【久我美子】名門の名を置いた女優——「また逢う日まで」ガラス越しのキスと、夫の死後も続けた仕事
昭和灯庫
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【久我美子】名門の名を置いた女優——「また逢う日まで」ガラス越しのキスと、夫の死後も続けた仕事
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#久我美子 #また逢う日まで #平田昭彦
【久我美子】名門の名を置いた女優——「また逢う日まで」ガラス越しのキスと、夫の死後も続けた仕事
1950年の映画『また逢う日まで』。
久我美子と岡田英次が演じた恋人たちは、窓ガラス越しに顔を寄せました。
触れることもできず、抱きしめることもできない。
それでも、ガラスの向こうにいる相手から目をそらさない。
わずかな時間の静かな場面は、戦争によって引き裂かれた男女の運命を、日本映画史に残る名場面として刻みました。
しかし、久我美子の人生は、その「ガラス越しのキス」だけでは語り尽くせません。
彼女の本名は小野田美子。
父は侯爵であり、貴族院議員でもあった久我家の娘として生まれました。
けれど、戦後の日本では、名門の家柄だけで生活を守ることはできませんでした。華族制度が廃止され、家の名前が以前のような力を失っていく中、彼女は家族の反対を押し切り、映画の世界へ進みます。
第1期東宝ニューフェイスに合格し、三船敏郎らとともに撮影所へ入った少女。
家の反対を受けながら、芸名「久我美子」を名乗り、家の娘ではなく、一人の女優として自分の道を歩き始めました。
黒澤明監督の『醉いどれ天使』、木下惠介監督の『女の園』、小津安二郎監督の『彼岸花』『お早よう』。
久我美子は、清純派の令嬢役だけにとどまらず、社会の不公平に傷つく女性や、家庭の中で声を失う女性など、さまざまな人物を演じました。
1954年には、岸惠子、有馬稲子とともに文芸プロダクション「にんじんくらぶ」を設立。
女優がただ「選ばれる側」にいるのではなく、自分たちで作品や仕事を選ぶ可能性を模索しました。
やがて彼女は、映画『ゴジラ』で芹沢博士を演じた俳優・平田昭彦と結婚します。
しかし、結婚後も女優を辞めることはありませんでした。
映画からテレビ、そして舞台へ。
昼の生放送番組『3時のあなた』では司会を務め、年齢を重ねた後も、母親や妻、年長者など、さまざまな役を演じ続けました。
1984年、夫・平田昭彦が亡くなります。
その5年後、久我美子は『ゴジラvsビオランテ』に女性官房長官役で出演しました。
夫の代表作につながる作品でしたが、彼女は「平田昭彦の妻」として戻ったのではありません。
夫の記憶を背負いながらも、一人の俳優として、自分自身の仕事を引き受けたのです。
名家の娘。
清純派女優。
名優の妻。
そのどの肩書も、久我美子の一部ではありました。
しかし、彼女の人生のすべてではありません。
2024年6月9日、久我美子は誤嚥性肺炎のため、93歳で亡くなりました。
大きな会見も、長い説明もない静かな訃報でした。
けれど、彼女が残したものは、出演本数や代表作の名前だけではありません。
家の名前と芸名の間。
会社に所属する女優と、自分たちで仕事を選ぶ女優の間。
夫の記憶と、自分自身の人生の間。
久我美子は、いくつもの境界線の上に立ち続けました。
触れられないと知りながら、ガラスの向こうへ静かに顔を寄せる。
届かない現実を知りながら、それでも目をそらさない。
その姿は、戦後日本映画の中だけでなく、久我美子自身の長い人生そのものだったのかもしれません。
この動画では、久我美子の生い立ち、名門の家を離れて映画界へ進んだ決断、黒澤明・木下惠介・小津安二郎作品での軌跡、「にんじんくらぶ」の設立、平田昭彦との結婚、夫の死後に出演した『ゴジラvsビオランテ』、そして最後まで自分の名前で演じ続けた人生を、資料に基づいて丁寧に紐解いていきます。
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📌 目次
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オープニング — ガラス越しに残された、触れられない恋
第1章「久我家の娘」— 侯爵家に生まれた少女と、失われていく家の力
第2章「別の名前で生きる」— 家族の反対と、第1期東宝ニューフェイス
第3章「焼け跡の少女」— 黒澤明監督『醉いどれ天使』で見せた新しい存在感
第4章「ガラス越しのキス」— 『また逢う日まで』が日本映画史に残したもの
第5章「選ばれる側から、選ぶ側へ」— 女優三人で設立した「にんじんくらぶ」
第6章「名匠たちの映画」— 木下惠介、小津安二郎、今井正との仕事
第7章「平田昭彦との結婚」— 『ゴジラ』の名優と歩いた夫婦の時間
第8章「映画からテレビへ」— 『3時のあなた』で見せた新たな顔
第9章「夫の死、そして再びゴジラへ」— 『ゴジラvsビオランテ』の女性官房長官
第10章「田中絹代賞」— 長く演じ続けた女優への評価
終章「ガラスの向こう側」— 名家の娘でも、誰かの妻でもない久我美子の人生
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🎙 時代を語る声
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昭和から平成、令和へ——
時代を彩った人物たちの知られざる物語をお届けします。
華やかなスターの経歴だけではなく、その人生の裏側にあった決断、沈黙、孤独、そして誰にも見えない努力に静かに光を当てる、ラジオ風ドキュメンタリーチャンネルです。
一人の女優が、与えられた名前や肩書に人生を預けることなく、自分の仕事と自分の沈黙を守り続けた軌跡。
ぜひ最後までご覧ください。