辺言地獄-へんごんじごく-
ジゴクアンプリファイア
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辺言地獄-へんごんじごく-
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ジゴクアンプリファイア
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◇まえがき◇
自ら手を下したわけではない。
嘘をついたわけでもない。
ただ、事実の隣に小さな憶測を置いただけ。
人の疑いを利用し、他人の手で邪魔者を追い落とした者。
その綺麗な両手のまま、孤地獄へ堕ちてゆく。
――――――――――――――――――
人の口とは 便利なものです
刃を持たずに 人を斬れます
ご自身の手は 綺麗なままで
随分うまく お使いでしたね
同じ役目の あの方だけが
あなたより先に 認められてゆく
少し気に入らなかっただけ
それだけですよね 分かりますとも
不幸がひとつ 起きたその日に
あなたは小さく 口を開いた
「そういえば彼は 先日の夜――」
事実の隣へ 憶測ひとつ
「私は詳しく存じません」
「念のためにと申しただけです」
ええ 嘘などついていませんね
肝心なところを言わなかっただけ
掛けまくも畏き人の口々 恐れ憚り申し上げます 穢れの兆しと囁き流し 疑い育てて身を退けさせ
我は知らぬと手を清め 我は決めぬと口を拭い 人の恐れを刃となして 己が望みを遂げ給え
噂は随分 育ちましたね
あの方は役目を外されました
それでもあなたは 何もしてない
ええ 命令などしてませんものね
家族は困り 暮らしは崩れ
とうとうあの方 職まで失う
そして空いた その場所へ
あなたが収まる 偶然ですね
「決めたのは上の者なのだ」
「噂したのは皆なのだ」
「私はただ伝えただけだ」
なるほどなるほど。
では、その三つも頂きますね。
掛けまくも畏き責任の行方恐れ憚り申し上げます
決めしは上役 噂は皆々 されど種蒔くその口一つ
己は押さず人に押させ 己は斬らず人に斬らせ
穢れぬ両手を掲げ給いて 我に罪なしと宣り給う
「私は悪くない!」
――その声ひとつで 岩が落ちる
「皆も言っていた!」
――その声ひとつで 縄が締まる
「決めたのは上役だ!」
――その声ひとつで 地が裂ける
あら。
喋るたびに動くようですね。
でしたら――
もう少し、お話を伺いましょうか。
掛けまくも畏き孤地獄の底 恐れ憚り申し上げます
己が言の葉己へ還り 吐けば吐くほど刑を招く
「我は知らぬ」で岩一つ 「皆が言った」で縄一つ
「ただ伝えた」で地獄一つ どうぞ存分に申し開け
口を刃とし 人を斬り
人の手借りて 人を落とし
その手綺麗と 申すのならば
その綺麗なお手で――
いつまで口を塞げますか?
もう、お話にならないのですか?
お話ししたくなった頃に参りますね。
――――――――――――――――――
◇あとがき◇
直接手を下さなくても、言葉は人を傷つけ、時にはその人生まで奪います。
「自分は決めていない」
「皆も言っていた」
「ただ伝えただけ」
辺言地獄では、亡者自身の言葉が刑罰を呼びます。
言い訳を重ねれば重ねるほど、岩が落ち、縄が締まり、地は裂れてゆく。
誰かについて何かを口にするとき。
その言葉の先で何が起こるのかを、ほんの少し考えてみてください。
◇今回の偽祝詞◇
(え、言い訳するの?w
いいよいいよ、好きなだけ言いなよ。
「知らない」? はい岩一個。
「みんな言ってた」? じゃあ縄も追加ね。
「ただ伝えただけ」? はい地獄もう一個。
喋れば喋るほど刑罰増えるけど。
まだ言い訳ある?
どうぞどうぞ、好きなだけ言ってくださーいw)
◇小説版ジゴクアンプリファイア◇
https://kakuyomu.jp/users/jigoku_amp/...
歌では表現しきれない部分が詳細に読めます
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