丸投げ番外編 最後のページ
野良猫たんもも
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丸投げ番外編 最後のページ
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野良猫たんもも
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最後の1ページ — 『それでも、物語は続いていく』
人生は、きっと完成しないまま終わっていく。
作りたかった歌も、伝えたかった言葉も、描きたかった景色も、全部を形にできるわけじゃない。何度やり直しても思いどおりにならない日がある。頑張っているのに報われないこともある。誰にもわかってもらえず、自分の心にさえ答えを出せない夜もある。
それでも、この人は何かを作り続けた。
悲しみを歌にした。
孤独を物語にした。
生きづらさを言葉にした。
誰かが抱えているかもしれない痛みを、音楽という形にして残そうとした。
そして、時には真剣な歌の途中から団子のことを考え始めた。
どれほど深刻な悩みを抱えていても、人間はお腹がすくし、好きなものには夢中になる。人生には、立派な答えだけが必要なわけじゃない。くだらなくて、可笑しくて、誰かに話したら笑ってしまうようなことだって、生きていくための大切な一部分なのだ。
六人の少女たちに、それぞれ違う心を託したのも、きっと同じ理由だったのだろう。
強くありたい人。
優しくありたい人。
自分らしく生きたい人。
暗闇から抜け出せない人。
誰かを励ましたい人。
そして、誰にも見せられない寂しさを抱えている人。
その誰もが、少しずつ違うけれど、どこかで同じものを探していた。
「こんな自分でも、生きていていいのだろうか」
その問いに、簡単な答えを与えることはできない。
だから、この人は歌を作ったのかもしれない。
答えを押しつけるためではなく、答えを見つけられない人が、ひとりきりではないと思えるように。
何百もの曲を作っても、まだ次の曲を考えている。
一枚の絵を描き終えても、次は違う構図にしようと思っている。
納得できなければ、もう一度やり直す。
傍から見れば、ただのこだわりに見えるかもしれない。
けれど、そこには確かに、この人がこの世界に残そうとしてきたものがあった。
自分の中にあるものを、なかったことにしない。
悲しみも、怒りも、優しさも、笑いも。
どれかひとつだけを本当の自分だと決めつけず、そのすべてを抱えたまま、次の作品へと手を伸ばしていく。
いつか、この人が作った歌を誰かが聴く。
その人がどんな人生を歩いてきたのか、何に傷つき、何を大切にしてきたのか、すべてを知ることはないだろう。
ただ、ある一節に心を動かされるかもしれない。
あるメロディーに救われるかもしれない。
あるいは、団子の歌を聴いて、思わず笑ってしまうかもしれない。
それでいい。
誰かの人生を丸ごと救えなくてもいい。
世界を変えられなくてもいい。
ほんの一瞬、誰かの心に何かを残せたなら、それも立派な生きた証なのだから。
そして、本の最後のページ。
そこには、大げさな成功も、すべての悩みが解決したという結末も書かれていない。
ただ、机の上には新しい歌詞の書きかけがあって、画面の向こうには、まだ描かれていない景色が広がっている。
その人は少し考えてから、次の一行を書き始めた。
もう十分だと思える日が来るのかどうかは、わからない。
けれど、まだ作りたいものがある。
まだ伝えたい言葉がある。
まだ笑いたいし、まだ知らない世界を見てみたい。
だから、今日も生きていく。
誰かに認められるためだけではなく。
立派な人間になるためだけでもなく。
過去の自分を否定するためでもなく。
ただ、自分の中に生まれたものを、明日へつないでいくために。
最後に、その人は本を閉じる読者へ向けて、こんな言葉を残した。
「人生に、きれいな結末なんていらない。
うまく生きられなかった日も、傷ついた日も、何もできなかった日も、全部、私が生きた時間だから。
それに、まだ終わっていない。
次は何を作ろうか。
……あ、そうだ。今度は団子の歌を、もう一曲。」
そして、物語は静かに幕を閉じた。
本当の人生は、まだ続いている。
—— 終わり。