2026年10月2日 匝瑳市堀川浜ナガスクジラ生存漂着(ライブストランディング)
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2026年10月2日 匝瑳市堀川浜ナガスクジラ生存漂着(ライブストランディング)
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2026年9月19日に匝瑳市の海岸に17mほどの死んだナガスクジラが打ちあがりました.
国立科学博物館の田島木綿子先生から南房総ストランディングネットワーク宛に情報があり,その後9月30日に国立科学博物館,千葉県立中央博物館などによる学術調査が埋設処理前に行われる事になった事が続けて連絡が入りました.
そして南房総ストランディングネットワークとして3名が現地入りし調査の補助を行いました.
酷く腐敗しており,あまり良いデータは得られませんでした.
その日は昼過ぎには終了し帰途に就きましたが,館山の自宅に帰って間もなく再びネットワークのLINEが鳴りました.
なんと今回の調査現場からそれほど遠くない南側の海岸にまたもヒゲクジラが打ちあがったという情報でした.
しかもその個体は生存していました.
すぐには現場に行くことが出来ずにいましたが,立て続けの大きなクジラの漂着にSNSはじめニュースでも話題となり,SNSでは訪れた人が報告をしている事で現地に行かなくてもクジラの状態がある程度分かるほどでした.
そして調査から2日後の10月2日にまだそのクジラが生きている事を聞き,状況を見に行く事にしました.(実は先の調査で落としてきた物があったのに気づいた事もあってなのですが)
2頭目のクジラは1頭目のクジラの調査位置(最終的に流れ着いた位置でヘッドランドともいう突堤の脇)から1.5㎞ほどの位置でした.
この動画でその2頭目のクジラの様子を残したいと思いますが,大型鯨類の中でもヒゲクジラの生存座礁は頻度がかなり低いと思います.
マスストランディングと言われる生存したまま群れが揃って座礁する場合のクジラはマッコウクジラやカズハゴンドウといった大抵ハクジラの仲間です.
地球上で2番目に大きなナガスクジラの生きた個体を目の前で観察するという事は一生に一度あれば奇跡というレベルの出来事だと思います.
少なくとも私のこれまでストランディングに少し関わってきた四半世紀ほどの経験の中では本当に珍しい経験となりました.
その大きな目が自分の周りに小さな人間が集まってきているのを見つめては,時折苦しそうに大きな息をつき,ブローを吐き出しながらきつく目をつぶり何かに耐えているような様子を見せるのが見ていて大変悲しかったです.
この様な状態で当然楽なわけは無く,科学的に証明するまでもなくこのクジラは苦しんでいるわけです.
そのクジラに対して一部の人は憐れみを感じ,生存する時間を引き延ばそうとする努力をしていたり,一方ではクジラに対しての明らかなハラスメントと言える行為を行った事が確認されています.
抵抗できない弱者に集まる人間を観ることは人間の本当の姿を垣間見る機会になるようです.
このクジラの様子を見に行った日には悪さをする人は見当たりませんでしたが,やはり触る人は多少いて,しかも繊細な目の周りを触る人もいました.
また病気で死んだ可能性があるわけですから接触や噴気を浴びてこのクジラの肺から出てくる菌を吸い込まないように注意する事,皮膚の表面にももしも何か危険なものが付着している可能性,更にはそのクジラを洗う海水にも何か例えば漏れ出す排泄物の中に含まれる危険な者があるという想像までして十分に距離を置いて観察をすべきなのですが,小さなお子さん含め裸足でその海水の中を歩き,素手でクジラに触るという事が普通に行われていました.
これはやはり教育というか認知の問題で,十分な知識を一般の人に知ってもらう機会が足りていないことを表していました.
ちょうど11月に館山市での開催を決めているストランディングシンポジウムがその役割を少しでも果たさなければと再確認した出来事でした.
私たちがこのクジラを観察しているところで田島先生から電話が入り,種を確定するためにサイズ情報が必要との事でしたので出来るだけ正確な計測を行ったところ17~18mで前回の個体とほぼ同じサイズでした.
私の観察ではこのクジラもナガスクジラと思われましたが,ツノシマクジラの可能性も検討されていたようです.
私は現地に「海の哺乳類: FAO種同定ガイド」スティーブンレザウッドとトマス・A. ジェファーソンとマーク・A. ウェバー著を持って行っていました.
古い本ですが昔から変わらぬ特徴を持つ種の同定には便利です.
ただ古いために日本で2003年に国立科学博物館の山田 格先生らが記載した新種などは掲載されていませんでしたので,ツノシマクジラを検討していませんでした.
頭の中では少しだけ考えましたが,ツノシマクジラはもう少し小さいはずなので.
このクジラの肋骨の浮き出た痩せ方はもう激しい衰弱のサインですが,これでもし海に帰してあげられることが出来たとして座礁している今の状況よりもクジラにとって楽なのかは分かりません.
この状態の方が確実に呼吸ができるのかもしれませんが体重による腹部の圧迫は酷く苦しいでしょう.
もし海に浮かべればある意味では楽に最期を迎えられるのかもしれないという点では海に戻してあげるという意味はあるかもしれませんが,どちらにしてもこのサイズのクジラを簡単に海に引き戻す方法はなかなかありません.
我々人間にできる事はこのクジラが自然に座礁した状況をこれ以上苦しいものにしない為に,このクジラにとって未知の生物である人間が接近しないで遠くから見守ってあげる事だったのではないでしょうか.
そして何よりこの2頭のナガスクジラが相次いで打ちあがるという異常事態の要因を調べ,もし人の活動の影響での出来ごとだという事が突き止められた場合には,こういった悲劇が減るようにそれぞれが日々の生活の中で努力する事だと思います.
また博物館などが行う解剖を含めた調査に協力していく事が,その解決への近道でしょう.
このクジラも10月4日に死亡が確認されました.
9月30日の座礁発見から4日も苦しい状態で生存した事になります.
調査はすぐに行えず様々な調整の後に更に台風通過を待って10月8日に埋設処理前に国立科学博物館主導で千葉県立中央博物館,東京海洋大学他多数が集結し解剖し調査しました.
また今回も南房総ストランディングネットワークから8人が見学を含め調査に参加しました.
このクジラの死因はまだ分かっていません.
しかし空腹だったことは確認されています.
何故食べ物を得られなかったのか?食べたくないような体調だったのか?その要因は何なのか?それぞれが考えてみるという事が大切と思います.
水中では音が様々な影響をクジラに与えます.
通常自然界には無い音源があったのではないでしょうか?
今後の調査の進展を期待したいと思います.