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脳を切る治療は、なぜノーベル賞を取れたのか【ロボトミー】

教科書のウラ側【ゆっくり科学史】

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脳を切る治療は、なぜノーベル賞を取れたのか【ロボトミー】

129 просмотров · 2 недели назад
教科書のウラ側【ゆっくり科学史】
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ロボトミー——頭蓋骨に穴を開けて脳の中の線維を切る、20世紀前半の精神外科手術です。この手術には1949年、ノーベル生理学・医学賞が出ています。授賞理由は「ある種の精神病における白質切截術の治療的価値の発見に対して」。では、その「治療的価値」は、誰が、何で確かめたのか。出発点は1936年に報告された、最初の患者20人の集計でした。治癒7人・改善7人・不変6人。ただしこの評価は、手術から数日〜数週間のうちに、手術した側の陣営によって、比較対象なしで下されたものです。そしてノーベル賞が出たとき、アメリカの手術件数はすでに年500件から年5,000件へ急増した後でした。賞が手術を広めたのではありません。順番は逆でした。医学はその後、自分の手でこの治療を書き換えます。1952年に初の抗精神病薬が現れ、手術は治療の主役から退きました。しかし、賞は——いまも取り消されていません。取り消す規定が、そもそも存在しないからです。 ■ この動画で解ける3つの謎 ① 最初の「効いた」という判定は、どうやって作られたのか(誰が・いつ・何と比べて、の3点が欠けていました) ② ノーベル賞は何を見て出たのか(授賞式の講演には「静かな病棟に置ける」という一節があります) ③ 医学が治療を書き換えた後、賞はどうなったのか(取り消されていません。規定がないのです) ■ 目次 00:00 「ノーベル賞受賞」と書いてあったら、効くと思うじゃない 01:12 第1章 ノーベル賞は、何に出たのか 02:52 第2章 「切る」が選択肢になった時代 04:59 第3章 最初の20人は、どう評価されたのか 07:59 第4章 弱い評価が、なぜ賞まで届いたのか 12:28 第5章 ロボトミーへの授賞は、仕方なかったのか 14:34 判決——手術は退き、賞は残る ■ この動画の作り方 この動画は、紹介する論文・一次資料を実際に読んで作っています。 引用は出典つき、確かめられなかったことは「分からなかった」と動画内で言います。 疑問に思ったことがあれば、コメントで聞いてください。出典ごとお答えします。 自然科学と哲学が好きな人間が、一人で作っています。本業のかたわら、論文や文献を読み漁るのが趣味で、 教科書の一行のウラ側を一次資料までめくりに行く番組です。 高評価とチャンネル登録は、無理にしなくて大丈夫です。本当に面白かったときだけ押してください。 面白くなかったら、どこがダメだったかコメントで教えてもらえるほうが助かります。次はそこを直します。 ■ この動画の主題について この動画は医学史の解説であり、現在の医療についての助言ではありません。心の不調については、現代の医療機関・相談窓口にご相談ください。現代の精神医療は、この動画で扱った時代とはまったく別のものです。 この動画は「昔の医者は狂っていた」という話をしていません。医学史の研究は、ロボトミーを怪しい医者の暴走ではなく、著名な医師たちが当時の理論と切実な必要(有効な薬が存在しない時代の、出口のない長期収容)の中で進めたものとして描いています。悪人を一人も置かなくても、評価の物差しが欠けたまま権威が追認すれば、ここまで来てしまう——それがこの回の主題です。また、手術を受けた方とそのご家族を興味本位で扱わないよう、演出を抑えています。 ※ 手術件数はいずれも推計です。米国の累計はおよそ4万件以上(史料により4万〜5万件超と幅があります)。「年500件→年5,000件」も概数です。 ※ 授賞対象になったのはモニスの元の術式(前頭葉白質切截術)であり、米国で件数を押し上げた改変術式・経眼窩式(1946年〜)そのものではありません。本編でこの区別を繰り返しているのはこのためです。 ※ 「1944年の審査は追跡期間の短さを理由に否定的だった」という経緯は、科学史研究("The white cut: Egas Moniz, lobotomy, and the Nobel prize")の記述に基づきます。委員会の審査文書そのものには当チャンネルは未到達です。本編で「〜と科学史の研究は伝えている」という言い方をしているのはこのためです。 ※ 授賞式の講演の引用(「最も重要な発見の一つ」「静かな病棟に置ける」「人格の変化が生じることは疑いない」)は、ノーベル賞公式サイト掲載の講演原文(英語)から当チャンネルが訳したものです。なお「静かな病棟に置ける」の一節は、当時の文脈では誠実な臨床報告でもあります。