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100万分の1の確率で誕生した北海道の菓子用小麦 パティシエ「軽やか」と絶賛 北海道

HBCニュース 北海道放送

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100万分の1の確率で誕生した北海道の菓子用小麦 パティシエ「軽やか」と絶賛 北海道

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地球温暖化の影響で収穫期や種まきの時期が劇的に変化している北海道の小麦づくり。十勝の農家が直面する課題を克服するため、10年間で100万を超える候補からお菓子用の新品種「北海道白」が誕生しました。 気候変動に立ち向かう研究者とパティシエの挑戦を追います。 ■気候変動で変わる北海道の小麦づくりと農家の苦悩 コシがあるうどんや、ふっくら焼き上がるパン、しっとりとしたケーキにも使われ、様々なメニューで主役にも引き立て役にもなる小麦。日本の小麦の約8割は輸入品ですが、国産小麦の約3分の2は北海道産です。 帯広市川西で6代目として農業を営む有塚利一さん。 有塚利一さん(41) 「小麦の畑はこちらになります。まだ植えたばかり。『きたほなみ』を植えています」 種を植えた後の今の時期、農家の仲間たちで話題に上るのが天気の話です。 有塚利一さん(41) 「毎日みんな天気の話です(笑)。集中的に雨が降ったりするので、畑が乾かなかったり作物が流されたりする。悩んでいる」 秋に種をまき、雪の下で冬を越す小麦。春の雪解けから成長し、夏に収穫します。ところが、気候の変化で作業時期に変化が生じています。 有塚利一さん(41) 「昔は9月20日ごろ小麦の種をまいた。いまは9月の下旬や10月になってきた。収穫作業は8月だったが近年だと7月中旬ごろに始まる。昔と比べたらだいぶ変わった作物体系になった。すべての作物で」 気候が変わり始めたことで、農作業の負担も増えています。 有塚利一さん(41) 「病気が出たり、いままで来なかった虫が来たりとか、今まで使っていなかった農薬をかけたり、回数を増やしたり」 小麦の研究者は、十勝だけでなく北海道内全体で農作業の暦が変わり始めていると指摘します。 道総研 中央農業試験場 杉川陽一 主査 「昔のように9月15日ごろにまくと、雪が降るころには少し大きくなりすぎる。対策として少し種まきを遅らせている」 変わりゆく北海道の気候を見据えて、品種改良を研究する現場を訪ねました。 ■10年で100万の候補から生まれたお菓子用小麦の新品種 訓子府町にある北見農業試験場では、未来の品種の研究開発が行われています。 道総研・北見農業試験場 其田達也 主査 「こっちの区画は『候補生』。『これはいいものだ』となった時に反対側の区画に入る。どれだけたくさん取れるか。取れたものの品質、うどんやパンがおいしいといった試験をしていく」 片方は約20万の個体から選ばれた6000の「候補生」たち。もう片方の畑には、さらに選び抜かれた400の候補が育っています。 道総研・北見農業試験場 其田達也 主査 「作物なので1年に一回しか取れない。一回の結果で『よい』となっても、天気は毎年変わる」 収穫量や品質、病気への強さなどを調べて、エリートコースの中からさらに絞り込んでいきます。10年間で試すのは延べ100万以上の候補です。 道総研・北見農業試験場 其田達也 主査 「宝くじに例えられることもある。何十万・何百万の中から一つの品種になる」 その長い挑戦から生まれたのが「北見95号」です。目指したのは、北海道の「お菓子のための小麦」でした。 道総研 北見農業試験場 其田達也主査 「北海道はお菓子が有名だけど地場の小麦がない。お菓子大国なのにもったいない」 生地の粘りが弱く、モチモチしにくいのが特徴のお菓子作りに適した北海道産小麦。「北海道白」の名前で、収穫量が増える2027年秋以降から本格的な流通が始まる見込みです。 ■プロのパティシエも絶賛する軽やかな食感と未来への期待 その実力はどれほどのものなのでしょうか。北海道産小麦を使い続けてきた札幌市の菓子工房「ケイク・デ・ボア」のパティシエ、森 伸司さんに試してもらいました。 いつもの「きたほなみ」と、新しい品種の「北見95号」。同じ分量で焼き比べてみました。 「きたほなみ」で作ったクッキーを試食します。 三國谷浩司 記者 「食感がザクザクしていて楽しいですね」 パティシエ 森伸司さん 「少し生地が粗い感じがします」 続いて「北見95号」で作ったクッキーを試食します。 記者 「口どけが早くないですか?」 パティシエ 森 伸司さん 「舌の上に残る時間が少ないと思います」 パウンドケーキの断面を比べてみます。 パティシエ 森 伸司さん「きたほなみの方が目が細かくて、95号の方が少し大きく感じる。95号の方が軽いです」 従来の「きたほなみ」はしっとりとした食感ですが、北見95号はより軽い仕上がりになりました。 菓子工房「ケイク・デ・ボア」 森伸司さん 「北見95号はショートケーキに使うと違うと思う。より使いやすい粉が出てきた」 北海道のお菓子のために誕生した北海道の小麦。しかし、研究者にとって今回の完成はゴールではないといいます。 道総研・北見農業試験場 其田達也 主査 「北見95号は一つの到達点には到着した。一方で温暖化が進む、気候の変動が激しくなる。気候変動に耐えるような品種の開発は進めていきたい」 北見で小麦の品種改良の研究が始まって100年。次の北海道を支える小麦は、この畑から生まれるのかもしれません。 北海道放送