古代人は蚊だらけの環境で、どうやって眠っていたのか
古代の裏側
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古代人は蚊だらけの環境で、どうやって眠っていたのか
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古代の裏側
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2400年ほど前の、ナイル川の河口。日が沈むと、沼地の漁師は、昼に魚を捕った網を寝床のまわりに張り、その下にもぐって眠った。
歴史家ヘロドトスが書き残した、蚊よけの網のごく古い記録である。
だが人類は、それより何十万年も前から、蚊のいる土地で夜を越してきた。
網も薬も無い時代、人はどうやって眠っていたのか。
煙、葉、灰、体に塗るもの。よく挙げられる答えを、実験の数字で一つずつ確かめていく。
▼この動画でわかること
・煮炊きの煙が蚊やマラリアから人を守るという証拠は、いまのところ無い(2007年の総説)
・匂いの強い草をいぶすと刺される数は3〜8割減る。ただし測ったのは宵の口で、効かない種類の蚊もいる
・7万7000年前のシブドゥの「蚊よけの寝床」は、葉を蚊で試した実験がない(論文を読み直した訂正)
・20万年前のボーダー洞窟の灰の寝床。灰が止めるのは這う虫で、蚊ではない
・ワニの脂を塗っても、蚊を防げるのは最長1時間38分
・チンパンジーが木の上で眠る理由は、蚊ではなく湿気だという研究
・蚊の多くは低い層を飛び、刺されるうちの約8割は人が寝ているあいだに起きる
・ガンビアの実験:小屋を1m・2m・3mに持ち上げると、ハマダラカは1015匹 → 601匹 → 333匹 → 131匹(84%減)
・ヘロドトスは2400年前に「塔に上って眠る」と書いていた
・風が効くのは蚊を吹き飛ばすからではなく、匂いの筋をちぎるから
・サントメ島の高床の家、アーネムランドの高い寝床、オリノコ川の「5メートルの虫の層」
・人だけを狙うネッタイシマカが生まれたのは約5000年前(3000〜1万年前の幅がある)
・農耕が蚊を増やしたのかどうかは、いまも議論が続いている
・重いマラリアの原虫は、もとはゴリラの寄生虫だった
・「キャノピー(天蓋)」の語源はギリシャ語の「蚊」
・万葉集の「蚊の火」と、播磨国風土記の蚊帳。「奈良時代に唐から伝わった」を示す史料は見当たらない
・薬を染みこませた蚊帳が、2000〜2015年にアフリカで防いだマラリアの発症は6億6300万件の68%
・その蚊帳が、いま26の国で魚捕りに使われている
▼チャプター
0:00 網をかぶって眠る漁師
0:42 よくある答えを採点する(煙・葉・灰・塗る)
5:42 木の上、小屋を持ち上げる実験、塔
8:44 風と、寝る場所を選ぶ人びと
11:08 蚊はいつから人を狙うようになったのか
14:23 塔のない沼地の答え ― 網・蚊帳・薬
17:33 ひと回りした網
▼おもな参照
Herodotus『歴史』巻2・95節 — 沼地の漁師の網と、塔に上って眠る人びと
Biran, Smith, Lines, Ensink, Cameron(2007)Transactions of the Royal Society of Tropical Medicine and Hygiene 101(11):1065-1071 — 煮炊きの煙と蚊・マラリアの総説
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Wadley, Sievers, Bamford, Goldberg, Berna, Miller(2011)Science 334:1388-1391 — シブドゥの7万7000年前の寝床
Wadley ほか(2020)Science 369:863-866 — ボーダー洞窟の20万年前の草と灰の寝床
Rifkin(2015)South African Archaeological Bulletin 70(201):64-75 — 赤い土(オーカー)の虫よけ効果
Esmaeili ほか(2024)PLoS ONE 19(7):e0301677 — 動物の脂の蚊よけ効果と持続時間
Stewart(2011)American Journal of Physical Anthropology 146:313-318 / Koops ほか(2012)International Journal of Primatology 33:356-380 — チンパンジーの寝床と蚊
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Sherrard-Smith ほか(2019)PNAS 116(30):15086-15095 — 刺される時刻と就寝中の割合
Carrasco-Tenezaca ほか(2021)Journal of the Royal Society Interface 18:20210256 — 小屋を持ち上げたガンビアの実験
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Hoffmann & Miller(2003)Journal of Medical Entomology 40(5):607-614 — 風と匂いの希釈
Humboldt『新大陸赤道地方紀行』(Personal Narrative, Bohn 版 1852)第2巻 — オリノコ川の虫の層と人びとの暮らし
Rose ほか(2020)Current Biology 30:3570-3579 / Rose ほか(2023)eLife 12:e83524 — ネッタイシマカが人を狙うようになった要因と年代
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『播磨国風土記』飾磨郡 賀野里 / 『万葉集』巻11・2649番
▼注記
・解説であり、特定の虫よけや医療上の手段を推奨するものではありません。
・チンパンジーが木の上で眠る理由、農耕と蚊の関係、万葉集の「蚊火」の読み、漁師の網がどこまで効いたかは、研究者のあいだで結論が出ていない論点として扱いました。
・確からしさは「確立/有力/議論あり/分からない」の4段階で語り分けています。
・年代や数値は公開時点の一次文献に基づいています。人を狙う蚊の「約5000年前」は、前提しだいで3000〜1万年前まで動く推定です。
#古代人 #考古学 #人類史 #蚊 #睡眠の歴史