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Doom Sleeps Beside the Dead

Minotaur's Den - 仄暗い音楽と物語 / Dark Music & Tales

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Doom Sleeps Beside the Dead

25 просмотров · 10 дн. назад
Minotaur's Den - 仄暗い音楽と物語 / Dark Music & Tales
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かつて、偉大な魔術師は三人の仲間とともに、海の底に眠る古い神殿へと赴いた。旅を共にした吟遊詩人の女、幾つもの死地を切り抜けてきた盗賊、そして戦士。四人がそこで目にしたものについて、後世に残された物語は驚くほど少ない。 陽光の届かぬ深みに築かれた巨大な神殿には、人のために造られたとは思えぬ祭壇と、長い歳月にも朽ちることのない莫大な財宝が眠っていた。そしてその最奥には、一冊の古い書が厳重に封じられていた。 死者について記された書であったとも、死者によって記された書であったともいう。 そこに記された言葉を読み上げ、最後の封印を解けば、遥かな昔にこの世界から閉ざされた古代の神々が再び解き放たれる。四人はやがてその意味を知り、神殿に残された財宝も、書のもたらすであろう力も求めないことを選んだ。封印を解かず、禁じられた言葉を読み上げることもなく、財宝をそのまま残して、生きて海底神殿を後にした。 少なくとも、三人の仲間にとっては、それで終わった冒険だった。 それから百年以上の歳月が流れた。 吟遊詩人の女は死に、盗賊も戦士も世を去った。彼らの冒険はしばらく歌や物語として残ったものの、それもやがて古び、四人を直接知る者は一人また一人といなくなっていった。それでも魔術師だけは長く生き続け、かつての仲間たちがとうに過去の人となった後も、さらに年月を重ねた。 彼がその長い歳月をどのように過ごしたのか、すべてを知る者はいない。 そして、ついに魔術師も死んだ。 その名声にふさわしく、亡骸は丁重にミイラとして整えられ、壮麗な墓所へ葬られた。石室には生前の功績を示す品々や古い杖、宝石、金、かつて用いた魔術の品々が副葬品として納められ、墓所そのものも幾重もの石と封印によって閉ざされた。 ただ、その副葬品の中には、本来ならば決して存在するはずのないものがあった。 魔術師の乾いた手の傍らに、一冊の古びた書が置かれていたのである。 黒ずんだ頁の縁には、遠い海の名残を思わせる白い痕跡が残っていた。 あの海底神殿に置いてきたはずの、死者の書だった。 吟遊詩人の女も、盗賊も、戦士も、それが神殿の最奥に残されたものと信じたまま死んだ。彼らが地上へ帰還したあの日、魔術師だけが何を知っていたのかは分からない。 最後に神殿を立ち去るとき、誰の目にも留まらぬよう長衣の奥へ忍ばせていたのかもしれない。 あるいは、それから遥かな年月を経て、三人の仲間さえいなくなった世界で、彼はもう一度ひとり海底へ戻ったのかもしれない。 そのどちらでもないのかもしれない。 確かなのは、四人がそれを残して帰ったはずの海底神殿から遠く離れた場所で、死者の書が最後には魔術師の亡骸とともに葬られていたということだけだった。 だが、その事実さえ今では誰も知らない。 墓所への道は失われ、その場所を知っていた者もとうに死に絶えた。王国が興り、滅び、言葉が変わり、彼らの冒険を歌った歌さえ歳月の中へ消えていった。いま世界には、死者の書の存在を知る者も、それが偉大な魔術師の墓の中に眠っていることを知る者もいない。 誰も探してはいないし、誰も恐れてはいない。 だから世界は今日も、何事もなかったかのように一日を終える。 かつて海の底で退けられた災厄は、滅ぼされたわけではない。あの日、封印が解かれなかったことで訪れなかったその日は、ただ遠い未来へと引き延ばされたにすぎない。 いつか誰かが、忘れられた墓所を見つけるかもしれない。古い封印を破り、偉大な魔術師の亡骸と、その傍らに置かれた一冊の書を見つけるかもしれない。 その者が頁を開いたとき、そこに何が記されているのかを理解するよりも先に、世界はようやく、自分たちが何百年ものあいだ何の傍らで平穏に生きてきたのかを知ることになるだろう。 それまでは、災厄もまた静かに眠り続ける。 死者の傍らで。 Doom Sleeps Beside the Dead.