【カチカチ……】~私、パーカッションがんばってます!~(026)
トラキチ3
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【カチカチ……】~私、パーカッションがんばってます!~(026)
71 просмотр · 13 дн. назад
トラキチ3
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【Story】
カチ、カチ、カチ、カチ。放課後の音楽室に、メトロノームの音が響く。
「右、左、右、左……ああ、もうっ!」
私はスティックを握ったまま、天井を仰いだ。
高校入学時の歓迎会で聴いた、吹奏楽部の演奏に感動して、入部した吹奏楽部。リズム感には自信があったから迷わずパーカッションを選んだのに……いざ練習を始めると、左右の音の粒がそろわない。
「そんなに力んだら、スティックがかわいそうだよ」
振り返ると、二年生の先輩が笑っていた。
「ちょっと貸してごらん」
先輩は私の後ろに立つと、スティックを握る手に、そっと自分の手を重ねた。
「もっと軽く。そう、跳ね返る力を使って」
耳元で聞こえる声。近い。近いです、先輩!
心臓が突然、アレグロ・ビバーチェで走り出す。
「ほら、やってみて」
タン、タン、タン、タン。
「あっ!」
今までバラバラだった音が、嘘みたいに揃った。
「そう、それ! いい感じ!」
先輩も嬉しそうに笑う。
その笑顔を見た瞬間、私はとんでもないことを口走っていた。
「先輩、もう一回お願いします!」
……本当は、もうできそうだったんだけど……先輩ともう少し一緒にいたかった。
* * *
学園祭が近づくと、音楽室は毎日大忙しになった。
私は昼休みも練習した。先輩はそんな私に、いつも付き合ってくれた。
「音を追いかけすぎ。ちゃんと息をして」
「息、ですか?」
「そう。音楽って、一人で作るものじゃないから」
先輩は隣で、静かにリズムを刻んだ。
「僕の音を聴いて。合わせてみよう」
目を閉じる。
タン、タン、タタタン。
不思議だった。自分の音ばかり気にしていたときには見つからなかったリズムが、隣の音に耳を澄ませるだけで、自然と指先に伝わってくる。
「いいね、もう大丈夫だね」
その言葉が嬉しいはずなのに、少しだけ寂しかった。
もう、教えてもらう理由がなくなっちゃう。
そんなことを考えている自分に気づいて、顔が熱くなった。
私の心臓だけ、今日もフォルテッシモだ。
* * *
そして、学園祭当日。
舞台袖で、私は震える手を握りしめていた。
曲の途中には、私のドラムソロがある。
会場には、観客がいっぱい。眩しい照明。
失敗したら、どうしよう。
「大丈夫」
隣から声がした。先輩だった。
「いつもどおり。みんなの音を聴いて」
私は小さく頷いた。
指揮者のタクトが上がる。
ひとつ、ふたつ。息を吸う。
最初の一音が響いた瞬間、不思議なくらい緊張が消えた。仲間の音が聴こえる。先輩のリズムも聴こえる。
そして、私の番。
タタタン、タン、タタタタン!
スティックが跳ねる。身体が動く。音が音を呼んで、ひとつの大きな波になる。
最後のシンバルが鳴り響いた。
一瞬の静寂。
そして、割れるような拍手。私は思わず、先輩を見た。先輩は満面の笑顔で、親指を立てていた。
* * *
学園祭も終わった放課後。片づけを終えた音楽室で、先輩が言った。
「お疲れさま。最高だったよ」
「……ありがとうございます」
なぜだろう。
急に涙がこぼれた。
「えっ、どうしたの?」
「だって……先輩が、ずっと……」
言葉にならない。
先輩は少し困った顔をして、それから優しく笑った。
「じゃあ、次はもっと難しい曲に挑戦しようか」
「えっ?」
「また一緒に練習しよう」
私は涙を拭って、思いきり頷いた。
「はいっ!」
窓の外には、秋の夕焼け。もうメトロノームは止まっている。それなのに、胸の中では、まだ音が鳴っていた。
カチ、カチ、カチ、カチ。
だけど、先輩のことを考えると、私の鼓動は、少しだけ速いビート。
でも、先輩には、まだ内緒。
だって、この気持ちだけは――
もう少し、ゆっくり育てていきたいから。
【自己紹介】
SUNO-AIで 楽しく遊んでいます。
作詞は、TORAKICHI3が担当し、曲調を伝えてSUNO-AIに手伝ってもらいました。