Перейти к содержимому

最重症うつ病の実際を精神科医が語ります。

精神科医 芳賀高浩

0:00 / 0:00

最重症うつ病の実際を精神科医が語ります。

13 498 просмотров · 2 месяца назад
精神科医 芳賀高浩
83,3 тыс. подписчиков
13 498 просмотров · 2 месяца назад
こんばんは。精神科医の芳賀高浩でございます。 今日はですね、「最重症のうつ病って、いったいどういう状態なのか」を、精神科医の目線で、しっかり解説していこうと思います。 なんでこのテーマを取り上げようと思ったかと言いますと、私がたびたび話題にさせていただいている、大学病院で働く看護師さんのチャンネルがありまして、そこに「現役の精神科ナースが見た最重症のうつ」という趣旨の動画があるんですよね。再生回数が20万回以上。私も拝見させていただきました。 ただ、精神科医の目線で見ると、「ん? それ、結構違うんじゃないか?」と思うところがいくつかあったんです。しかも、その動画の中で「最重症のうつ病はこういう治療で良くなりました」みたいなことが書いてあったのに、肝心の「どういう治療なのか」が、何回見てもはっきり書かれていない。見終わったあとに、なんとなくモヤモヤするんですよね。 で、私もYouTubeのプロではないので、「なぜそれが20万回再生されるのか」は正直よく分かりません。ただ、逆に言えば、私が真摯に、真剣に、最重症のうつについて筋道立てて話をすれば、私の動画も20万回いくかもしれない、ということで撮ってみようと思ったわけです。 さて、うつ病というのは、まず大きく言うと二大症状があります。 ひとつは「抑うつ気分」。もうひとつは「意欲の低下」です。 抑うつ気分というのは、テンションで言えば「ロー」の方ですね。気持ちが明るくない、暗く沈み込む、落ち込んでしまう。これが抑うつ気分。 そして意欲の低下。ここがですね、皆さんが想像する「やる気がない」「ガッツがない」よりも、もっと深刻なところまで落ちることがあるんです。意欲や意思の力、欲求の力が極限まで落ちてくると、何が起きるか。結局、人間の三大欲求に基づく行動ができなくなってくるんですね。 まず睡眠欲。睡眠欲が圧倒的に落ちると、全く眠れなくなってくることがあります。逆に、ダラダラ横になっているだけで、寝ているのか起きているのか自分でも分からない。いわゆる「床と友達」みたいな状態になることもあります。これも睡眠に関わる大きな異常です。 次に、食欲。これが本当に危ない。 食欲の低下っていうと、ダイエットしたい人は「いいじゃん」みたいなイメージがあるかもしれません。最近だとGLP-1の薬、マンジャロとかオゼンピックとか、糖尿病治療薬が体重減少目的で使われている話もありますよね。週1回の注射で食欲が落ちて痩せる、と。 ただ、うつ病の最重症レベルで起きる食欲低下は、そういう「食べる量が減る」って話じゃないんです。食べようと思っても食べられない。食べさせようとしても食べられない。食べるという行為そのものができなくなってくるんですよ。 よく「砂利を噛んでいるみたい」と表現されますけれども、実際、私の臨床ではその表現をそのまま言う方は多くはない。ただ、食欲が圧倒的に落ちてくると、食べ物を口に運んでも、口が開かない、吐き出してしまう、飲み込めない、そういうことが現実に起きます。これは命に関わります。 食べられなくなると何が起きるか。病的に痩せます。いわゆる「悪液質」のような、栄養不良が進む状態になってきます。そうなると、胃腸が働かなくなってくるんですね。胃は胃酸を出さなくなるし、腸は蠕動運動が落ちて、食べ物を前に送る力がなくなる。使われない臓器は機能が落ちるんです。結果として、消化も吸収もできなくなる。そうして、病的に痩せ、最終的には命を落としてしまうことすらある。最重症のうつというのは、そのレベルまで行きうる、という話です。 そして三大欲求のもう一つが性欲ですけれども、性欲は比較的早い段階で落ちてきます。私の感覚では、軽い段階で性欲が落ち、次に睡眠が崩れ、最後に食欲が落ちてくる、という順番で進むことが多い。もちろん個人差はありますよ。ただ、食欲がゼロに近づく段階というのは、かなり切迫しています。 カロリーが取れなくなれば、体も動かない、頭も働かない状態になってきます。そうすると「全く動かせなくなる」ということが起きる。ここで出てくるのが拘縮です。 拘縮というのは、関節が固まって動かなくなることですね。関節というのは骨と骨をつないで、動く範囲を作っている場所です。その関節の中には関節包があって、その中に関節液という潤滑油のようなものが入っている。それで滑らかに動くわけです。 ところが、全く動かさない状態が続くと、関節液の循環も落ちて、関節がカチッと固まってしまう。肘が曲がったまま伸びない、膝が伸びない、そういう状態になる。これは認知症の末期などで見られることがありますが、最重症のうつでも同じことが起きうるんですね。 昔のイメージだと「看護師さんがよいしょよいしょと動かして…」となるかもしれませんが、今の病院医療は分業が進んでいます。入院すれば、リハビリの先生が入って、30分、60分と関節可動域訓練を行う体制が整っている病院も多い。土日もリハが入るところも増えていて、診療報酬の構造上そういう流れにもなっています。 ここで、栄養の話に移ります。 「食べられないなら点滴で栄養を入れればいいじゃないか」と思うかもしれません。高カロリー輸液ですよね。ところが、これが最重症の段階になると、なかなかうまくいかないことがあるんです。 胃腸を使わない状態が続くと、胃腸の運動だけでなく、栄養を取り込み、代謝してエネルギーとして利用する回路そのものが弱ってしまうことがある。