本編はこれを嘲笑するためではなく、「何が成果として数えられていたか」の一次証拠として引いています。 ※ 20人の報告の評価者について、本編で「モニスの陣営の中」と言っているのは、評価がモニス本人か協力者かを一次資料で確定できなかったためです(外部の独立した評価が無かったことは複数の学術研究が一致しています)。 ※ 小ネタ1: 「モニスはロボトミーを受けた患者に復讐で撃たれた」という話を見かけますが、誤りです。モニスは1939年に自分の患者の一人に撃たれ、以後車椅子で過ごしましたが、撃った患者はロボトミーを受けていません。 ※ 小ネタ2: モニスは脳の血管をX線で写す「脳血管造影」(1927)の開発者でもあり、その業績で少なくとも3回(1928・1932・1937)ノーベル賞の候補になっていました。受賞に至ったのは、血管造影ではなく切截術のほうでした。 ※ 小ネタ3: 1949年の賞のもう半分は、間脳の研究をしたヴァルター・ルドルフ・ヘスに与えられています。同じ年・同じ壇上の、もう一つの賞でした。 ※ 小ネタ4: モニスの着想の背景には、前頭葉を除去した類人猿(チンパンジーのベッキーとルーシー)で「実験的な神経症が消えた」という1935年の報告があります。「モニスがその報告の場で、人間への応用を質問した」という有名な逸話は、報告者フルトンの後年の回想が出所なので、本編では使っていません。 ■ 参考文献 The Nobel Prize in Physiology or Medicine 1949. NobelPrize.org(授賞理由の原文・賞の折半)https://www.nobelprize.org/prizes/med... Olivecrona, H. (1949). Award ceremony speech. NobelPrize.org(授賞式講演の原文。「最も重要な発見の一つ」「静かな病棟」「人格の変化」の各引用の出典)https://www.nobelprize.org/prizes/med... Moniz, E. (1936). Tentatives opératoires dans le traitement de certaines psychoses. Paris: Maloine.(最初の20例の報告。治癒7・改善7・不変6の内訳と評価条件は複数の学術レビューによる) Freeman, W. & Watts, J. W. (1942). Psychosurgery. Springfield: Thomas.(約200例・63%改善の自己報告) Jansson, B. Controversial Psychosurgery Resulted in a Nobel Prize. NobelPrize.org.(1930年代の治療状況の文脈) "The white cut: Egas Moniz, lobotomy, and the Nobel prize"(ノーベル委員会の審査経緯。1944年審査の記述の出典) Kucharski, A. (1984). (モニスとリマの役割分担・1935年11月の初手術) 「Egas Moniz e a leucotomia pré-frontal: ao largo da polémica」Análise Psicológica / scielo.pt(ソブラル・シドの患者提供の中止と公開批判) Valenstein, E. S. (1986). Great and Desperate Cures. New York: Basic Books. Pressman, J. D. (1998). Last Resort: Psychosurgery and the Limits of Medicine. Cambridge Univ. Press. NPR (2005). Nobel Panel Urged to Rescind Prize for Lobotomies.(取り消し要求と財団側の回答)https://www.npr.org/2005/08/10/479400... クロルプロマジンの年代: Delay, J. & Deniker, P. (1952) ほか、Science History Institute の解説による 日本精神神経学会「精神外科を否定する決議」(1975)※決議の正式名称・詳細は二次資料による ※ 引用の日本語訳は、断りのない限り当チャンネルによる訳です。 ※ 手術を受けた方とそのご家族に関わる歴史です。コメント欄でも、当事者への配慮をお願いします。 ■ クレジット 音声:AquesTalk(株式会社アクエスト) BGM:「コミカル・ピチカート」「静寂の星空」「寂寞」/ 甘茶の音楽工房(https://amachamusic.chagasi.com/) 効果音:「ロゴアニメーション1」「金属タイトル表示3」/ 効果音ラボ(https://soundeffect-lab.info/) 立ち絵:たぬき式ゆっくり(https://tanukiyukkuri.github.io/tanuk...) この動画は東方Projectの二次創作です。