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うんちの正体|うんちは、食べ物のカスではない

世界の取扱説明書

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うんちの正体|うんちは、食べ物のカスではない

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世界の取扱説明書
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用を足したあと、流す前に、一度だけ見ると思います。けれど、そこに何があるのか。食べたものの、消化しきれなかった残り——たいてい、そう理解されています。ですが、そこに食べ物の残りは、二割も入っていません。一九八〇年、九人ぶんを三つに分けて測った研究があります。食物繊維の残りは、十六・七パーセント。それだけでした。では、残りの八割は何なのか。結論を先に言います。うんちは、食べ物のカスではありません。いちばん多いのは、あなたの中で増えて死んだ菌です。色も、食べ物の色ではありません。寿命を終えた、あなたの赤血球の色です。しかも、その色を作っているのはあなたではなく、腸の菌でした。その酵素が見つかったのは、二〇二四年。それまで百二十五年以上、誰も正体を知りませんでした。さらに、繊維をゼロにしても、うんちは出続けます。腸の内側が三日半で入れ替わり、それ自体が材料になるからです。そして、捨てるものだったはずのそれは、いま医薬品として承認されています。このことを、一次論文だけで辿ります。 ▼ 目次 0:00 はじめに — 流す前の数秒 2:29 第一章 うんちを、三つに分けた — 牛の胃から借りた手順 5:00 第二章 食べ物の残りは、十六・七% — 九人ぶんの実測 7:21 第三章 上の端だけを、取らない — 二つの資料が食い違う 9:43 第四章 〇・二キロの同居人 — 「十倍」は一対一に訂正された 11:38 第五章 茶色は、あなたの古い血 — 最後の一段は、菌に外注している 14:03 第六章 百二十五年、誰も知らなかった — 二〇二四年に見つかった酵素 16:43 第七章 赤ちゃんには、まだ居ない — 生後五日で五十七% 19:07 第八章 もうひとつの出口 — 七百五ミリリットルの内訳 23:30 第九章 食べなくても、作られる — 三日半で入れ替わる腸の内側 26:58 第十章 大腸は、水を回収する — 百六グラムは絞ったあとの形 29:30 第十一章 捨てるものが、薬になった — 試験は中間解析で止まった 32:55 おわりに — 次に流す前に ▼ この動画で分かること ・便の固形分の内訳が、細菌五十四・七%/食物繊維十六・七%/水に溶けているもの二十四・〇%であること ・つまり「食べ物のカス」は、六分の一にも届かないこと ・この内訳が一九八〇年まで測られていなかったこと。理由は「分けられなかった」から ・窒素をたどっても六十%が菌由来で、別の物差しで同じ結論が出ること ・🔴 ただし「半分以上が菌」とは言い切れないこと(別の文献レビューは二十五〜五十四%) ・体の中の菌は三十八兆個、人の細胞は三十兆個で、ほぼ同じ数であること ・「菌は人の細胞の十倍」という広く知られた数字が、二〇一六年に訂正されたこと ・人の細胞三十兆個の、およそ九割が血をつくる系統であること ・便の茶色が、寿命を終えた赤血球のヘムから来ていること ・ヘムから鉄が外れ、緑のビリベルジン、黄色のビリルビンを経て、腸で菌が色素に変えること ・その反応を起こす細菌酵素が、百二十五年以上ものあいだ分かっていなかったこと ・二〇二四年一月に BilR として同定されたこと。主にフィルミクテスが持つこと ・健康な成人ではほぼ全員が持ち、新生児では保有率が下がること ・二〇二六年六月、反応が一段ではなく二段だったという報告が出たこと(🔴 査読前) ・生後五日で色素が検出できる赤ちゃんは五十七%で、それ以前は検出されないこと ・その量が成人の十分の一以下(〇・〇七 対 〇・七〜三・六 mg/kg/日)であること ・おならが一日四百七十六〜千四百九十一ミリリットル(中央値七百五)出ること ・その最大の寄与が、飲み込んだ空気ではなく発酵ガスであること(水素が中央値三百六十一) ・繊維ゼロの流動食にすると総量が二百十四まで落ちるが、約二百は変わらず残ること ・おならの回数が一日十±一回で、性別・年齢・メタンを作れるかが関係しないこと ・臭いを決めるのが総量ではなく、硫化水素一・〇六マイクロモル毎リットルという微量成分であること ・繊維ゼロの流動食を十四日続けても、便は五十五%以上減るだけでゼロにならないこと ・人の消化管の上皮が三・四八日で入れ替わり、剥がれた細胞が便になること ・小腸の出口を通る窒素の約六十%が菌、十五%が粘液、五%が腸の粘膜の細胞であること ・英国の成人の便が一日百六グラム、水分が四分の三、通過時間が六十時間であること ・大腸を取り除くと、ほぼ等張の液が一日四百〜千ミリリットル出ること ・二〇一三年の比較試験で、便を入れた群の八十一%が一回で治り、試験が中間解析で止まったこと ・二〇二二年の第三相で、便由来の胞子のカプセルが再発を十二%(プラセボ四十%)に下げたこと ・二〇二二年十一月と二〇二三年四月に、便微生物叢製剤が FDA に承認されていること ▼ 言い切っていないこと ・「便の半分以上は菌である」とは言っていません。一九八〇年の実測は五十四・七%ですが、二〇一五年の文献レビューは二十五〜五十四%と幅を出しています。