うには泳ぐしかありません。ボーフォート海で記録された連続遊泳は六百八十七キロ、二百三十二時間。そのメスは体重の二割以上を失い、泳ぎ始めにそばにいた一歳の子は、泳ぎ終わったときにいませんでした。二年半で母から追い払われたあと、相談できる相手はこの先の一生いません。妊娠は審査制で、見られるのは通帳の残高です。近年になって、足に氷が貼りついて皮が裂けた個体も初めて報告されました。あなたの体重が、そのままあなたの足を切る道具になります。そして十歳のころ、あなたは氷の来かたが前と違うことに気づきます。中心の問いは一つ。地上でいちばん大きな肉食動物が、なぜ一生ずっと足りないのか。約17分01秒の転生記録。 【補足 — 諸説・未解明・数値の幅について】 本編で扱う次の事項は、資料により幅があるもの、標本数が少ないもの、またはモデル推定を含みます。 ・狩りの成功率「百回に二回もありません」は専門機関の記載(2%未満)を主値として採っています。手法別に十回に一回前後という別の値もあり、**「一回の狩り」の数え方が出典間で統一されていません**。 ・代謝の研究(一日一万二千キロカロリー以上・想定の一・六倍・半数以上が赤字)は**首輪カメラと二重標識水法による少数個体の研究**です。本編でも「数字はこの先も動きます」と明示しています。 ・陸での減量(三週間で平均およそ二十一キロ、一日およそ一キロ)は**二十頭・カナダ(マニトバ州)の追跡**によるものです。 ・六百八十七キロ・二百三十二時間の連続遊泳と、その途中で一歳の子が失われた件は**一頭を追いかけた記録**です。本編でも「同じことが毎回起きるわけではありません」と述べています。 ・足に氷が貼りつく傷(六十一頭中三十一頭/百二十四頭中十五頭)は**2012〜2022年・二つの個体群での初報告**です。 ・氷のない期間が約百八十日を超えたときの死亡率(成体オスの二割ほど・若い個体で六割ほど)は**計算上の見積もりであり、数えた数字ではありません**。本編でもその旨を明示しています。 ・氷のない期間(約百二十日→約百五十日)と個体数(2021年におよそ六百十八頭、五年で二割以上減、1980年代の約半数)は、いずれも**ウェスタン・ハドソン湾個体群**の値です。ほかの十九個体群すべてが同じ動きをしているという意味ではありません。 ・母の断食期間(半年以上、長い場合八か月)と体重の減少(約四割)は**媒体によって表現に揺れ**があります。 ・肝臓のビタミンAについて、本編は**含有量の数値を一切出さず**、「人が食べると中毒を起こす」という事実だけを扱っています。 ・本編は氷の減少を**あなたの営業日が減るという当事者の被害**としてのみ扱い、原因の帰属や対策には立ち入りません。 【主要な出典】 ・San Diego Zoo Wildlife Alliance Library, Polar Bear (*Ursus maritimus*) Fact Sheet(体重・毛と皮膚・脂肪・寿命・待ち伏せ猟と成功率2%未満・四〜五日に一頭・遊泳速度・繁殖・個体数)https://ielc.libguides.com/sdzg/facts... ・Koon, D. W.「Is polar bear hair fiber optic?」*Applied Optics* 37(15):3198 (1998) ほか(透明な毛の光ファイバー説の実測による否定)/ Alaska Science Forum「Debunking the myth of polar bear hair」https://www.gi.alaska.edu/alaska-scie... ・Pagano, A. M. et al.「High-energy, high-fat lifestyle challenges an Arctic apex predator, the polar bear」*Science* 359(6375):568 (2018) https://www.science.org/doi/10.1126/s... / Pagano, A. M. et al.「Polar bear energetic and behavioral strategies on land with implications for surviving the ice-free period」*Nature Communications* (2024) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles... ・Durner, G. M. et al.「Consequences of long-distance swimming and travel over deep-water pack ice for a female polar bear during a year of extreme sea ice retreat」*Polar Biology* 34:975 (2011) https://link.springer.com/article/10.... ・Laidre, K. L. & Atkinson, S.「Ice adhesion and lacerations of the feet of polar bears」*Ecology* (2024) https://esajournals.onlinelibrary.wil... / ワシントン大学プレスリリース ・Atkinson, S. et al. 2021 Western Hudson Bay aerial survey(2021年におよそ618頭)/ Polar Bears International「Steep Decline in Western Hudson Bay Polar Bears」https://polarbearsinternational.org/ / Communications Earth & Environment (2024)「Ice-free period too long for Southern and Western Hudson Bay polar bear populations...」https://www.nature.com/commsenv/ 【使用音源(任意クレジット)】 ナレーション: VOICEVOX:青山龍星 効果音: 効果音ラボ(https://soundeffect-lab.info/) BGM: DOVA-SYNDROME(https://dova-s.jp/)  「和太鼓アップビート」作曲: 伊藤ケイスケ  「忍び寄る邂逅」作曲: 蒲鉾さちこ #ホッキョクグマ #シロクマ #動物に転生したら最悪だった件 #いきもの雑学 #北極 【制作工程・AI利用の開示】 この動画は当チャンネルのオリジナル制作です。台本は資料調査に基づくオリジナル執筆、映像は自作プログラムによる独自描画、ナレーションは合成音声(VOICEVOX)です。