百年後、あなたのいない町へ。|受け継がれた、ぬくもり。【Fantasy MV】
幻奏物語 | Fantasy MV
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百年後、あなたのいない町へ。|受け継がれた、ぬくもり。【Fantasy MV】
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「またここに来てね」
次に会えるのは、百年後だった。
時計職人の娘と、長い時を生きるエルフ。
髪を編み合う何気ない日々は、森への道が閉じる夜に終わりを迎える。
「百年後に取りに来ます」
時計を預けて町を去ったエルフが、再びその扉を開くとき——。
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■タイトル
『百年後、あなたのいない町へ。』
──────────
Short Story
時計屋の娘は、いつも髪の片側だけを編んでいた。
右はきれいな三つ編みなのに、左は途中でほどけている。
「こっちは見ないでね」
初めて会った日、少女はそう言って左耳を押さえた。
エルフのリネアは笑わず、店先の椅子を借りた。
「後ろを向いて」
「できるの?」
「自分の髪は、もう三百年ほど編んでいるから」
少女は目を丸くした。それから椅子に飛び乗り、両足をぶらぶらさせた。
細い栗色の髪を三つに分ける。少しずつ外側の髪を拾い、耳の上から後ろへ渡す。森で教わった編み方だった。
手鏡を渡すと、少女は顔を右へ左へ動かした。
「お父さん、見て!」
作業台の向こうで、時計職人が眼鏡を上げた。
「よかったな、ミナ」
「明日もできる?」
「あなたがよければ」
森と人間の土地を結ぶ道は、百年に一度、七日間だけ開く。
買い付けを任されたリネアには、夕方になると少し暇ができた。
翌日からミナは、店先で櫛を握って待っていた。
髪を編む間、少女はよくしゃべった。
パン屋の犬が子供を産んだこと。計算は嫌いだが、時計の数字なら読めること。大きくなったら父の仕事を手伝うこと。
リネアが相槌を打つたび、鏡の中の口が忙しく動いた。
六日目には、立場が逆になった。
「今日は、わたしがやる」
ミナは椅子の後ろに踏み台を置いた。銀色の髪をつかむ手は真剣で、ときどき根元が引っ張られた。
「痛くない?」
「ええ」
片側だけ太く、途中に輪の飛び出した三つ編みができた。
ミナは鏡とリネアの顔を見比べた。
「ほどいてもいいよ」
「このままでいいわ」
少女は、ようやく笑った。
最後の日、広場で荷車を避けた拍子に、リネアの懐中時計が石畳へ落ちた。
針は止まり、振っても音がしなかった。
職人は裏蓋を開き、しばらく調べてから言った。
「三日いただければ」
「道が、今夜閉じるんです」
窓の外には夕焼けが広がっていた。
ここに残れば、次に帰れるのは百年先になる。森には、荷物を待つ者も、彼女の帰りを待つ者もいた。
リネアは時計を作業台に置いた。
「百年後に取りに来ます」
職人の指が止まった。
彼は一度ミナを見て、それから預かり証に日付を書いた。
「では、その日にお渡しできるように」
ミナが戸口までついてきた。
「百年後も、ここに来てね」
リネアはかがみ、少女の襟に挟まっていた髪を出してやった。
次にこの髪に触れることはないかもしれない。そう思うと、指を離すのに少し時間がかかった。
「ええ。ここに来るわ」
町の外れで振り向くと、ミナはまだ手を振っていた。
リネアも手を上げた。少女が見えなくなるまで、髪はほどかなかった。
*
百年目の朝、リネアは道が開く前から森の端に立っていた。
町には橋が増えていた。
広場の井戸はなくなり、パン屋のあった角には白い建物が立っていた。
時計屋の通りへ入ると、歩く速さが落ちた。
店はあった。
看板の文字も、窓枠の色も違っていたが、軒先には、あの歯車の飾りが下がっていた。
扉を開ける。
カウンターの向こうで、若い娘が顔を上げた。
栗色の髪が、耳の上から編まれていた。
「ミナ」
名前がこぼれた。
娘は目を見開いた。それからリネアの耳を見て、両手を口元へ寄せた。
「時計の、お客様ですか」
リネアはうなずき、預かり証を差し出した。
娘はそれを両手で受け取った。
「祖母から聞いています」
奥の棚から、小さな木箱が運ばれてきた。
蓋の裏には古い預かり証の控えが貼られ、箱の中には、磨かれた時計が収まっていた。
「父が今朝、最後の点検をしました」
時計を受け取ると、掌にかすかな振動が伝わった。
リネアは顔を上げた。
「ミナは」
娘の視線が、壁へ向いた。
小さな肖像画の中で、白髪の女性が椅子に座っていた。膝には幼い子供がいて、その髪を編みかけている。
「私が十二のときに」
リネアは時計の蓋を閉じた。
聞きたいことが幾つもあった。仕事は覚えたのか。計算は好きになったのか。あの父親と、どれほど長く一緒にいられたのか。
娘の目元を見つめたまま、言葉を選べずにいた。
「祖母が、この髪にしてくれたんです」
娘が、自分の編み目に触れた。
「私、じっとしていられなくて。いつも叱られました」
「ミナも、足を揺らしていたわ」
娘が笑った。
笑い声は違っていた。リネアはもう一度、壁の肖像を見た。
「あなたの髪も編んだって、自慢していました。でも、ひどい出来だったから、次はきれいにしてあげるんだって」
リネアは肩に垂れた銀髪を手に取った。
今朝、自分で編んできた髪だった。
娘は少しためらってから、店先の椅子を引いた。
「私でよければ」
リネアは留め紐をほどいた。
長い髪が背中へ落ちる。
椅子に座り、時計を膝に置いた。
背後で櫛が通った。
あのときより、ずっと静かな手つきだった。
「痛くありませんか」
リネアは目を閉じた。
「ええ」
膝の上で、時計が小さく時を刻んでいた。
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制作
企画・原案・編集:あめきち
ショートショート制作:あめきち:ChatGPT
作詞:あめきち:ChatGPT
作曲・歌唱:Suno
イラスト制作:GPT Image 2.5
動画生成:DomoAI / Seedance
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AIについて
AIを使った創作には、さまざまな意見があることも理解しています。
自分にとってAIは、頭の中にある景色や物語、音楽のイメージを、外の世界に形として出してくれる創作のための道具です。
AIにすべてを任せるのではなく、どんな物語を作りたいかを考え、選び、修正し、組み立てながら作品にしています。
このチャンネルでは、AIを隠さず、創作ツールのひとつとして活用しています。
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