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「言ってない」と言い張る人が、本当に忘れているもの【認知心理学】

欄外の記録 社会と心理の構造

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「言ってない」と言い張る人が、本当に忘れているもの【認知心理学】

196 просмотров · 12 дн. назад
欄外の記録 社会と心理の構造
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約束を破れば、熊野のカラスが死ぬ。そう信じられてきた札があります。言った、言ってないの決着を、昔の人は神様とカラスに任せました。 いまは録音も、画面の保存もできます。それでも「言った」「言ってない」は、職場でも家でも終わりません。 「言ってない」と言い張る人の頭から、本当に抜け落ちているのは何なのでしょうか。 ※「目方」「差出人」などのたとえは見立てで、私たちの読みです。  研究が何を、誰を、どう測ったものかは、下の一覧に書いてあります。 ── チャプター ── 0:00 約束を破れば、カラスが死ぬ 1:03 そんなこと、言ったかな 2:57 学者たちの「言った、言ってない」 4:43 お前、この仕事向いてないよ 7:11 額に書いたE 9:23 いちばん揉める相手 10:42 引けない頭 13:09 熊野の札と、83のハンコ 15:26 そんなつもりじゃなかった 18:06 カラスは死なない ── 本編で触れた研究 ── ・出来事を一つの立場から語り直すと、あとで思い出す中身もその向きに曲がった(抄録の範囲)  Tversky & Marsh (2000). Cognitive Psychology, 40(1), 1–38. DOI: 10.1006/cogp.1999.0720 ・会話のあと、自分が話した内容は、相手から聞いた内容より思い出されやすかった(抄録の範囲)  McKinley, Brown-Schmidt & Benjamin (2017). Memory & Cognition, 45(8), 1281–1294. DOI: 10.3758/s13421-017-0730-3 ・誰に話したか(宛先)の記憶は、誰から聞いたかより弱いのか。結果は割れています。画面の顔に話す実験で差が出た(2009)。名古屋大学の追試は同じ手順で差が出ず、課題を直すと出た(2024)。話す負荷を上げた条件だけで出た実験と、対面で出どころの記憶が上回った実験もあります(2015)。「言った人が落としやすいのは、言葉より宛先だ」は、この揺れの上に立てた私たちの見立てです  Gopie & MacLeod (2009). Psychological Science, 20(12), 1492–1499. DOI: 10.1111/j.1467-9280.2009.02472.x  Chen & Kitagami (2024)『人間環境学研究』22(1), 69–74. DOI: 10.4189/shes.22.69  Lindner, Drouin, Tanguay, Stamenova & Davidson (2015). Memory, 23(4), 563–576. DOI: 10.1080/09658211.2014.911329  Fischer, Schult & Steffens (2015). Journal of Experimental Psychology: Applied, 21(2), 195–204. DOI: 10.1037/xap0000046 ・画面の相手と交互に言葉探しのパズルを解くと、あとで相手の見つけた語を、自分が見つけたと答える人が出た(抄録の範囲)  Marsh & Bower (1993). Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 19(3), 673–688. DOI: 10.1037/0278-7393.19.3.673 ・昼食会の討論で、皮肉・からかい・相手への批判のような言葉は、30時間後も言い回しまで覚えられていた(19人)  Keenan, MacWhinney & Mayhew (1977). Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior, 16(5), 549–560. DOI: 10.1016/S0022-5371(77)80018-2 ・相手が上の立場だと先に知っていると、その人の言葉を実際より強い言い方で覚えやすかった(抄録の範囲)  Holtgraves, Srull & Socall (1989). Journal of Personality and Social Psychology, 56(2), 149–160. DOI: 10.1037/0022-3514.56.2.149 ・個人的な事実を話した人は、ことわざを話した人より、誰に話したかの記憶が低かった(41人・30人)。原因が自分への注意かは、確かめられていません  Pinto & Albuquerque (2024). Quarterly Journal of Experimental Psychology, 77(8), 1650–1661. DOI: 10.1177/17470218231205373 ・自分の動きがもたらす感覚は、脳が先に読んで弱めて受け取る(抄録の範囲)  Blakemore, Wolpert & Frith (1998). Nature Neuroscience, 1(7), 635–640. DOI: 10.1038/2870 ・話している最中、自分の声への聴覚野の反応は、同じ声を録音で聞くときより小さい。