摩多羅神(またらじん)
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摩多羅神(またらじん)
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摩多羅神
摩多羅神(またらじん)は、中世日本の天台宗で信仰された常行三昧堂(じょうぎょうざんまいどう)の守護神です。阿弥陀如来の背後、堂の「後戸(うしろど)」に祀られることから「後戸の神」と呼ばれ、念仏修行を守護する一方、祈らなければ往生を妨げるとも畏れられました。
中世の天台宗文献『渓嵐拾葉集(けいらんしゅうようしゅう)』には、慈覚大師円仁(じかくだいし えんにん)が唐から帰る船中で摩多羅神の声を聞き、帰国後に常行堂へ勧請したという伝承が残ります。
その神格は複雑で、大黒天(摩訶迦羅天)と同体とされながら、荼吉尼天(だきにてん)とも同体視されました。阿弥陀如来の垂迹神(すいじゃくしん)とする解釈もあり、守護と障礙という相反する力が重ねられています。
図像では烏帽子と狩衣をまとって鼓を打ち、丁禮多(ていれいた)・爾子多(にした)の二童子が傍らで舞う姿が知られます。また、中世の芸能者の宿神(しゅくじん)信仰や猿楽の「翁」とも関係づけられました。
岩手県平泉の毛越寺では、毎年1月20日の「二十日夜祭」に延年の舞が奉納されます。京都・広隆寺の「牛祭」では牛に乗る摩多羅神が登場しましたが、現在は休止中です。島根県安来市の清水寺には、1329年に仏師・覚清が制作した摩多羅神坐像が伝わります。
念仏の守護、往生への畏れ、密教の秘儀、芸能の信仰。多様な姿をもつ摩多羅神は、仏教儀礼と神仏習合、芸能が交わる中世日本の秘神です。
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