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炭鉱メタンから考える鉄鋼の脱炭素 【海外シンクタンク記事分析】

政策起業家プラットフォーム PEP

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炭鉱メタンから考える鉄鋼の脱炭素 【海外シンクタンク記事分析】

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鉄鋼の脱炭素では、水素を使う製鉄や電炉への転換など、製鉄所の技術が主に議論されてきました。一方、その原料となる石炭を採掘する段階でも、温暖化への影響が大きいメタンが放出されています。海外の炭鉱で生じるこの排出を、石炭を買う企業や鉄鋼を使う企業の判断にどう結びつけるかが、今回のテーマです。 一本目では、日本が輸入する石炭に伴うメタンを把握し、調達や投資に反映する方法を考えます。二本目では、オーストラリアの炭鉱にある削減技術を、実際の設備投資につなげる条件を取り上げます。三本目では、低排出の鉄鋼を支える需要を、環境価値の証書を通じて集める市場設計を扱います。3本を通じて、排出の情報を集めること、削減に投資すること、その成果に対価を払うことをどう結びつけるかを議論しました。 ■キーワード 鉄鋼の脱炭素/炭鉱メタン/サプライチェーン排出/メタン回収/セーフガード・メカニズム/炭素クレジット/ブック・アンド・クレーム/追加性 00:00 イントロダクション 01:05 輸入炭のメタン管理 — 海外の採掘現場に日本の買い手はどう関われるか 15:36 炭鉱メタンの削減 — 低コストの対策を実際の投資に変えるには 29:39 低排出鋼の市場設計 — 証書への支払いを生産能力の拡大につなげるには ■今回のトピック 01:05 輸入炭のメタン管理 — 海外の採掘現場に日本の買い手はどう関われるか Emberの報告書をもとに、日本が輸入する石炭の採掘時メタンが、排出の把握や管理から抜け落ちる問題を取り上げます。報告書は、日本の商社や鉄鋼企業が持つ取引関係を通じて炭鉱の情報を求め、その情報を調達、金融、削減計画につなげることを提案しています。 本エピソードでは、製鉄用の石炭をすぐに代替しづらい事情と、採掘時のメタンを測定・削減できるかという問題を分けて考えました。継続的な取引は、情報提供や削減投資の費用分担を話し合う機会にもなり得ます。また、排出の少ない炭鉱へ購入先を変えることと、世界全体の排出が減ることは、同じ成果とは限りません。測定の改善によって報告値が増える場合も含め、買い手の調達実績に加えて、供給者の設備や操業がどう変わったのかを確認する必要性を議論しました。 出典: Ember, "Methane doesn’t read the label" https://ember-energy.org/latest-insig... 15:36 炭鉱メタンの削減 — 低コストの対策を実際の投資に変えるには IEEFAの報告書から、オーストラリアの炭鉱メタン対策を取り上げます。報告書は、採掘前のガス回収や換気で排出されるメタンの処理に削減余地があると指摘し、測定の改善、外部クレジットの利用制限、メタン回収の義務付けなどを提案しています。施設ごとに排出基準を設けるセーフガード・メカニズムの下で、現場の削減をどう促すかが論点です。 本エピソードでは、安全のためにガスの濃度を下げることと、大気に出るメタンの量を減らすことを区別しました。また、設備の使用期間全体で削減費用が安くても、初期費用や人材の確保、稼働率の不確実性によって投資が進まない可能性を考えました。製鉄法の転換と炭鉱のメタン対策を並行して進める際には、予定された操業期間に合う設備を選ぶことも重要です。設備費を回収するための操業延長とは区別し、日本向けの原料炭を供給する既存の炭鉱で、当初の操業計画を延ばさずにどれだけ削減できるかを検討する必要性を議論しました。 出典: IEEFA, "Not so hard to abate" https://ieefa.org/resources/not-so-ha... 29:39 低排出鋼の市場設計 — 証書への支払いを生産能力の拡大につなげるには RMIの報告書をもとに、鉄鋼の現物と環境価値の証書を分けて取引する「ブック・アンド・クレーム」を取り上げます。報告書は、調達先の制約によって低排出の鉄鋼を直接買いにくい企業も、その生産を支えられるよう、証書の検証と報告のルールを提案しています。現物に基づく排出報告と、証書を反映した報告を区別することも、その設計に含まれています。 本エピソードでは、地域や用途の異なる企業の需要を上流の生産設備に集め、複数の企業が費用を分担する可能性を考えました。その際、既にある低排出の材料の購入先が変わることと、新しい製法による生産能力が増えることは区別する必要があります。また、長期的な購入の約束で投資を支えることと、生産後に確認できた成果を報告することには、時間の違いがあります。証書の基準を満たすことに加えて、その支払いが投資や生産を実現させたかという追加性にも注目し、低排出の鉄鋼をどれだけ生産し続けられるようになったかを評価する必要性を議論しました。 出典: RMI, "Shaping a credible market for low-emissions steel" https://rmi.org/resources/book-and-cl... ■PEP Thinkとは PEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。 ■Spotifyでも配信中 PEP Think Podcast(Spotify) https://open.spotify.com/show/2vz96yK... ■登壇者 馬田 隆明(PEPディレクター) ■主催 政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/ 公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/