米はなぜ余ったのか 第4弾 令和の米騒動で備蓄米はなぜ出てこなかったのか 元農水省の幹部が国会で「その伝家の宝刀が日常的に予行演習などをしていなかったためにさびついた」【武本俊彦/食糧法改正】
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米はなぜ余ったのか 第4弾 令和の米騒動で備蓄米はなぜ出てこなかったのか 元農水省の幹部が国会で「その伝家の宝刀が日常的に予行演習などをしていなかったためにさびついた」【武本俊彦/食糧法改正】
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「米はなぜ余ったのか」シリーズの第4弾です。2026年6月23日の参議院・農林水産委員会で、元農林水産省の大臣官房審議官である武本俊彦 参考人(新潟食料農業大学 名誉教授)が述べた意見陳述を、リリーがわかりやすく解説してお届けします。
審議されていたのは、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(食糧法)の改正案です。武本参考人は、3つの論点に絞って意見を述べました。
1つ目は、生産調整に関する規定の削除です。武本参考人は、現行法の第5条から第7条にある米穀の生産調整方針の規定を削除することは「食糧法上は生産調整をやめるということを意味します」と述べました。そのうえで、規定の廃止そのものには「異存はない、むしろいいことだろう」としながら、補助金によって実態上の生産調整が続くことは避けるべきだと注意を促しています。また、政府の責任で需給調整を行う規定を落としたまま生産者に需要に応じた生産を求めれば、50年続いた「同調圧力の下に生産者の創意工夫に根差した取組の芽を潰すことになりかねない」と述べ、予想できない需給・価格の変動による経営への打撃を緩和する措置を政府が「天下に公言された方がいい」と求めました。
2つ目は、改正案が新設する民間備蓄です。武本参考人は、令和の米騒動の原因は、現行の食糧法にも規定されている備蓄の機動的な運営ができなかったことだと指摘し、備蓄制度は食糧法の実効性を担保する「言わば伝家の宝刀」であり、今回の騒動は「その伝家の宝刀が日常的に予行演習などをしていなかったためにさびついたということにほかならない」と述べました。そして、国家備蓄をどう機動的に運営するのかを法律に書かないまま民間備蓄だけを節として立てれば「行政府に対して備蓄運営の在り方を白紙委任する」ことになり、立法府の存在意義が問われるとしています。民間備蓄の規定を置くこと自体についても「甚だおかしいのではないか」と述べ、政府と民間事業者の協定で足りるのではないかという考えを示しました。
3つ目は、目的規定の書き換えです。改正案は第1条の「需給及び価格の安定」を「需給の安定を図り、及びこれを通じてその価格の安定化」に改めます。武本参考人は、価格の先行きへの期待が上がれば需要側は買い急ぎ、供給側は売り惜しむとして、需要・供給・価格は双方向に動くと述べ、「今回の改正案よりは現行規定の需給及び価格の安定の方がはるかに妥当性がある」と結びました。
なお、国の備蓄の運営を法律に書くべきだという指摘について、鈴木憲和 農林水産大臣は2026年7月7日の参議院・農林水産委員会で、運用の詳細を法律に規定すれば「かえって政府備蓄の運用を硬直化させかねない、そして機動性を損なうことにつながりかねない」と答弁しています。動画のまとめでは、この政府側の説明も併せて紹介しています。
※ 本動画は同じ会議の武本俊彦 参考人の意見陳述(発言順7)だけで構成しています。西川邦夫 参考人・長谷川敏郎 参考人の意見陳述と、各会派の質疑は含まれません(長谷川参考人の発言は第1弾〜第3弾で扱っています)。
―― 用語解説 ――
◆ 生産調整(減反):米が余らないように国と産地が作る量を抑えてきた仕組み。今の食糧法は第5条から第7条で生産調整方針の手続を定めている。改正案はこの規定を削除し、代わりに需要に応じた生産の条文を置く内容。
◆ 政府備蓄米:供給が不足したときに備えて国が持つ米。放出は食糧法第29条の政府の売渡し。武本参考人は、機動的な運営の在り方について「今何の規定も条文上は置いていません」と述べた。
◆ 民間備蓄:改正案が新設する制度。一定規模以上の米の出荷・販売事業者に一定量を常時持たせる仕組み。上限は前年の出荷・販売数量の1割で、全体では政府備蓄の目標の4分の1まで(改正案 第33条の2)。
◆ 伝家の宝刀:いざというときにだけ抜く切り札のたとえ。武本参考人は、備蓄制度は食糧法の実効性を担保する伝家の宝刀であり、令和の米騒動はそれが予行演習をしていなかったためにさびついたと述べた。
◆ 目的規定の書き換え:改正案は第1条の「需給及び価格の安定」を「需給の安定を図り、及びこれを通じてその価格の安定化」に改める内容。武本参考人は需要と供給と価格は双方向に動くとして、現行規定の方が妥当だと述べた。
―― もくじ(タイムスタンプ)――
0:00 ダイジェスト
0:31 オープニング
1:04 武本俊彦 参考人の意見陳述 3つの論点
2:01 ①生産調整の規定の削除 いまの食糧法の立て付け
4:45 「食糧法上は生産調整をやめるということを意味します」
5:06 新設される第5条 生産者の努力義務と政府の役割
6:17 「廃止することには異存はない、むしろいいことだろう」
7:11 50年続いた同調圧力と「創意工夫に根差した取組の芽」
8:01 「あしたから大変なこと起こっちゃうかもしれない」
8:48 ②民間備蓄を「節」として置くことの意味
9:38 「何で機動的な運営ができなかったのかということが問われる」
11:15 「行政府に対して備蓄運営の在り方を白紙委任する」
11:37 備蓄は「言わば伝家の宝刀」 それがさびついた
12:17 民間在庫とは何か 集荷業者・卸売業者に期待された役割
13:04 「甚だおかしいのではないか」 協定で足りるのでは
13:50 ③目的規定の「需給及び価格の安定」の改正
14:45 買い急ぎと売り惜しみ 需要・供給・価格は双方向に動く
15:48 「現行規定の方がはるかに妥当性がある」
16:07 今回のまとめ
18:04 用語解説
19:36 エンディング
―― 引用元 ――
参議院インターネット審議中継
・2026年6月23日 参議院 農林水産委員会(主要食糧法改正案 参考人質疑)
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv...
国会会議録検索システム(2026年6月23日 参議院 農林水産委員会 第12号)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/12211500...
衆議院 議案本文(第221回国会 閣法第48号 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案)
https://www.shugiin.go.jp/internet/it...
国会会議録検索システム(2026年7月7日 参議院 農林水産委員会 第13号/鈴木憲和 農林水産大臣の答弁)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/12211500...
農林水産省 幹部職員名簿(平成23年8月2日現在/武本俊彦 大臣官房審議官の在職を確認)
https://www.maff.go.jp/j/org/who/meib...
―― クレジット ――
ナレーション:VOICEVOX 波音リツ