胃腸から取れないなら静脈から、という単純な話ではない。静脈から糖を入れても、それがうまく代謝されず、血糖だけが上がってしまう。高血糖、脱水、そして全身状態が持ち直さずに亡くなってしまう方も、実際に一定数いらっしゃるんです。 私は総合病院で精神科として働いていたので、内科入院で「最重症のうつ」の方が来るケースを何人も見ました。末期の認知症の方と、外見上はほとんど変わらないくらい動かない。鼻から栄養の管を入れても、下痢で全部出てしまう。点滴で栄養を入れても、血糖だけが上がる。そういう状況が現実にあるんです。 だからこそ、私が強調したいのは「早めの受診」です。 胃腸がある程度動いているうちなら、経管栄養で胃腸を使って回復できる可能性が高い。胃腸が止まりかけでも、代謝回路が動いているうちなら、静脈栄養で立て直せることがある。でも、胃腸も代謝も完全に落ちてから入院すると、回復の時間が間に合わないことがある。これが最重症の怖さです。 さて、先ほどの看護師さんの動画で、おそらく「切り札」として想定されているのは、修正型電気けいれん療法(mECT)だと思います。大学病院や総合病院の精神科病床を持つところは、mECTをやっているところが多い。麻酔科医もいますし、合併症への対応力も高い。これは総合病院の強みです。 ただ、ここも誤解がありうる。 mECTは、簡単に言えば脳を一度リセットして再起動させる治療です。ところが「本当の本当の最重症」、つまりエネルギーが枯渇して、胃腸も代謝も落ちている、身体がもう動かない、という段階の方に対しては、mECTをしても反応が鈍いことが少なくありません。 逆に、mECTがよく効くのは、考えるエネルギーはまだ残っていて、頭の中が混乱して、罪業妄想や心気妄想、貧困妄想など、ネガティブな考えが噴き出して止まらない、いわば「頭が暴走している」タイプの重症うつです。そういう方はリセットが効く。でも、電気がほとんど残っていない状態に再起動をかけても、動き出さないことがある。ここはニュアンスとして大事なところです。 そしてもう一つ、「昏迷状態」の話をしておきます。 うつ病が重症になると、言動の予測がつかない、支離滅裂に見える、フリーズしているように見える、そういう状態になることがあります。いわゆる昏迷です。 ただ、ここで大事なのは、昏迷=意識が落ちている、ではないということです。意識ははっきりしているけれど、頭の中がしっちゃかめっちゃかで、自分の考えをまとめて外に出せない。外から見ると固まっているように見える。でも、中では忙しく動いている。だから、回復したあとも、意外と覚えている方が多いんです。 もちろん、全く記憶がない方もいます。けれど、「昏迷はほとんど記憶がありません」と一般化してしまうのは、私はちょっと違うと思います。医療者が声をかけたこと、抑えられて点滴を取られたこと、そういうインパクトのある出来事は覚えていることがある。だから、医療者側は「どうせ覚えてないから」と雑に扱っていい話ではない。ここは本当に大事なポイントです。 さらに、動画の中で「うつの触れ込みで入院しているけど、誰が見ても統合失調症の人が多い」みたいなニュアンスがあったようですが、これも私は現場感覚としてはかなり疑問です。もちろん、精神病症状というのは統合失調症だけのものではありません。うつ病でも精神病性のうつはありますし、双極症でも妄想は出ます。 ただ、統合失調症らしさ、いわゆるプレコックス感のような「キーな感じ」と、精神病性うつの雰囲気は、実際にはかなり違います。しっかり診れば、どう見ても統合失調症の方が「うつ病で入院」というのは、よほど変な運用をしている施設でない限り、そうそう起きないと思います。なので、その点も含めて、看護師さんの患者さんを見る解像度の問題なのか、あるいはそもそもその方が本当に病棟経験のある看護師さんなのか、そこも含めて私は何とも言えない。ただ、少なくとも医学的に正確な知識としては、ここは整理して伝えておきたいと思いました。 まとめます。 最重症のうつ病というのは、ただ気分が落ち込んでいるとか、やる気がないとか、そういう次元を超えます。食べられなくなり、病的に痩せ、胃腸が止まり、代謝が回らず、拘縮が進み、命に関わることがある。だから早期受診が重要です。 また、重症のうつでは昏迷のような状態になることがあり、外からはフリーズして見えるが、意識は保たれていて、記憶が残っていることもある。医療者はそこを理解したうえで関わる必要があります。 私は、医学的なテーマについては特に、正確な知識を伝えることが大事だと思っています。インパクトのある言葉で不安を煽ったり、逆に耳ざわりのいい言葉だけを並べたり、エンタメとしては成立するかもしれません。でも、医療の話はそれだけではいけない。だからこそ、他のチャンネルに直接言及するのは本当は嫌なんですけれども、影響力が大きいものほど、間違った知識が広がると良くないと思って、同じテーマで上書きするつもりでお話ししました。 そして最後に。 私は毎日19時に動画を出しています。テロップも編集もありませんので、見るのは大変かもしれませんが、精神科の診療や精神疾患に興味がある方には、役に立つ内容もあると思います。 ここに私の本の表紙も貼ってあります。「死にたい気持ち」や「生きているのがつらい気持ち」を抱えている方に向けて、私の実際の臨床を一冊にまとめた本です。読んだら全部解決、ではありません。でも、糸口にはなると思います。大型書店でも、Amazonでも、楽天でも、図書館でも、手に取れる場所はあります。必要な方に届いてほしいと思って書きました。 精神科医の芳賀高浩でした。 明日も必ず19時にお会いしましょう。ではまた。さよなら。