言葉の重さや記憶は測っておらず、その先は見立てです  Houde, Nagarajan, Sekihara & Merzenich (2002). Journal of Cognitive Neuroscience, 14(8), 1125–1138. DOI: 10.1162/089892902760807140  Flinker, Chang, Kirsch, Barbaro, Crone & Knight (2010). Journal of Neuroscience, 30(49), 16643–16650. DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1809-10.2010 ・力のある立場を思い出した人は、額にEの字を、自分から読める向きに書きやすかった(抄録の範囲)  Galinsky, Magee, Inesi & Gruenfeld (2006). Psychological Science, 17(12), 1068–1074. DOI: 10.1111/j.1467-9280.2006.01824.x ・相手の立場を想像するよう頼んでも、相手の気持ちや好みを当てる精度は上がらなかった(25の実験。抄録の範囲)  Eyal, Steffel & Epley (2018). Journal of Personality and Social Psychology, 114(4), 547–571. DOI: 10.1037/pspa0000115 ・話し手は、聞き手がどれだけ分かったかを多めに見積もった(40組。抄録の範囲)  Keysar & Henly (2002). Psychological Science, 13(3), 207–212. DOI: 10.1111/1467-9280.00439 ・メールの皮肉は、送った人が思うほど伝わっていなかった(抄録の範囲)  Kruger, Epley, Parker & Ng (2005). Journal of Personality and Social Psychology, 89(6), 925–936. DOI: 10.1037/0022-3514.89.6.925 ・37組の夫婦が家のことの自分の分を別々に答えると、二人の分を足して全体を超えた。「口論の原因を作る」のような項目でも同じだった  Ross & Sicoly (1979). Journal of Personality and Social Psychology, 37(3), 322–336. DOI: 10.1037/0022-3514.37.3.322 ・同じ出来事を別々の映像で見た二人が話し合うと、多くの人が、話し合いで聞いただけのことを自分が見たと答えた(抄録の範囲)  Gabbert, Memon & Allan (2003). Applied Cognitive Psychology, 17(5), 533–543. DOI: 10.1002/acp.885 ・初対面の二人が10分話し、1週間後にそれぞれ思い出すと、二人がそろって挙げた所は会話のおよそ20分の1(4.7%)。食い違いではなく、重なりの割合です  Brown-Schmidt, Jaeger, Evans & Benjamin (2023). Cognitive Science, 47(4). DOI: 10.1111/cogs.13271 ・強い感情をともなう出来事の記憶は、確信は残るが、細部の正しさはふつうの記憶と同じ速さで落ちた(学生54人。抄録の範囲)  Talarico & Rubin (2003). Psychological Science, 14(5), 455–461. DOI: 10.1111/1467-9280.02453 ・二枚の顔写真から選んだほうを、こっそりすり替えて渡すと、その場で気づかれたのは操作した回の13%だった(120人)  Johansson, Hall, Sikström & Olsson (2005). Science, 310(5745), 116–119. DOI: 10.1126/science.1111709 ── 本編で触れた資料 ── ・熊野本宮大社「熊野牛王神符」の頁(公式)。誓いを破ると熊野大神の使いの烏が一羽亡くなり、本人も罰を受けると信じられてきた、という言い伝え ・コトバンク「起請文」「牛王宝印」「湯起請」「神判」(辞典)。湯起請は室町の頃の神判 ・オング『声の文化と文字の文化』(1982年)。中世イングランドの証人と剣の例は、クランチーの研究の紹介 ・ニーチェ『道徳の系譜』第二論文(1887年)。痛みを与え続けるものだけが記憶に残る、という哲学者の見方 ・内閣府の記者会見(2020年11月13日)。約1万5千の手続きのうち、押印を残すのは83 ・民法446条2項。保証の契約は書面でしなければ効力が無い ・国土交通省の資料(2020年12月18日)。ドライブレコーダーの出荷台数 ・総務省『令和8年版 情報通信白書』。生成AIの仕事での使い道 ・LINEヤフーの発表(2025年11月7日)。取り消しの跡を消せる有料の特典 ・警察庁 ウェアラブルカメラの試行の結果(2026年8月)。市民の反応に「録音するなら話さない」 ・グライスの言語哲学(スタンフォード哲学百科事典)。言外の意味は打ち消せる ・ホーベル『未開人の法』(1954年)。イヌイットの歌合戦 ・日本大百科全書「指切り」。固定コメントの唱え方 ・YouTube のコメントを私たちが数えた範囲(2026年10月14日)。言った言わない・記憶の書き換え・職場・夫婦・録音の5つの群の回で、題材の語を含む932件。揉めた場面は親子・家族11%、夫婦8%、職場9%(件数)。関連度順の上位を数えたもので、YouTube 全体の傾向ではありません ── このチャンネルについて ── 当たり前に見える場面には、どこにも書かれていない仕組みがあります。 上司の武勇伝が疲れる理由。勧められた本が読み終わらない理由。 一人でいるだけで寂しい人に見える理由。 本文には載らないその仕組みを、余白に書き込んでいくチャンネルです。 社会心理学、組織行動学、行動経済学を手がかりに、 誰かを責めるためではなく、同じ場面を別の目で見るために。 #言った言わない #認知心理学 #記憶 #人類学 #熊野牛王