【第13話】アカリさん、はるかに優しさを教える|老人ホームで働く猫 アカリさん
ねこまる
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【第13話】アカリさん、はるかに優しさを教える|老人ホームで働く猫 アカリさん
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午後の老人ホーム。
今日もメモ帳を持って、
アカリ先輩の後ろを歩く新人職員・はるか。
そこへ、一人のおじいちゃんがやってきます。
はるかの顔を見ると、
嬉しそうにひと言。
「由美子、来てたのか」
「え?」
はるかは戸惑います。
自分は、はるか。
由美子ではありません。
「私は、はるかです」
そう訂正しようとした、そのとき――
そばにやってきたアカリさん。
何も言いません。
ただ、はるかを静かに見ています。
さらにおじいちゃんは、
「由美子、今日は学校はどうだった?」
明らかに話が違います。
はるかはもう一度、
訂正しようとします。
でも、おじいちゃんの嬉しそうな顔を見て、
少し考えます。
そして――
「今日は楽しかったよ」
おじいちゃんの表情が、
ぱっと明るくなります。
「友達とは仲良くしてるのか?」
「うん。みんな優しいよ」
「そうか。それなら安心だ」
その言葉を聞いて、
はるかは気づきます。
事実を正しく伝えることが、
いつも相手の安心につながるとは限らない。
大切なのは、
目の前にいるその人が、
今、何を感じているのか。
おじいちゃんを見送ったあと、
はるかはメモ帳を開きます。
そして今日の学びを、一言。
「正しいことより、安心できること。」
「先輩……
間違いを直すことが、
いつも正解じゃないんですね」
「にゃ」
老人ホームで働く猫・アカリさんの物語。
第13話
「アカリさん、はるかに優しさを教える」
アカリさんは、答えを教えてくれません。
ただそばにいる。
そして、はるか自身が考え、
少しずつ自分なりの優しさを見つけていきます。