上の端だけを取らず、言い切るのは「食べ物のカスは十六・七%しかない」のほうにしました ・「絶食しても便は出る」とは言っていません。直接そう測った資料を見つけられませんでした。代わりに「繊維ゼロの流動食でも、便は五十五%減にとどまる」という測られた事実だけを使っています ・「赤ちゃんのうんちが黄色いのは、菌がまだ居ないから」とは言い切っていません。二〇〇〇年の研究が調べたのは新生児黄疸で、便の色そのものは論じていません。「茶色にする色素が、まだ作られていない」までにとどめました ・大腸が回収する水の量として挙げた四百〜千ミリリットルは、大腸を取り除いた人の数字です。小腸はあとから適応するので、健康な人の途中の量ではありません ・二〇二六年六月の二段反応の報告は、まだ査読を通っていないプレプリントです ・便微生物叢移植について、効き方や安全性の判断はしていません。承認された事実と、試験で出た数字だけを述べています ・この動画は、便の色や形から病気を判断する材料にはなりません ▼ 出典(すべて一次資料。完全な書誌は動画内の表記のとおり) 1. Stephen AM, Cummings JH (1980) J Med Microbiol 13(1):45-56 ── 便の固形分を三つに分け、細菌54.7%・繊維16.7%・水溶性24.0%と実測 2. Rose C, Parker A, Jefferson B, Cartmell E (2015) Crit Rev Environ Sci Technol 45(17):1827-1879 ── 便の水分は中央値75%、乾燥固形分の25〜54%が細菌 3. Hall B ほか (2024) Nat Microbiol 9(1):173-184 ── ビリルビン還元酵素 BilR を同定。ウロビリン発見から125年以上、酵素は謎だった 4. Sender R, Fuchs S, Milo R (2016) PLoS Biol 14(8):e1002533 ── 細菌3.8×10¹³個・ヒト細胞3.0×10¹³個。「10倍」を訂正。細菌の総質量は約0.2kg 5. Tomlin J, Lowis C, Read NW (1991) Gut 32(6):665-669 ── おなら705mL/日(中央値)。最大の寄与は発酵ガス。繊維ゼロでも約200mLは残る 6. Suarez FL, Springfield J, Levitt MD (1998) Gut 43(1):100-104 ── 臭いの主因は硫黄ガス。硫化水素1.06µmol/L 7. Furne JK, Levitt MD (1996) Dig Dis Sci 41(8):1631-1635 ── 回数は10±1回/日。性別・年齢・メタン産生能は無関係 8. McKay LF, Eastwood MA, Brydon WG (1985) Gut 26(1):69-74 ── 呼気メタンの保有率は健常者の54% 9. Cummings JH ほか (1992) Gastroenterology 103(6):1783-1789 ── 英国成人220人の便は中央値106g/日、通過時間60時間。世界では72〜470g/日 10. Miner-Williams W ほか (2012) Am J Clin Nutr 96(3):508-515 ── 回腸末端の窒素は約60%が菌、15%がムチン、5%が腸粘膜の細胞 11. Lewis SJ, Heaton KW (1997) Scand J Gastroenterol 32(9):920-924 ── 便の形は回数や重さより通過時間とよく対応する(ブリストル便形状スケール) 12. Darwich AS ほか (2014) Drug Metab Dispos 42(12):2016-2022 ── ヒト消化管上皮のターンオーバーは3.48±1.55日(85研究・1,602人) 13. Koecher KJ, Thomas W, Slavin JL (2015) JPEN J Parenter Enteral Nutr 39(3):337-343 ── 繊維ゼロの経腸栄養のみ14日で、便量は55%超減るがゼロにならない 14. Christl SU, Scheppach W (1997) Scand J Gastroenterol Suppl 222:20-24 ── 大腸切除後の回腸内容は400〜1,000mL/日 15. van Nood E ほか (2013) N Engl J Med 368(5):407-415 ── 便の注入は81%(13/16)が治癒。バンコマイシン31%。中間解析で試験中止 16. Feuerstadt P ほか (2022) N Engl J Med 386(3):220-229 ── 便由来の精製胞子カプセルで再発12%(プラセボ40%・n=182) 17. Vítek L ほか (2000) J Pediatr Gastroenterol Nutr 30(3):294-298 ── 生後5日で色素が検出できるのは57%。量は成人の10分の1以下 18. Russell BJ ほか (2026) bioRxiv 2026.06.10.731317 ── BilR に加え BilV が要る二段階の経路(🔴 査読前のプレプリント) 19. U.S. FDA (2022年11月) ── 最初の便微生物叢製剤 REBYOTA を承認 20. U.S. FDA (2023年4月26日) ── 初の経口便微生物叢製剤 VOWST を承認 ナレーション:VOICEVOX:夜語トバリ