AIで行政は良くなるか 【海外シンクタンク記事分析】
政策起業家プラットフォーム PEP
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AIで行政は良くなるか 【海外シンクタンク記事分析】
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行政や公的機関では、大量の資料を調べたり、政策の進み具合を把握したりする作業に、AIを役立てることが期待されています。ただ、処理が速くなっても、判断の質や公共サービスが良くなるとは限りません。今回のPEP Thinkでは、「AIで行政は良くなるか」をテーマに、導入の成果を何で評価し、政府の組織や人の関与をどう設計するかを考えます。
一本目では、英国の公的機関NICEの文献選別を例に、AIの性能、職員の仕事、判断への影響をどう評価するかを取り上げます。二本目では、省庁間の情報共有を、政府全体の政策実行につなげる組織と運営の条件を考えます。三本目では、効率化の成果を人々の暮らしの改善へ結びつけるための評価と監督を扱います。3本を通じて、何を改善と呼び、その改善を続けるための情報、権限、職員の能力をどう整えるかを議論しました。
■キーワード
行政のAI導入/AI評価/文献選別/省庁間連携/組織能力/ウェルビーイング/AIガバナンス/人による監督
00:00 イントロダクション
01:29 文献選別へのAI導入 — 判断の質と職員の能力をどう評価するか
16:12 政府全体のAI活用 — 省庁間の情報共有を実行力につなげるには
31:04 暮らしのためのAIガバナンス — 効率化を公共サービスの改善につなげるには
45:23 まとめ — 成果の評価、政府全体の統治、人の関与
■今回のトピック
01:29 文献選別へのAI導入 — 判断の質と職員の能力をどう評価するか
Ada Lovelace Instituteの報告書をもとに、英国で医療の指針などをつくる公的機関NICEが、文献選別にAIを導入する際の評価を取り上げます。報告書は、技術の性能に加えて、職員の仕事や責任、組織や社会への影響を含めて評価する必要性を指摘しています。
本エピソードでは、見落とした文献の件数と、判断に必要な情報が失われることを分けて考えました。全体の推定値がほとんど変わらなくても、特定の患者層について判断する根拠が抜け落ちる可能性があります。また、導入時に熟練した職員がAIの誤りを発見できることと、将来の職員もその能力を身につけられることは、別に確かめる必要があります。短縮できた時間を重要な研究の反映や指針の更新にどう使うかも含め、必要な根拠を集め、確かめ、適切に見直し続ける能力として導入の成果を捉えることを議論しました。
出典:
Ada Lovelace Institute, "Care and consideration: Lessons for AI adoption in the public sector from a research collaboration with NICE"
https://www.adalovelaceinstitute.org/...
16:12 政府全体のAI活用 — 省庁間の情報共有を実行力につなげるには
Tony Blair Institute for Global Changeの論考をもとに、AIを活用する政府の組織と運営を取り上げます。論考は、各機関の専門性を保ちながら課題に応じて連携すること、共通のデータ基盤を整えること、政治的な判断を人が担い、各機関が実施を進めることを提案しています。判断の根拠を追えることや、市民が異議を申し立てられることも、その設計に含まれています。
本エピソードでは、政府が詳しい状況を把握できることと、その情報を使って政策を実行できることの間にある仕事を考えました。情報共有が現場の判断を助ける場合もあれば、承認を求める案件が中央に集中し、決定までの待ち時間が長くなる場合もあります。また、データや業務手順を整える仕事を目先の処理件数だけで評価すると、将来の実行を支える能力の形成を見落としかねません。個別の異議申し立てや審査で分かった問題を、他部署の判断や制度の修正へ反映する仕組みも含め、情報が誰の仕事を変え、次の案件にも使える能力として残るかを議論しました。
出典:
Tony Blair Institute for Global Change, "Leading in the Age of AI: How to Build an AI-Enabled State"
https://institute.global/insights/pol...
31:04 暮らしのためのAIガバナンス — 効率化を公共サービスの改善につなげるには
Carnegie UKの報告書をもとに、人々の暮らしへの影響を基準にしたAIの管理と監督を取り上げます。報告書は、生活への影響を調達や事業評価などの行政判断に組み込むことを提案しています。また、人がAIを監督するには、訓練に加えて、判断を覆せる権限や必要な情報を持つことが重要だと指摘しています。
本エピソードでは、医療費を支援の必要性の目安に使った研究などをもとに、予測の正確さと、支援を必要とする人を見つけることの違いを考えました。効率化によって生まれた時間や対応能力も、待ち時間の短縮、複雑な相談への対応、ほかの業務への配分など、使い方によって利益を受ける人が変わります。さらに、AIの提案を承認するだけの使い方と、根拠を検討しながら判断する使い方では、職員が経験を積む機会も異なります。現場で実際に提供できるサービスと比較しながら、住民への効果と、将来も誤りを発見して修正できる能力を継続的に確かめる必要性を議論しました。
出典:
Carnegie UK, "Governing AI for Collective Wellbeing"
https://carnegieuk.org/publication/go...
■PEP Thinkとは
PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。
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■登壇者
馬田 隆明(PEPディレクター)
■主催
政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/
公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/