前立腺がん「経過観察」と言われたら|手術しなくて本当に大丈夫?PSA監視療法で見る数字と、治療に切り替えるタイミング
石井 由美
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前立腺がん「経過観察」と言われたら|手術しなくて本当に大丈夫?PSA監視療法で見る数字と、治療に切り替えるタイミング
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石井 由美
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「前立腺がんです。」「ただ、とてもおとなしいタイプです。」「すぐに治療をせず、経過観察をする、という選択肢もあります。」
「がんやのに、何もせんのですか。」――経過観察と言われて、本当に手術をしなくて大丈夫なのか、迷っていませんか。
国立がん研究センターのがん情報サービス、前立腺がんの診療ガイドライン、日本と外国の研究の論文をもとに、経過観察(監視療法)のことを、生活の目線でまとめました。
【今日のポイント】
■ 経過観察(監視療法)とは
すぐに治療はせず、定期的に、PSAの検査や生検などを受けます。悪くなる兆しが見えたら、治療を始めることを考えます(がん情報サービス)
つまり、何もしないのではありません
ガイドラインが挙げる良い点は2つ:治療を始めるのを先にのばせること、治療による副作用を避けられること
よく似た言葉の「待機療法」は、症状が出てから、症状をやわらげる治療をするもの。監視療法とは、まったく違う考えかたです
向いているのは、がんが前立腺の中にとどまっていて、危険度がとても低い人・低い人、そして中くらいの人の一部です
日本のガイドラインの目安:PSAが10以下、がんが前立腺の中にとどまっている、生検でがんが見つかった組織が2本以下、グリーソンスコアが6以下
2023年の版では、中くらいの危険度の人の一部も、条件を満たせば「弱く推奨する」とされました(長い目で見ると成績が下がる、という注意つき)
■ 本当に大丈夫か――研究の数字
世界18の国で5302人が監視療法を受けた研究:10年たって、前立腺がんで亡くなった人は1人
日本の研究(2024年2月までに1302人、年齢の真ん中は69歳):前立腺がんで亡くなった人は1人
イギリスの研究(50歳から69歳の男性1643人を、くじ引きで経過観察・手術・放射線の3つのグループに):15年たって前立腺がんで亡くなった人は、約3パーセント・約2パーセント・約3パーセントで、はっきりした差はありませんでした
ただし、ほかの場所に転移した人は、経過観察のグループで約9パーセント、手術や放射線のグループで約5パーセント。経過観察のグループのほうが多かったのです
このイギリスの研究の経過観察は、今の監視療法と、まったく同じではありません(参加した人の3人に1人以上は、危険度が中くらいか高い人)
手術のあとの主な合併症は、尿もれ・性の機能のトラブル・足の付け根のヘルニア。尿もれは数カ月続き、半年ほどで生活に困らない程度に戻っていきます
日本で監視療法の人525人を調べた研究では、3年間、心の健康の点数は、日本の一般の人と比べて、いつも良かったのです
■ どんな検査を、どれくらいの間隔で
PSAの検査は、最初の2年は3カ月ごと、その後は6カ月ごと。直腸診は6カ月ごと。生検は1年目・4年目・7年目・10年目、その後は5年ごと(がん情報サービス)
日本のガイドライン:PSAと直腸診は3カ月から6カ月ごと、生検は1年から3年ごと
実際の間隔は一人ひとり違うので、担当の先生の指示に従ってください
PSAは、1回ごとの数字よりも上がりかた。倍になるまでが10年以上で、生検でも問題がなければ、経過観察を続けます
■ 治療に切り替えるとき
定期的な生検の結果が、最初の基準から外れたときに、治療に移るのが一般的です
日本の研究で監視療法を続けていた人は、1年で約8割、5年で約4割、10年で2割弱
切り替えは、失敗ではありません。検査を続けてきたからこそ、見つけられたのです
尿が出にくい・尿に血が混じる・痛みが続く――こうした症状が出てきたときは、次の検査の日を待たずに、すぐに担当の先生に相談してください
■ 今日からできること5つ
① 自分のがんの危険度を知る(グリーソンスコア・PSAの値・がんが見つかった組織の数をメモに)
② 検査の日をカレンダーに書き込む ③ PSAの数字を記録する ④ 生検を先のばしにしない ⑤ 症状をがまんしない
先生に聞きたい3つの質問
「私のがんの危険度は、どのくらいですか」「次の検査は、いつ、何を受ければいいですか」「どんな結果になったら、治療を考えますか」
【目次】
00:00 診察室で
00:33 帰り道
00:48 今日わかること
01:41 高山の松井さん
02:09 PSAと生検
02:35 前立腺がんとは
03:29 監視療法とは
04:04 すぐに治療しない理由
04:30 待機療法との違い
04:55 向いている人
05:24 ガイドラインの目安
06:11 松井さんのがん
06:31 世界と日本の研究
07:09 イギリスの研究
07:45 聞き流してほしくない数字
08:15 同じではない経過観察
08:46 治療の合併症
09:34 気持ちの面
10:16 3つの思い込み
11:02 息子さんの電話
11:42 次の診察
11:59 検査の間隔
12:48 PSAの見かた
13:09 治療への切り替え
13:30 続けている人
14:22 すぐ相談する症状
14:35 松井さんのその後
15:08 1回目の生検
15:40 1つの例
16:01 今日からできる5つ
16:53 先生に聞く3つの質問
17:15 家族の一言
17:58 作業場で
18:28 まとめ
19:21 皆さんへ
【関連動画】
・前立腺がん、すぐに手術しないといけない?手術・放射線・経過観察、選ぶ前に知りたい5つのこと
・ピロリ菌を除菌したから、もう胃カメラはいらない?それは誤解です|除菌で危険は半分に、でもゼロにはならない理由【胃がん検診】
【出典・参考にした資料】
・国立がん研究センター がん情報サービス「前立腺がん 治療」「前立腺がんについて」「がん統計(前立腺)」
・日本泌尿器科学会・日本放射線腫瘍学会・日本医学放射線学会『前立腺癌診療ガイドライン 2023年版』
・Minds ガイドラインライブラリ(前立腺癌診療ガイドライン 2023年版の紹介)
・監視療法と経過観察に関する研究論文(世界18カ国の研究、日本の研究 2021年・2024年、イギリスの研究 2016年・2023年)
※登場する松井さん・静江さんのお話は、わかりやすくお伝えするための仮のお話です(お名前は仮名です)。
次の動画では、胃の検診で、バリウムと胃カメラのどちらを選べばいいのか、をお話しします。
このチャンネルでお伝えする情報は医療的なアドバイスではありません。
本動画は一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断や治療に代わるものではありません。
気になる症状がある方、治療中の方は、自己判断で治療を中断せず、必ず担当医・医療機関にご相談ください。
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