時空を破壊するには、どれほどの力が必要なのか?
眠れる銀河
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時空を破壊するには、どれほどの力が必要なのか?
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2015年9月、13億光年かなたで2つのブラックホールが衝突しました。太陽およそ3個分の質量がまるごと重力波に変わり、その一瞬の出力は観測可能な宇宙にあるすべての星の光を上回りました。それでも時空には、ひび一つ入りませんでした。
時空は物質ではありません。手に取ることも、折りたたむことも、傷をつけることもできません。それでいて時空は曲がり、伸び、振動し、波となってエネルギーを何億光年も運びます。もし地球全体をおよそ9ミリメートルの球に圧縮すれば、地球は自分の光さえ外に出せなくなります。
星が自分の重さで潰れ続けるという考えを、物理学は150年ものあいだ受け入れませんでした。1915年、シュワルツシルトはロシア戦線の塹壕でアインシュタイン方程式の厳密解を導き、その4ヶ月後に世を去ります。1930年、19歳のチャンドラセカールはインドからイギリスへ向かう船の上で太陽の1.4倍という限界を計算し、1935年1月11日、王立天文学会の会合でエディントンに公開で否定されました。彼がノーベル賞を受けたのは、その48年後です。1965年、ペンローズは捕捉面という概念によって、特異点が理想化の産物ではなく避けられない帰結であることを証明しました。
そして日本は、この物語の三つの場面に立っています。1972年、京都で見つかった厳密解には、地平線に隠されていない特異点が含まれていました。1995年、二人の日本人物理学者がアインシュタイン方程式を数値的に安定な形へ書き直し、その形はいまも世界中のブラックホール合体シミュレーションの土台です。そして2006年、二人の日本人物理学者が、量子もつれの量と曲面の面積を直接結ぶ公式を書きました。もし時空がもつれで織られているのなら、引き裂くとは力を加えることではなく、つながりを断つことになります。
時空を壊すのに必要な力とは、どれほどの大きさなのか。地平線から特異点、重力波、そしてプランクスケールまで、現代物理学が到達している最前線から詳しく解き明かしていきます。
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【目次】
0:00 導入 ― 太陽3個分が消えても、ひび一つ入らなかった
1:28 誰も信じなかった150年 ― ミッチェルからチャンドラセカールまで
7:30 時空とは何か ― 内側からしか測れない幾何学
11:56 曲げるのは力ではない ― 集中こそがすべて
16:22 地平線は傷ではない ― 越えても何も起きない境界
21:10 特異点 ― 方程式が言葉を失う場所とペンローズの定理
25:44 【日本】裸の特異点はありうるか ― 京都、1972年
30:18 時空はどこまでの暴力に耐えるのか ― 2015年の衝突
35:08 【日本】神岡の地下と、世界が使い続ける日本の方程式
40:04 情報は消えるのか ― ホーキングの40年
44:57 【日本】時空は「もつれ」で織られているのか
49:45 プランクスケール ― 見ようとすると隠れてしまう
53:52 もし時空が本当に破れたら
56:27 総括 ― 壊れるのではなく、溶けるのかもしれない
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【この動画で扱った主なトピック】
シュワルツシルト半径/チャンドラセカール限界/エディントンとの論争/オッペンハイマーとスナイダーの重力崩壊/事象の地平線/測地線と曲率/潮汐力と強い重力の違い/ペンローズの特異点定理と捕捉面/宇宙検閲官仮説と裸の特異点/回転する天体の厳密解/重力波と干渉計/リングダウンと重力波の記憶/数値相対論の安定化/重力波望遠鏡カグラとサファイア鏡/中性子星合体と重い元素/ホーキング放射/ブラックホール情報パラドックス/ファイアウォール/ホログラフィー原理/量子もつれと面積の公式/プランクスケールと測定の限界/因果律の破れ/時空の相転移
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#時空 #ブラックホール #特異点 #重力波 #物理学
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音声:VOICEVOX:青山龍星
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