1984年札幌―9歳の少年、電話一本で消えた冬の朝。14年後、焼け跡の納屋から解けた「黙秘の壁」
未解決事件簿・鴉ノ間
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1984年札幌―9歳の少年、電話一本で消えた冬の朝。14年後、焼け跡の納屋から解けた「黙秘の壁」
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【一九八四年一月十日、午前九時三十五分。電話が鳴った、あの朝】
北海道札幌市豊平区の、雪の残る住宅街。九歳の男の子が、電話一本で家を出て、そして、二度と戻ってきませんでした。
四年後、家族の暮らす街から百キロ以上離れた、小さな町の焼け落ちた家の納屋から、少年の骨と思われる白い破片が、埃をかぶったポリ袋の中で、静かに発見されます。しかし、その骨が誰のものであるかを科学的に断定するには、更に、十年の歳月と、DNA型鑑定の技術の成熟が、必要でした。
十四年目の暮れ、殺人罪の公訴時効成立まで残り一ヶ月というぎりぎりの時期に、一人の元ホステスの女性が、殺人罪で起訴されます。しかし、彼女は、公判の全過程を通じて、検察側からの約四百件に及ぶ質問に対して、ただの一度も、事件の内容について、答えることはありませんでした。
判決は ― 無罪。
そして、無罪判決を受けた被告人は、その後、自らを起訴した国を相手取り、賠償請求の民事訴訟を提起することになります。
この一件は、日本の刑事司法の歴史において、「状況証拠の重み」と「完全黙秘の強さ」、そして、「制度的な真実」と「事実としての真実」の間に横たわる、深い、静かな距離を、私たちに、正面から突きつけた、稀有な記録として、今も、残されています。
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【目次】
00:00 プロローグ ― 火曜日の朝の電話
01:45 記録官より・目次紹介
03:00 序章 昭和五十九年、札幌の冬
09:30 第一章 城丸家という、静かな日常
15:00 第二章 一九八四年、日本と科学捜査の限界
21:30 第三章 二楽荘の二階、二十九歳のKさん
28:00 [黒井拓治の手記 その一]
30:00 第四章 電話、そして、雪の路地の見失い
38:00 第五章 初動捜査、四日後の公開捜査
44:30 第六章 新十津川町、二番目の夫、そして火事
50:00 [黒井拓治の手記 その二]
52:00 第七章 焼け跡のポリ袋、身元未確定の白い骨
58:30 第八章 十年の沈黙、進歩する鑑定技術
64:00 第九章 DNA鑑定、そして時効一ヶ月前の起訴
70:00 [黒井拓治の手記 その三]
72:00 第十章 法廷、四百の質問と、四百の沈黙
80:00 第十一章 無罪判決と、逆説の民事訴訟
85:00 第十二章 家族の四十年、そして戻ってきた遺骨
87:30 [黒井拓治の手記 その四]
89:00 エピローグ ― 開かれ続ける記録
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【本エピソードで参照した資料】
・北海道新聞 昭和五十九年一月〜二月 事件初報および公開捜査関連報道
・朝日新聞 平成十年十二月 起訴関連報道
・朝日新聞 平成十一年 公判および判決関連報道
・判例時報 平成十一年 札幌地方裁判所判決
・法学関連論文 「状況証拠と完全黙秘に関する考察」複数
※本編で言及した数値・年月日・事実関係は、上記の公開資料に基づいて記述しています。関係者のプライバシー保護のため、被告人および一部関係者の氏名は「Kさん」「ワタナベさん」等の形で匿名化しています。
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【関連する記録】
▶ File No.005 「二百年の暖簾、八年の床下 ― ある老舗旅館の若女将」
→ [リンク]
【プレイリスト】
▶ 【昭和最後の未解決事件】昭和60年代 ― 記憶の底に眠る五つの記録
→ [リンク]
【チャンネルメンバーシップ】
▶ 記録員(¥490)/ 研究員(¥990)/ 特別顧問(¥2,990)
特別顧問の皆さまには、黒井拓治の手記の全文PDFを、四半期ごとにお届けしています。
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事件は必ず、誰かの日常に隠れている。
― 元刑事 黒井拓治
ここは、未解決事件簿・鴉ノ間。
次の記録で、またお目にかかります。
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