スパゲッティはなぜ2つに折れないのか|力を抜いた瞬間に曲がりが1.4倍になる、割れが割れを呼ぶ本当の理由
世界の取扱説明書
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スパゲッティはなぜ2つに折れないのか|力を抜いた瞬間に曲がりが1.4倍になる、割れが割れを呼ぶ本当の理由
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乾いたスパゲッティを鍋に入れようと半分に折ると、真ん中で2つにならず、3本や4本に割れて、小さなかけらが床に飛んでいきます。麺に弱い所がいくつもあるから、と思っていませんか。
ノーベル物理学賞をとったファインマンも、友人と台所で2時間スパゲッティを折り続け、答えを出せませんでした。
乾いたパスタは、窓ガラスと同じ「ガラス状態」で、硬くてもろい物です。曲げると外側が伸び、最初の割れは、いちばん曲がった所のいちばん弱い傷から始まります。ここまでは「弱い所」で合っています。
ところが、折れた瞬間に曲げていた力は消えるのに、2本目が折れる。2005年にパリのオドゥリーとヌークルシュが、片端を固定して曲げた麺の端をぱっと離す実験で確かめました。離した端は曲げモーメントがゼロになるので一瞬でまっすぐに戻り、その食い違いが「曲げ波」の束になって麺を走ります。曲げ波は短い波ほど速い(分散)ので、散らばるうちに山がそろい、そこの曲がりが元の1.43倍になる。折れる寸前だった麺は、そこでまた折れます。この形はフレネル積分で書け、光の回折と同じ式です。「力を取り除くと、かえってゆがみが増えることがある」。
さらに2018年、MITの学生たちは、250度より多くねじってからゆっくり曲げると、ほぼ2本に折れることを示しました。ねじれの波は曲げ波より速く、すぐ消えるので、次の割れが起きる前にエネルギーが逃げるからです。なぜ10本くらいで割れが止まるのかなど、まだ分かっていないことも整理します。
■ 目次
0:00 はじめに
1:59 曲げると外側が伸びる
4:34 1本目は一番弱い所で折れる
6:09 力を抜いたのに曲がりが増える
9:38 波はなぜ曲がりを強めるのか
13:09 ねじると2つに折れる
15:40 折れ方を決めるもの
■ 出典(2026年10月14日に確認)
・B. Audoly, S. Neukirch「Fragmentation of Rods by Cascading Cracks: Why Spaghetti Does Not Break in Half」Physical Review Letters 95, 095505 (2005) https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.9...
・R. H. Heisser, V. P. Patil, N. Stoop, E. Villermaux, J. Dunkel「Controlling fracture cascades through twisting and quenching」PNAS 115(35):8665 (2018) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles...
・J. R. Gladden ほか「Dynamic buckling and fragmentation in brittle rods」Physical Review Letters 94, 035503 (2005)
・MIT News「MIT mathematicians solve age-old spaghetti mystery」(2018年8月13日) https://news.mit.edu/2018/mit-mathema...
・Science News「That's the Way the Spaghetti Crumbles」(2005) https://www.sciencenews.org/?p=29460
・Physics World「The physics of pasta」(2005)/Plus Magazine「Spaghetti breakthrough」(2005)
・kottke.org「Solving the spaghetti problem」(C. Sykes『No Ordinary Genius』からの W. D. Hillis の回想の引用)
・Atlas Obscura「Science Can Now Break a Strand of Spaghetti Into Just Two Pieces」(2018)
・M. Witek ほか「Glass Transition in Rice Pasta as Observed by Combined Neutron Scattering and Time-Domain NMR」Polymers 13(15):2426 (2021) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles...
・Wikipedia「List of Ig Nobel Prize winners」「Richard Feynman」「Brittleness」「Fracture mechanics」「Glass transition」「Euler–Bernoulli beam theory」「Fresnel integral」「Dispersion (water waves)」(各ページの引用先を含む)
※ 0.7mm(1.4mm÷2)・100分の1(100MPa÷10,000MPa)・4倍と2倍(波の長さを半分にしたときの揺れの速さと進む速さ)は、上の値から計算した値です。
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