会社に50億円をもたらした私への特別報酬は、たった5000円だった。無言で退職届を出した翌朝、全データがロックされ会社は凍りついた!
Pradeep Kumar
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会社に50億円をもたらした私への特別報酬は、たった5000円だった。無言で退職届を出した翌朝、全データがロックされ会社は凍りついた!
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Pradeep Kumar
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「特別報酬は確認したかね、今回は特別に弾んでおいたよ」
すれ違いざま、社長が機嫌よく声をかけてきた。
私は足を止め、静かに答えた。
「はい、五千円、確かにいただきました」
すれ違う社員が、ちらりとこちらを見た。
社長の笑みが一瞬だけ止まる。
けれど、私はそれ以上何も言わなかった。
訂正する気はもう残っていない。
五十億円を動かす決済基盤。
その心臓部に、毎朝たった一人で鍵をかけ直しているのが誰か、この人は知らない。
鞄の底で、母の形見の古い鈴が小さく鳴った。
「毎朝、暖簾をかける人がいて、初めて店になるの」
銭湯を営んでいた母の口癖だった。
明日の朝、この会社は凍りつく。
これは、二十八歳の私が五十億円の基盤を静かに閉じた日の記録である。
私の名前は、ささきみお。
暁電算という会社で、決済基盤の保守を担当している。
社内での呼ばれ方は、大抵「保守の人」だ。
名前で呼ばれることはあまりない。
私は誰よりも早く会社に着く。
まだ照明の落ちた薄暗い階で、自分の席に座る。
鞄から母の形見の古い鈴を取り出し、机の端にそっと置く。
指先で一度だけ、ちりんと鳴らす。
それから端末を立ち上げ、いつもの手順で認証を済ませる。
これが私の一日の始まりの儀式だった。
社員たちが出社してくる頃には、私はもう画面の前で静かに数字を見つめている。