サイバーエージェントのビジネスモデル ─企業に広告を売る会社から、個人にゲームを売る会社へ|日本企業のビジネスモデル #051
日本企業のDNA | 強さの源泉を辿る物語
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サイバーエージェントのビジネスモデル ─企業に広告を売る会社から、個人にゲームを売る会社へ|日本企業のビジネスモデル #051
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日本企業のDNA | 強さの源泉を辿る物語
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サイバーエージェント(4751)は、広告を出したい企業から運用型広告の企画・媒体の買い付け・効果改善を請け負う、インターネット広告の会社として知られています。2025年9月期も、外部売上高の50.2%はインターネット広告事業です。ところが同じ期のセグメント利益は、ゲーム事業60,063百万円に対し、インターネット広告事業17,602百万円。利益ではゲームが広告の3倍を超えています。利益が初めて入れ替わったのは2015年9月期(セグメント利益でゲーム160億円、広告115億円)。広告が消えたのではなく、企業が払う広告費から、遊ぶ個人が払う課金へと、利益の主役が入れ替わりました。何が、何に入れ替わったのかを追います。
■ 企業に、広告の腕を売る会社(〜2012年)
インターネット広告事業は、広告主(企業)に対して、運用型広告の企画・媒体調達・効果改善を売るBtoBの商売です。稼ぎは媒体費への上乗せ(マージン)と運用の手数料。一方で参入障壁は比較的低く、電通・博報堂DYの系列、オプト(現デジタルホールディングス)、セプテーニなど競合は多数。広告主が効果を測れる運用型広告を求め、運用の自動化も進むなかで、枠の仲介だけでは差がつきにくく、粗利率にも天井がありました。
■ スマホへの移行と、一年の集中投資(2013年)
iPhoneの登場以降、広告の主戦場はパソコン・携帯電話からスマートフォンへ移ります。サイバーエージェントは2013年、スマートフォン企業へ変わるため約80億円の投資を一年で集中させ、連結営業利益は前年の174億円から103億円まで、約4割落ち込みました(Business Report 2015)。
■ 育った一手、伸び悩んだ一手(2009〜2015年)
2009年にソーシャルゲーム事業へ参入し、2011年5月には全額出資の子会社Cygamesを設立。2014年3月10日、当初予定から延期して完成度を優先した『グランブルーファンタジー』を配信し、App Storeの売上ランキング2位を記録するヒットになりました。同じころ、堀江貴文氏と組んで2014年2月に出したトークアプリ『755』は伸び悩み、2015年7月23日の決算説明会の質疑応答で、会社は「著しい成長拡大が見込めない」としてサービスを転換中であると明かしています(755はその後も提供が続いています)。
■ 何を、何に差し替えたか
売り物は、広告を運用する仕事から、ゲームの中のアイテムへ。買い手は、広告主の企業から、遊ぶ個人へ。会社はゲームの継続的な増収を支える強みを「運用力」と説明し、広告事業の強みも同じ「運用力」という言葉で説明しています。元手は広告とAmebaが生んだキャッシュで、大型の買収ではなく内製で育てました。
■ 答え合わせ(2015〜2025年9月期)
2015年9月期、セグメント利益でゲーム事業(15,966百万円)がインターネット広告事業(11,533百万円)を初めて上回りました(組み替え後の2014年9月期は広告9,128百万円、ゲーム8,477百万円)。連結営業利益も327億円と、2013年9月期の103億円から回復しています。ゲームの利益はヒット作に左右され、ウマ娘 プリティーダービー(2021年2月配信)の勢いが落ち着いた2023年9月期は22,708百万円まで縮みましたが、それでも広告(18,317百万円)を上回りました。2025年9月期は新規タイトルの大型ヒット、海外展開、外部決済への移行効果により、ゲーム60,063百万円、広告17,602百万円です(各期の決算短信セグメント情報)。売上高では今もインターネット広告事業が外部売上の50.2%を占める最大の事業で、広告が消えたのではなく、利益の主役が入れ替わった構図です。同業では、デジタルホールディングス(旧オプト)は2025年に博報堂DYホールディングスによる完全子会社化が発表され、ゲームに軸足を移したDeNA・GREE・mixiはヒットが途切れた時期にピークから売上を大きく落としました。
■ 残る問い
利益で見れば、サイバーエージェントは、広告の運用力を広告主の企業に売る会社から、ゲームのアイテムを遊ぶ個人に売る会社になりました。生成AIがコンテンツを作る仕事そのものを自動化し始めたいま、この会社が次にAIに差し替えるのは、広告の運用力でしょうか、それともゲームの運用力でしょうか。
▼ 目次
0:00 オープニング
0:20 第一章 企業に、広告の腕を売る会社
2:21 第二章 育った一手、伸び悩んだ一手
4:12 第三章 何を、何に差し替えたか
5:51 第四章 答え合わせ
9:54 第五章 AI時代の問い
▼ 参考文献
・CyberAgent「株式会社7gogoの吸収合併について」(2023年4月26日)/CyberAgent「Way『広告効果で業界トップの理由『運用力』を完全解説』」/CyberAgent「2025年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2025年11月14日)p.13-14(セグメント情報)
・CyberAgent「2023年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2023年11月1日)p.12-13(セグメント情報)/CyberAgent「Business Report 2015」(2015年アニュアルレポート)p.11・p.19-20/CyberAgent公式「統合報告レポート『ゲーム事業』」
・advertimes「博報堂DYHD、デジタルホールディングスにTOB」(2025年9月12日)/gamebiz「サイバーエージェント、アプリ開発子会社Cygamesを設立-7月に第一弾をリリース予定」/gamebiz「【今日は何の日?】Cygames、大作RPG『グランブルーファンタジー』を配信開始(2014年3月10日)」
・ねとらぼ「サイバーエージェント トークアプリ『755』について苦戦を認める『現在、サービスを転換中』」/ファミ通.com「ゲーム『ウマ娘』本日(2/24)配信開始! 2016年のプロジェクト発表からついにリリース!」/MarkeZine「ネット広告代理店からデジタルシフト支援企業へ。デジタルホールディングス野内社長に聞く、社名変更の狙い」
・@DIME「モバイルゲーム事業が停滞する中、DeNA、グリー、MIXIなど主要企業はどこへ向かうのか?」/advertimes「サイバーエージェント社長に山内隆裕氏 藤田氏は会長就任で引き継ぎへ」/AUTOMATON「WEST(英語)『CyberAgent's game business sees 106.3% rise in operating profit and 3.5x increase in global sales thanks to Umamusume: Pretty Derby's worldwide success』」
・irbank.net「サイバーエージェント(4751)のセグメントごとの売上高・利益等」(2014〜2021年9月期のセグメント利益集計)/the-shashi.com「サイバーエージェントの売上・業績推移(2025年9月期)」(セグメント別売上高の年度別集計)
※ナレーションには VOICEVOX:青山龍星 を使用しています。
※公開情報に基づく解説であり、特定の投資・就職を推奨するものではありません。
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