「過剰適応からうつ病になる3つの原因」を精神科医が解説します。
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「過剰適応からうつ病になる3つの原因」を精神科医が徹底解説。
#精神科 #うつ病 #過剰適応
0:05 (1)はじめに
0:27 (2)過剰適応とうつ病
3:45 (3) 過剰適応からうつ病になる3つの原因
3:54 ①ストレスの持続
5:55 ②疲労の蓄積
7:55 ③自分を見失う
9:56 (4)過剰適応からのうつ病を防ぐには
12:02 (5)まとめ
周りに合わせすぎる「過剰適応」が続くと、確かに表面的な関係はうまくいきやすいですが、疲労やストレスのみならず、自分を見失うこともありうつ病のリスクがあり注意が必要です。
「過剰適応からうつ病になる3つの原因」について、精神科医が13分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
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↓詳しい内容はこちらです。
(1)はじめに
うつ病になる人の中には、周りから気づかれにくい人がいます。その背景によくあるのが「過剰適応」です。限界が来るまで目立たないため、本人も周囲も気づかないまま無理を重ねます。そしてある日突然、うつ病として表に出てくることがあります。今回は、過剰適応からうつ病になる3つの原因について見ていきます。
(2)過剰適応とうつ病
過剰適応とは、無理をしてまで周りに合わせすぎてしまう状態のことです。周囲に合わせる「適応」自体は、社会生活に必要なものです。それを無理してやりすぎてしまうのが過剰適応です。
たとえば、本当は自分の意見がまったく違っていても、相手の考えに半ば無理して合わせることがあります。相手の機嫌を自分の軸のようにしてしまい、拒否されないよう非常に気を遣うこともあります。また、困っている人を無理してでも助けようとしたり、頼まれると断れなかったりして、仕事を引き受けすぎることもあります。
過剰適応には良い面もあります。周りとのトラブルは少なくなります。うまく合わせる人を嫌う人は意外と少ないため、評価も得やすくなります。孤立することも少なく、表面上はうまくいくことが多いのです。
一方で、意識的にせよ無意識にせよ無理を続けるため、心身には強い負担がかかります。外向きの自分と本当の自分にズレが生じ、自分を見失いやすくもなります。こうした負担が、うつ病の隠れた原因になることがあるのです。
ある程度までは、疲れやストレスが溜まっても我慢できます。しかし限界を超えると、うつ病に至ります。周りからは「それまで元気だったのに、急に会社に来なくなった」と、突然変わったように見えます。本人も不調に気づいていないか、気づかないことにしている場合が多く、急に悪くなったと感じることがあります。実際には、急に動けなくなる、人を避けるようになる、仕事に行けなくなるといった形で表れます。
(3)過剰適応からうつ病になる3つの原因
①ストレスの持続
1つ目の原因は、ストレスの持続です。人と接するたびにストレスがかかり、それが限界に達するとうつ病に至ることがあります。
強いストレスは、うつ病の発症や悪化、慢性化の引き金になります。脳のレベルでも、セロトニンや脳の回路への影響が言われています。1回のストレスが影響することもありますが、特に問題になるのはストレスがずっと続くことです。
過剰適応では、次のようなストレスが生じます。
・適応のために自分の感情を抑えるストレス
・無理だと思いながらも引き受けてしまう、無理が続くストレス
・相手の評価や不機嫌に振り回される、相手に影響されるストレス
特に注意したいのは、これが人間関係のたびに繰り返されることです。しかも、ストレスがかかっていても「なかったこと」にしてしまい、自分では気づきにくい傾向があります。相手からもストレスを感じている様子が見えにくいため、仕事を多く任されるなど、さらに負担が増えることもあります。
②疲労の蓄積
2つ目の原因は、疲労の蓄積です。疲れる状態が習慣になり、目に見えない疲労が少しずつ溜まっていきます。そして限界が来ると、うつ病に至ります。
疲労の蓄積は、うつ病の原因の一つとされています。頭を使いすぎると前頭葉の機能が低下するといった、脳レベルでの不調も指摘されています。ここでも、短期的な疲れより、疲れが続くことに注意が必要です。
過剰適応では、次のような疲労が重なります。
・気を遣い続けて頭を使うことによる疲労
・周りの目を気にして気を張り続ける、緊張による疲労
・本来以上のことをやり続ける、無理による疲労
日中ずっと緊張していると、夜になっても緊張が解けません。眠りが浅くなり、疲れが取れにくくなります。また、疲れに対しても過剰適応してしまい、疲れを押し殺して「疲れていない」と感じることがあります。さらに、休むことが悪いことのように思えて、十分に休めないことにもつながります。
③自分を見失う
3つ目の原因は、自分を見失うことです。外向きの自分と本来の自分の間に大きなズレが生じ、強い空虚感や無力感につながります。
実は、ストレスや疲労がそれほどなくても、空虚感からうつ病になることがあります。充実感や達成感のなさから意欲が落ちることが、その背景にあると言われます。うつ病のリハビリには意欲が必要なため、回復しにくさにもつながります。
過剰適応では、表面上はうまくいきます。しかし、外に合わせている自分と本当の自分のズレが慢性化していきます。家に帰って一人になると、強い空虚感に襲われることが少なくありません。
その背景には、次のような要素があります。
・達成感が得られず、意欲につながりにくい
・自分を偽っていることへの罪悪感
・本来の自分は受け入れられないという感覚からくる、自己肯定感の低下
(4)過剰適応からのうつ病を防ぐには
大切なのは、自分の特性を受け入れたうえで、現実的な対策を積み重ねていくことです。
まずは、過剰適応に気づくことです。無意識のままでは対策が取れません。一見問題がないようでも、実は過剰適応しているのではないかと気づくことが第一歩です。
ただ、まったく合わせないのでは社会に適応しにくくなります。必要なときは意識的に合わせ、どれくらい疲れやストレスが溜まっているかを把握しておきましょう。
次に、限界が来るのを防ぐことです。休む時間をしっかり確保して、疲れを取りましょう。ストレスの発散方法もいくつか持っておくと役立ちます。生活リズムを保つ、運動の習慣をつけるなど、生活習慣を整えることも大切です。
そして、自分を取り戻すことです。本来自分がどう生きたいのかを見失うと、空虚感につながります。改めて自分の軸を見つめ直しましょう。自分の軸と環境にズレがあっても、共通する部分が見つかることは多いものです。そこで折り合いをつけていくのが現実的です。どうしても難しい場合は、環境を調整することも選択肢になります。
(5)まとめ
過剰適応は、社会に適応するうえで役立つ面があります。その一方で、うつ病の原因にもなりえます。主な原因は次の3つです。
①ストレスの持続:無理に合わせたり作業したりすることで、ストレスが溜まる
②疲労の蓄積:緊張が続くことなどから、疲れがどんどん溜まる
③自分を見失う:外向きの自分と本来の自分のズレから、空虚感に襲われやすくなる
思い当たる場合は、まず過剰適応になっていることを認識しましょう。疲れやストレスへの対策を取りながら、ときには本来の自分を見直してみてください。
こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)
#原因 #精神科医
【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。