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第2話 週末【僕と話すことに、努力が必要なんだと】

真神 蓮

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第2話 週末【僕と話すことに、努力が必要なんだと】

34 просмотра · 1 дн. назад
真神 蓮
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■カクヨム 連載中 ■小説 僕と話すことに、努力が必要なんだと、解けない支配と、消えない痣 ■曲 穏やかな週末の歌 ■歌詞 まだ寒い季節の、夕暮れ前のこと 十八階の窓から眺める建設中のビル 小さなクレーンが、ゆっくりと止まる景色 チャイムの代わりに、一日の終わりを告げる静けさ エレベータホールに響く、やわらかな声 「みんなで今日もがんばりましたね」 いつもの顔ぶれが自然と揃っていく 呼び合う名前、曇りのない優しい笑顔 そのすぐ後ろから、廊下を歩いてくる 前髪が少しだけ目を隠した君 「お疲れ様です」と目が合う瞬間 八月のあの冷たさは、まだどこにもない 一階に降りて、並んで向かう喫煙所 イスもない灰皿のまわりで輪ができる 電子タバコの小さな灯りが揺れる夜 「週末はなにを?」 「家にいますよ」 家族の待つあたたかな灯りを思い描きながら 誰もが傷つかずに笑い合えた、あの頃の空気 最近観た映画の話になり 「どうでした?」と誰かが尋ねる まっすぐ向けられた期待の視線に 「普通でした」と、あまりに真っ直ぐ返す声 熱い感想を待っていたみんなの肩の力がふっと抜け その飾らない一言に、思わず笑いがこぼれ出す きょとんとした君が、つられてふっと笑う横顔 最後の一人が吸い終わるのを 誰も先に行かず、ただ並んで待っている 夜の庇を抜けて、それぞれの方向へ分かれる足音 右へ歩いていく君の背中は 週末の休みを楽しみにする、ただの同僚 赤信号の向こう、遠ざかる街の音 まだ誰も怯えてなんかいない まだみんなが、温もりを分かち合っていた 誰もが笑顔で「また明日」と手を振った すれ違う季節が、凍てつく手前の、穏やかな週末の歌