うつ病に見えないうつ病3つ【微笑みうつ病など、精神科医監修】
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
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うつ病に見えないうつ病3つ【微笑みうつ病など、精神科医監修】
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「うつ病に見えないうつ病3つ」を精神科医が徹底解説。
#精神科 #うつ病 #うつ病に見えない
0:05 (1)はじめに
0:24 (2)うつ病は落ち込みとは限らない
2:09 (3)うつ病に見えないうつ病3つ
2:18 ①微笑みうつ病
4:28 ②仮面うつ病
6:50 ③激越うつ病
9:15 (4)まとめ
うつ病は落ち込んでふさぎ込んだイメージがありますが、実際はより幅広い症状があり、外からは元気に見える「微笑みうつ病」、体の症状が強い「仮面うつ病」、不安焦燥感が目立つ「激越うつ病」といった、「一見うつ病に見えない」うつ病もあります。
「うつ病に見えないうつ病3つ」について、精神科医が10分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
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↓詳しい内容はこちらです。
(1)はじめに
うつ病と聞くと、多くの人は「落ち込んで塞ぎ込む人」をイメージするのではないでしょうか。しかし実際には、うつ病の症状は想像以上に幅広く、一見するとうつ病には見えないケースも少なくありません。
このような「見えにくいうつ病」は、本人も周囲も気づきにくいため、対応が遅れてしまう危険性があります。治療の開始が遅れると症状が慢性化し、回復までに長い時間がかかってしまうこともあります。今回は、そんな意外なタイプのうつ病について、代表的な3つのパターンをご紹介します。
(2)うつ病は落ち込みとは限らない
うつ病とは何か
うつ病は「脳の機能不調」によって起こる病気です。精神を安定させる脳内物質であるセロトニンなどの不足が関わっているとされ、脳のエネルギーが不足した状態とも言えます。日本では生涯のうち約16人に1人が経験するとされており、決して珍しい病気ではありません。
実際の症状は多様
うつ病の症状は大きく3つに分けられます。
まず「こころの症状」として、憂鬱な気分や興味の喪失、不安やイライラなどがあります。次に「からだの症状」として、不眠、食欲不振、疲労感、頭痛などが現れます。そして「行動の変化」として、人付き合いを避けたり、身だしなみに構わなくなるなど、外から見える変化が生じます。
一般的にうつ病というと「いつも落ち込んでいる」というイメージが強いですが、実際にはイライラや身体の痛みなど、落ち込み以外の症状が前面に出ることも多いのです。このため、本人も周囲もうつ病だと気づかないケースが生まれてしまいます。
(3)うつ病に見えないうつ病3つ
①微笑みうつ病
外では元気、家では動けない
微笑みうつ病は、人前では明るく元気に振る舞いながら、実は深刻な苦しみを抱えているうつ病です。仕事や社会生活を問題なくこなし、むしろ活動的に見えることさえあります。楽しいことがあると一時的に気分が晴れるため、周囲からは「元気な人」として認識されることが多いのです。
しかし、一人になると状況は一変します。人前で頑張った反動で疲れ果て、家では動けなくなってしまいます。この一人でいるときの落ち込んだ状態こそが、本当の病状を反映しているのです。
背景にある過剰適応
微笑みうつ病の背景には「過剰適応」があります。周りの期待に応えようと無理をしたり、弱みを見せてはいけないという強い責任感から、自分の気持ちを抑えて明るく振る舞ってしまうのです。また、辛い気持ちから目をそらすために、無意識に逆の行動をとる「躁的防衛」という心理メカニズムが働いている場合もあります。
周囲が気づきにくいため、ある日突然動けなくなったときには、すでにかなり重症化していることもあります。家での状態を基準に、早めの受診を検討することが大切です。
②仮面うつ病
体の症状に隠れた心の不調
仮面うつ病は、心の落ち込みが隠れて、体の不調が前面に出るタイプのうつ病です。頭痛、腹痛、めまい、倦怠感など、様々な身体症状を訴えますが、気分の落ち込みという自覚は目立ちません。
患者さんは自分の不調を身体の病気だと信じ、内科を受診します。しかし、どんなに検査をしても異常は見つかりません。消化器内科、神経内科など複数の診療科を巡る「ドクターショッピング」を繰り返し、最終的に心療内科や精神科を勧められることになります。
治療への抵抗感
仮面うつ病は「身体表現性障害」や「自律神経失調症」と呼ばれることもあります。身体症状という「仮面」でうつ病が隠れているという意味で、この名前がつけられました。
治療はうつ病と同じく、抗うつ薬などが有効です。しかし、本人は心の不調を認めたがらないため、治療の開始と継続が難しいという課題があります。「心の不調が身体に現れることがある」という理解と受け入れが、治療成功の鍵となります。
③激越うつ病
落ち着きのない緊張状態
激越うつ病は、強い不安感や焦燥感を伴ううつ病です。落ち込むというよりも、じっとしていられず歩き回ったり、早口でしゃべり続けたりと、落ち着きのない状態が目立ちます。
居ても立ってもいられないような内側から突き上げられるような不安や焦り、些細なことでかっとなる激しいイライラ、考えがまとまらない混乱した言動などが特徴的です。
高まる危険性
激越うつ病の大きな問題は、常に興奮・緊張状態にあるため休養がとれず、心身が消耗してしまうことです。また、攻撃的な言動から対人トラブルを起こしやすく、家族や職場との関係が悪化することもあります。
特に注意が必要なのは、絶望感と焦燥感が重なることで、衝動的な極端な行動に出る危険性が高いことです。このため、興奮を鎮めて安全な環境で療養することが最優先となります。睡眠薬や抗不安薬などの補助薬も活用しながら、不安を和らげて休養できる状態を作ることが重要です。
症状が悪化し続ける場合、対人トラブルが絶えない場合、極端な行動の危険がある場合は、入院による集中的な治療も検討されます。
(4)まとめ
うつ病は必ずしも「落ち込み」として現れるわけではありません。今回ご紹介した「微笑みうつ病」「仮面うつ病」「激越うつ病」のように、一見するとうつ病には見えない形で現れることもあるのです。
これらの非典型的なうつ病は、発見が遅れやすいという共通の問題があります。しかし、それぞれのサインを知っていれば、早期発見・早期治療につなげることができます。
もし自分や身近な人に思い当たる症状があれば、「うつ病かもしれない」という視点を持つことが大切です。特に、外では元気でも家で疲れ果てている、原因不明の体調不良が続いている、強い焦りや不安で落ち着かないなどの状態が続く場合は、専門医への相談を検討してみてください。
うつ病は適切な治療を受ければ回復する病気です。「自分は大丈夫」と無理をせず、早めの対応を心がけることが、自分自身や大切な人を守ることにつながります。様々な形で現れるうつ病のサインを見逃さず、必要なときには適切なサポートを求めることが何より重要なのです。
こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)
#微笑みうつ病 #精神科医
【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。